2種類の「捨てる」で働き方改革
はじめに
学校現場は「捨てる」ことが極端に苦手だと感じています。それは、どんな活動に対しても教育的意義を見いだすことができ、かつ先生方がとてもいい人ばかりだからでしょう。
しかし、そうした現状での働き方は、決して持続可能とは言えません。ぼくらはどこかで「捨てる」という選択をしなけばならないのです。
そこで今回の記事では、2種類の「捨てる」を提案し、学校の働き方改革を推進するという提案をさせていただきたいと思います。本記事をお読みの先生方が、働き方改革を進めるためのヒントになれば幸いです。
①モノを捨てる
まずはモノを捨てていきましょう。ぼくは、大きく2つのモノをこれまでに捨ててきました。それを整理してみます。
・紙を捨てる(授業のクラウド化)
紙を捨てることで、まず「印刷」という作業がこの世から消えて無くなります。それだけでも、かなり多くの時間を生み出せるでしょう。今までは、子どもたちに何か学習をさせたいという時、ノートやプリントに書いていくという学習しか選択肢がありませんでした。しかし今は、一人一台のタブレット端末があるので、データを送るということができます。なので、例えばプリントを1枚作ったら、それを一斉送信するだけで共有できます。しかも、それは1度使ったら終わりというわけではなく、何回でも使用できます。
もちろん、タブレット端末での学習に適している学習と、そうでない学習があるので、何でもかんでもデータ化というわけにはいかないでしょう。例えば「漢字学習」のような知識のインプットには、やはりえんぴつで書いていく方が有効だと思います。逆に、社会化の単元のまとめで新聞を作るなどのアウトプットでの学習は、タブレット端末を使いながら作成するのが、楽しく有効だと感じます。
このように、紙とデータの使い分けは必要ですが「紙を捨てる」という発想から仕事を精選していくことは重要だと思います。
・USBを捨てる(校務のクラウド化)
毎年、児童生徒の個人情報漏洩のニュースがあります。そっち系の不祥事は、完全にシステムエラーだとぼくは考えています。ぼくの身近でも、よく「USBを洗濯してしまった」とか「踏んでしまって割れちゃった」みたいなことをよく聞きます。こんなのは、どんなに気をつけても人間である以上どこかでやってしまう可能性はあるのです。
ぼくは数年前にUSBを捨て、データは完全にクラウド上に置くことにしました。具体的には、「Googleドライブ」や自治体で採用している「Microsoft Teams」内にすべて入れるようにしているという感じです。校務用のデータをすべてクラウド上に置くことで、まずUSBや紙といったモノの管理が無くなります。それにより、情報漏洩などのリスクを限りなくゼロにできるのです。
また『共同編集』ができるようになるのも大きなメリットです。例えば、複数の職員が入力しないといけないデータがあるとしましょう。その時、A先生がデータを開いていたら、他の先生はA先生が終わるのを待たないと新たな入力はできないのです。これでは時間がもったいない。しかし共同編集ができる環境であれば、A先生とB先生とC先生が同時に入力しても全く問題ないのです。
USBを捨て、クラウド化へ移行することは情報漏洩のリスクを減らし、働き方改革を進める効果があると考えています。
②常識を捨てる
学校という組織は「子どものため」という枕詞の下で多くの前例踏襲的なものが残っています。それが常識となっているのです。しかし、よくよく見直せばそれは常識でも何でもなく、先生方のマインドセットを変えるだけで簡単に修正できるものも数多くあります。
以下に、世の中的に常識だと考えられているけど、ぼくが積極的に捨てていった常識を挙げてみます。
・丸付けは先生→丸つけは子ども
単元テスト以外のもの(宿題、プリント、授業の課題等)は、基本的に子どもたちに丸つけをさせます。そうすることで、子どもたちは「学びは自分で進めるもの」という意識を育てる事ができると考えます。また、丸つけでインチキをする子が出てきたら、それをしっかりと見取って「それは自分のためになるの?」という指導をすることもできます。
・先生が教える→みんなで学び合う
一斉指導では、どうしても先生の声が届かない子が出てきます。そこで、子どもたち同士で互いに学び合うことを推奨します。そうすることで、子どもたちに多様性のある学びの場を提供することができると考えます。
・恒例行事→精選・廃止
例えば「運動会」が典型かと思います。小学校では、運動会を毎年開催することがテンプレ化していますが、運動会という行事を必ず毎年行わなければいけない、という法的根拠はどこにもありません。つまり、すべて学校裁量でやられている行事なのです。そのため、昨今では半日開催だったり、隔年開催という学校も出てきました。中には、きっぱりと廃止した学校もあるでしょう。このように、行事に関しては学校裁量でいろいろな議論が可能です。
さいごに
ぼくは、モノや常識を持ち続けていると、どうしてもそこに業務が生まれやすくなると考えています。なので、働き方改革を進める上では、こうした「捨てる技術」は必須。ぼく的には「先回りして仕事を減らす」という感覚です。ぜひ今回の記事を読んでいただいた先生方も、捨てることを意識した働き方を模索してみて下さい。
なお、先生方の定時退勤や働き方改革をサポートするために、日々SNS等での発信を続けています。また『定時退勤がちサロン』というオンラインサロンを運営しており、そのコミュニティ内で、働き方改革に関する情報共有や資料提供、セミナー企画などを行っています。すべて無料です。
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