見出し画像

2階の不思議な音の話。

子供の頃に実家で体験した恐怖。

私は、高熱を出して学校を休んでいた。

1階のリビングで、大人しく炬燵に入ってボオっとテレビを眺めていた。
真昼間に流れる番組といえば、テレフォンショッピングのような宣伝ばかりで、つまらんなあ…と思いながら、気だるい体を起こしてリモコンに手を伸ばした。

その時だった。

二階で突然、シャー!シャー!とカーテンがレールを何度も走る音がし出した。誰かが、カーテンを開けたり閉めたりしているようだ。

五月蝿いなぁ…。何?お母さんかな?何やってんの?と思っていたが、一向に音が止む気配がない。

私は、母に一言文句を言おうと、よろよろと立ち上がった。

ふと、カーテンを捲って外を見ると母が庭で水やりをしていた。

父は仕事、兄は学校に行っていて、家には母と2人きりの筈なのに…?

私は、熱があるにも関わらず、寝間着のまま外に慌てて飛び出して今起きたことを報告すると、母は虫の居所が悪かったのか、「隣の家の音でしょ!今忙しいんだから下らないこと言わないで!」

と吐き捨てて、私を独り、置いて犬の散歩に出かけてしまった。

…嘘でしょ?置いてくの?

いや、確かに、2階から聞こえたし!私は、恐怖のあまり玄関を開け放したまま、その場に暫く立ち尽くしていた。
熱もあるし、昼間とはいえ、この寒空の下にいつまでも居られない。
渋々家の中に入って2階に上がる階段の前を全速力で走りぬけてリビングにもどり、炬燵の毛布をかぶって独りで震えていた。

漸く、母が帰ってきた。怖いので、母と一緒に2階まで様子を見に行った。

母は、隣家の音だと主張していたが、2階の窓は、一切開いていなかった。

よろしければ、投げ銭してやってください! 頂いたお金は、今後の活動費に使用させていただきます!