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noteのような、学級通信がいいな

学級通信を読み続けて、今年で12年めだ。
学級通信は、担任の先生が発行する、
通信であり、担当しているクラスのことが
書かれている。

何日に一枚は、ださなければならない、
という決まりは特に無いようで、
ひと月に2枚くらいの先生もいれば、
毎日発行する先生もいた。

babyちゃん(17歳娘)の、小学3.4年生の時の
担任は

「学級通信を、毎日書きます」

と、まず初めに、宣言した。
あーあ、言っちまった。
と、気の毒になった。

しかし、その先生は、ほんとうに2年間、
毎日欠かさず、通信を発行した。
すげえもんだな
と感心したが、一方、babyちゃんの
クラスは学級崩壊してしまったため、
先生はどこか遠くへ飛ばされてしまった。
頑張ったのにね、通信。

最後の日、連絡帳に、
「先生、通信、本当に毎日書かれましたね、
すごいことです」
と、ねぎらいの言葉を添えた。

わたしは、教員免許を持っている。
ゆえに、教育実習を経験している。
ゆえに、実際の教育の現場が、
どれだけ忙しくて大変で、そうやすやすと
おうちに帰ることができない場所であるか、
という事は、普通のお母さんよりは
理解しているつもりだ。
教育実習が大変すぎて、最終日の挨拶で
生徒の前で号泣してしまった、
というイタい過去もある。

通常業務に加えて、通信を作るなんて、
大変なことだ。

それを分かった上で、一言申し上げたい。
学級通信。

tsumanneeeee!

(ちょっと、言いにくかったんで、
ローマ字で、言わせてもらいました。)

今まで、発行を楽しみにしていた通信が
なかった。だってつまんないんだもん。
まず題名。

スマイル。なかま。きずな。チャレンジ。
ピース。ジャンプ。はばたけ!

つまらん。
じつにつまらん。
隅から隅まで、自分の言葉を使った
読みものを、発行できるのだぞ?
それでいいんか?ほんまに。

学級通信の題名でだいたい先生のテンションが
計り知れる。
もうちょっと自我を出せよ。
これは、やっつける気だな
(やっつけ仕事にするつもりだな)と、
その題名から、判断できる。

内容は、だいたいが、子供と保護者、
特に保護者に向けられていて、

遠足、楽しかったです!
マラソン大会頑張りました!
懇談会、お世話になります!
ベル着達成!
宿題忘れゼロ、記録更新!
掃除頑張ってました!


みたいなことが書かれている。
うん。えらいよねみんな。
がんばりましたね。
ご指導ありがとうございます。

とは思います。
まあなんとなく、この最後の、

ご指導ありがとうございます。

に向かって、保護者は導かれているような
気もする。
学校の、子供たちの様子を、親に伝える
役割が通信なのかな。
だけど、なんか、次も早く読みたいって、
思えないのだ。

「先生の文章!金払ってでも読みてえ!」

て、思わせてくれよ。

難しいと思う。フランクにしようと思えば
フランクにもできるが、全ての保護者から
ひとつのクレームも出ないような
内容にするって、大変な気苦労を伴う。
だから当たり障りない文章になるのも
無理はない。
先生が通信に、

土曜部活あったしマジだるかった。
週休2日ないとかブラックすぎやし。
ゲームやってたら日曜も終わったわー。
テスト問題作れてない、やばし。
みんな、いろいろあるけどがんばろうな!

のような素の自分の事を書いて
自分をさらけ出せば、
生徒からは共感してもらえそうだが、
校長先生の検閲をくぐり抜けることは
出来ないだろう。
くぐり抜けるどころか、大目玉だ。

難しいんですよ、学級通信は。

しかし、今年度、わたしはやっと、
楽しみにできる学級通信に出会った。

babyちゃんの担任は、高校3年から
新しく担任になった先生である。
年齢は64歳、男性。
来年、定年退職なのかな、もしかして。

・・・おじいちゃん?
受験、大丈夫かなあ。。

とわたしが聞くと、babyちゃんは、

「すきな先生だったから、よかったけど?」

と言ったから、じゃあよかった、と
素直に思う。

babyちゃんは、学校にすきな先生を
作ることができる、素直なきもちを
持った子だ。

一方boy(14歳息子)は、
先生なんか、すきになってたまるかよ
というふしがあり、きらい、と言った
ことはあっても、すきな先生が居たことは
なさそうだ。

どちらも、いいな、と思う。

babyちゃんの先生の通信は、ありきたりの
題名ではなかった。
ちゃんと自分で考えたんだな。

内容は、特におもしろいことを書いてやろう
とか、生徒に受けてやろう、という、
気をてらったところはなく、
自分の私生活をさらしたり、子供たちに全然
関係ない事を書いたりもしない。
普通に、終わった行事のこととか、
毎日の生活態度や、勉強についてだとか。

だけど、1号めから、
ああ、いい通信だな。
と思えた。

2号、3号と読んでみて、
何でこれをいい通信だと思えるのか、
と考えてみた。
そして昨日、分かった事がある。

この通信、子供たちに向けて書かれてる。
読んで欲しい人は、保護者ではなくて。

だから、熱量があるのだ。
だいたいの文章が、口語調になっていて、

〜だよね。〜と思うんだ。〜だろ?

のように、書かれているため、先生との
距離が近く感じられる。
話しかけられているようだから、読み手は
サクサク読める。
だが、話しかけられているのは、生徒だ。

普通の通信と明らかに違うのは、
保護者の目を無視している
という点だ。いい意味で。

クラスの子たちに向けて、俺は書いてるんだ。
みんな、読んでくれてるよな?
信じてるぜ?
俺の気持ち、考え。
届け!

という気持ちが、書かれてないけど、
伝わってくるのだ。
ちゃんとものを考えている大人が、
伝えたいことを書く。
おもしろければ、生徒は必ず読むだろう。

世間のいろいろな話題も織り交ぜながら、

じゃあ、きみたちはどうするか。考えろ。

と言っている。
さすがは年の功、ともいうべきか。

高校の最後に、いい先生に担任になって
もらえたのかもしれない。
会ったことないからわかんないけど。
もしかしたら、すごいクセスゴかも
しれないけど。

通信が楽しみになり、うれしい。


kuroさま
イラスト使わせていただきました、
ありがとうございました!


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