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企業がSDGsに取り組むために、PDCAサイクルが有効って知ってますか? 「環境省のSDGsガイド」より

2018年に環境省が発行した「持続可能な開発目標(SDGs)ガイド」の中に、企業がSDGsに取り組むためのPDCAサイクルを使った手順が書かれていました。

↓ 環境省のHP参照下さい。

その内容について、私の補足解説も交え、簡単に紹介したいと思います。

 ちなみに本ガイドは、「SDGsって大事なことだと思うけど、自分の会社と関係あるの?」と考えている方向けのようです。

1. SDGsは、企業の持続可能性(サステナビリティ)のために活用できるツール

 本ガイドでは、SDGsの活用によって広がる可能性について、説明しています。なぜ、企業がSDGsに取り組んだ方がいいのかということです。

それは、上図に挙げた「企業イメージ向上」「社会課題への対応」「生存戦略になる」「新たな事業機会の創出」の4つです。

1-1)企業イメージの向上

SDGsへの取り組みを社外にアピールすることで、「この会社は信用できる」「この会社で働いてみたい」という印象を与えることができます。

 その結果、多様性に富んだ人材確保ができ、企業の信頼アップに繋がる等のプラス効果をもたらします。

1-2)社会課題への対応

 SDGsには、社会課題の解決のヒントが網羅されています。これらの社会課題に対応することで、経営リスクの回避、社会への貢献、地域での信頼獲得に繋がります。

1-3)生存戦略になる

SDGsへの対応がビジネスにおける取引条件になる可能性もあり、持続可能な経営を行う戦略として活用できます。

1-4)新たな事業機会の創出

SDGsへの取り組みをきっかけとして、今までになかったイノベーションやパートナーシップを生むことにつながります。

 私は企業の経済的価値(売上・利益)と社会的価値(社会課題の解決)の共有価値が企業の持続可能性を生み出すと考えています。1-1)から1-4)を見ると、SDGsをうまく活用することで、「共通価値の創造」ができると考えています。

2.企業とSDGsのつながり

SDGsはグローバルな取り組みだけではありません。企業が行う事業そのもの、普段から取り組んでいる節電や節水、社員の福利厚生など、企業が行う行動すべてがSDGsにつながっています。

 そのことを経営トップ始め、全社員が理解した上で、SDGsの活動を進めることが必要だと考えています。

 下図に環境省が挙げた事例および私が追加した事例を記載しました。企業でSDGsを推進する場合は、自社の活動が17のどの目標に関係しているのかを最初に確認しましょう。

スライド2

3.PDCAサイクルによるSDGsの取組手順

 1.2.でSDGsと自社の取り組みとのつながりに気付くと、そこから自社の強みやSDGsの課題を解決できる自社の潜在能力に気付くことができます。

 しかしながら、企業がSDGsの活動を開始しようと思っても「SDGsって気になるけど。。。。具体的に何をすればいいの?大変じゃないかなぁ?」とまず、考えてしまいます。

 そこで、環境省は、「PDCAサイクルによるSDGsの取組手順」をガイドとして発行しています。

スライド3

環境省のガイドでは、「PDCAサイクルによるSDGs取組手順」を以下のように説明しています(上図参照)。

■SDGs取組の意思決定

手順1:話し合いと考え方の共有
・企業理念を再確認し、SDGsとの関わりを理解し、将来ビジョン(例えば2030年)を共有する。
・自社がSDGsに取り組む理由や意義を経営トップに説明し、SDGsを全社で取り組む意思決定をしてもらう。
・プロジェクトチーム結成し事務局メンバーを任命する。

■PLAN(取組の着手)

手順2:自社の活動内容の棚卸を行い、SDGsと紐付けて説明できるか考える
・自社の事業・活動をリストアップする。
・事業・活動と環境や地域社会との効果・影響を整理する。
・各事業・各活動がSDGsのどのゴール・ターゲットに貢献するのか整理する。

■Do(具体的な取組の検討と実施)

手順3:何に取り組むか検討し、目的・内容・ゴール、担当部署を決定
・扱いやすく、効果が期待できる取組を抽出する。
・取組の内容、ゴール、スケジュール、担当部署を決める。
・必要になる資金について考える。
⇒取組の行動計画を作成し、社内での理解と協力を得る

■Check(取組状況の確認と評価)

手順4:取組を実施し、その結果を評価
・経営トップも社員も積極的に巻き込んで取り組む。
・取組前後と取組家庭で記録とモニタリングを行う。
・取組のレポートを作成する。

■Act(取組の見直し)

手順5:一連の取組を整理し、外部への発信にも取り組む
・取組のふりかえりを行い、アピールポイントを整理する。
・ビジネスチャンスへとつながる発信方法を考える
⇒評価を受けて、次の取組を展開する。

4.まとめ:SDGs推進を自社の共有価値の創造に繋げる

SDGsの活用により、「企業イメージ向上」「社会課題への対応」「生存戦略になる」「新たな事業機会の創出」の可能性を広げ、企業の持続可能性を高めます。

❷企業が行う行動全てがSDGsにつながっていることを理解し、自社の活動とSDGsとの関係を把握しておくことは重要です。

環境省のガイドの中で、PDCAサイクルによるSDGsの取組手順が分かり易く記載されているので、今から活動を開始しようとしている企業は、これを参考にすると良いでしょう。

 ところで、PDCAサイクルを活用して、SDGsを推進するに当たり、SDGsの17の目標「5つのP」に分類されていることを知っておくと便利です。

それは、下図に示すように、❶People(人間)、❷Prosperity(繁栄)、❸Planet(地球)、❹Peace(平和)、❺Partnership(パートナーシップ)の5つです。

 この分類は、自社のSDGsの活動を行う時の頭の整理や取組のバランスを考える時に活用できます。

 これまでの投稿でもお話していますが、SDGsの活動を推進する場合にも、自社の「共有価値の創造」につながる活動を優先することで、強力な持続可能性を得ることができます。

スライド4

↓ CSV(共有価値の創造)については、こちらの投稿を参照下さい。

SDGsの17の目標が自社のどの活動に関連し、自社の強みとして、どの活動を推進すると「共有価値の創造」につながるかを考えて、PDCAサイクルを有効に回していくことを期待しています。



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