国家予算は「PDCAサイクル」ではなかったのか?【2022.6.16日経新聞 朝刊を読んで】
1.国の政策運営は、「OODAループ」思考ではなかったのか?
以前の投稿(↓参照)で、今の国の政策運営に関して、終了年度を明記している1405事業中、444事業(約32%)で終了年後の成果目標がなかったという日経新聞の記事を紹介しました。
私は投稿の中で、以下のように、国家が「OODAループ思考」で対応していると頼もしいというコメントを述べました。
❶年度の予算と権限を省庁の担当部門に与える。
❷OODAループ思考で、しっかり日本の状況を観察【Observe】する。
❸観察結果を踏まえ、状況判断【Orient】し、担当部門で意思決定【Decide】し実行【Act】していく。
❹その結果から、状況の変化を捉え、再度【Loop】、OODAループ思考で、施策を投入していく。
❺あくまで、目指すのは中長期(例えば20年後)の目標達成であり、省庁が前面バックアップする。
実際のところは、分かりませんが、このような対応ができているとは、思えないというのが私の結論でした。
OODAループについて、詳しく知りたい方は、是非、以下↓の投稿をご覧ください。
2.国家予算はどのように作られているのか?
それでは、100兆円を超える国家予算はどのように作られているのか?
もちろん、「PDCAサイクル」は回していると思っていましたが。。。。
今日の日経新聞に国家予算の決め方について記載がありましたので紹介します。
◆[大機小機] 政府の業務改革、デジタルで【日本経済新聞2022.6.16朝刊】
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この記事では、現在の決算や人事の問題を提起しつつ、最終的には、政府財務・人事のシステム改革でデジタル庁がデジタル技術の力を発揮するための現状分析、システム構築を支援すべきだと述べています。
2-1)国家予算を「PDCAサイクル」に当てはめてみると(2022年度予算の場合)
記事の内容を参考に、2022年度の国家予算に関して、「PDCAサイクル」に当てはめてみました。
【P計画】
2021年7月に概算要求基準の大枠が決定され、9月に、その基準に基づき概算要求の大枠が決定されるようです。
そして、概算要求に基づき政府予算案が12月に決定、2022年1月からの通常国会に掛けられます。
こうして見ると、実質2021年7月には、2022年度予算の骨格が固まっているというスケジュール感です。
【D実行】
2022年3月までに予算が国会で成立し、2022年4月から2023年3月まで予算執行(実行)が行われます。
【C評価】
2021年度(前年度)の決算が2022年11月、国会に提出されるようです。
なんと、予算執行後、決算が出るまで、8カ月を要しています。
民間企業なら約2カ月で前年度の財務報告をすることから考えると、とてつもないスローペースです。
【A改善】
2023年度の予算は、2022年7月には骨格を固めます。
その段階では、2021年度の決算もされていない。
民間では、四半期毎に財務報告を出しているので、その結果を次年度の予算に細かく反映させています。
結局、2020年度(3年前)決算と各省庁の前年予算踏襲主義で成り立っているのかと勘ぐってしまいます。
2-2)今までのところをまとめてみると。。。
2022年度予算に関しては、こんな感じになります。
【P計画】
2021年7月 概算要求基準の決定
2021年9月 概算要求 提出(大枠決定)
2021年12月 政府予算案が年末に閣議決定
2022年1月 通常国会
2022年3月 予算成立
【D実行】
2022年4-2023年3月 予算の執行
【C評価】
2023年11月 決算を国会に提出
【A改善】
何に基づいて改善しているのか不明
2-3)PDCAサイクルが回っていない原因は?
この国家予算の流れを見て感じたのは、以前投稿でお話しした「PPP型」で前に進まないタイプです。
予算を作成(P計画)するのに、少なくとも9カ月を要しています。
D実行は、多分なされているとは思いますが、C評価が遅すぎて、次の予算に十分な反映(A改善)ができていないように見えます。
3.政府の業務改革、デジタルで
再度、本日の記事の内容に戻りますが、結局、この予算作成に関しても、デジタル技術(週次や日次決算 等)を使うことで、短縮化ができるのではないでしょうか。
少なくとも、第三者が見て、予算の「PDCAサイクル」の見える化をして欲しいと強く思いました。
予算の進捗がDXを活用して、総理大臣や各大臣、事務次官が毎日チェックできる改革ができないものでしょうか。
少なくとも民間の製造業では、データに基づく、財務革命や脱炭素革命が進捗しています。
今後のデジタル庁の動きに期待と注目をしたいと思います。
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