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なぜダメな管理職が多いと感じるのか

働き方改革に関して発信を続けていると、よく「管理職が理解してくれない」とか「うちの管理職は頭が固くて~」のような声が聞こえてきます。どうも働き方改革を進めようとする先生方から見ると、管理職は『働き方を進める上での弊害』のように捉えてしまっているように感じます。たしかに、一部そうした管理職もいるのでしょう。しかし、本当にそんな管理職ばかりなのでしょうか? 働き方改革は、個人よりも組織として進めていく方が困難であり、しかし大切な事です。そのために、管理職の理解を得る事は必須です。今回はそこを深堀していきます。

まず、学校内の管理職というのは、一般企業の管理職とは少しちがいます。何が違うかというと、それは「昇進の仕方」です。日本的な企業の昇進システムは、基本的に年功序列です。年功序列制度では、一定の年齢に達したら誰でも管理職に昇進して“しまう”ので、管理職としてのスキルや適正の有無は関係なしに管理職になっている人が一定数いると言われています。パブリックスピーカーの山口周氏によれば、このような制度のせいでスジの悪い仕事を振ってくる「クソ上司」が5割もいるそうです。
#ヤバいね

こんなアクロバティック人事を社会的に採用している国は、おそらく日本だけだと思います。例えば欧米諸国では労働力の流動性が高いので、クソ上司に当たったらさっさと転職します。しかし、終身雇用制度が長らく採用されてきた日本では、雇用の流動性はまだまだ低いので、クソ上司の元で働く人はまだまだいそうです。

このように日本の昇進システムはかなり穴だらけなのですが、学校での昇進システムはちがいます。周知のとおり、教頭や校長になるためには『管理職試験』を受けなければなりません。管理職試験の受験資格は、各都道府県や自治体によって異なりますが、一般的には「経験年数10年以上」「主任級や教頭級の経験年数」「40歳以上」といった条件が課されることが多いようです。年功序列制度とはちがい、一定の条件の下で試験を受け、合格したものを管理職に据えるというシステムなので、システムとしてはだいぶマシだとぼくは思っています。
#上から目線やなw

ここまでお読みいただけるとわかるように、学校の管理職になるためには、3つのハードルがあります。
①都道府県または自治体で設けられた条件(経験年数等)クリア
②管理職試験を受ける(管理職になりたい、と思う)
③管理職試験に合格する(適正が認められる)

さて、この3つハードルを越えた勇者が、みなさんがお嫌いの(#ウソです)管理職になれるわけですが、こんなに頑張っている管理職の先生方に対して不満の声をけっこう聴きます。なぜでしょうか。その原因は主に2つあると思います。

・管理職になったことがないから
先生方の多くは、管理職という仕事を経験したことがありません。なので、どこまでいっても管理職の仕事を理解することは難しいでしょう。もしかしたら、「管理職が理解してくれない」というのは、管理職側からしたら「理解しているんだけど、立場上難しいんだよね」というケースかもしれません。特に働き方改革の文脈でいえば、基本的には「止める」という選択をしなければいけません。しかし、先生方は何かをスタートさせることは「子どものためになるから」と賛成多数ですが、止めるときには「今までやってきて一定の成果もあるのになんで止めるの」と反発したり説明を求めたりする生き物なので、その反発を食らうことが予想されるのにゴーサインを出す、というのはなかなかシンドイのです。
そうした管理職の立場をなにも考えずに働き方改革を進めようとしても、絶対に上手くいきません。管理職になったことのない我々一般ティーチャーは、働き方改革を進めるためにもまずは、管理職の立場を理解しようと努めることも必要なのです。

②教諭と管理職では求められるスキルがちがうから
ここでは、教諭=授業を受け持つ先生、管理職=学校運営をする先生、という定義で話を進めます。ぼくも含め多くの先生方は教諭であり、子どもたちと授業をすることが仕事の8割です。一方、管理職は子どもたちと授業することはほぼなく、学校運営に関する内外的な事務処理が仕事の8割です。ここからも容易に想像できますが、2つの仕事の間には大きな溝があります。仕事内容が全くちがうので、当然求められているスキルも全くちがうものになります。これは、めちゃくちゃ大きなシステムエラーです。
端的に言えば、教諭に求められるのは「授業スキル」ですが、管理職に求められるのは、「学校運営スキル」です。では、授業スキルを高めていけば、学校運営スキルも相対的に上がっていくのでしょうか。もちろん、答えはNOです。授業スキルと学校運営スキルに求められうものは全くちがうということは、感覚的にも分かるはずです。なので、管理職試験の条件に「経験年数」というような項目があることに、ぼくは違和感を覚えています。だって、教諭として30年子どもたちに寄り添って授業したとしても、その先生の授業スキルはLv30と言えるかもですが、学校運営スキルはLv0のままですから。
#完全にシステムエラーでしょ

なにが言いたいかというと、年功序列制度よりマシだとしても、やはりシステム上、一定数の「学校運営スキルLv0の管理職」は生み出されてしまうということです。慌てて補足しますが、これは特定の誰かを誹謗中傷するような意図はまったくありません。単に、システムとして、学校の管理職になるためのプロセスには欠陥があるのではないか、という指摘であることをご理解ください。
#ちなみに
このシステムエラーを少なくしていくために、ぼくは民間人校長(教育に関する経験がない人を、民間から管理職として雇う)をもっと積極的に行えばいいのにな、と思っています。

そろそろまとめます。
冒頭の問い「なぜダメな管理職が多いと感じるのか」の答えとしては
・管理職になったことがないので、そう感じることがある
・年功序列よりマシだけど、それでもダメな管理職は一定数いる
この2つが、ぼくなりの答えになりそうです。もちろんぼくも管理職の経験はまったくないので、個人の偏見が多分に入っている可能性は大いにあります。そのあたりは、ぜひ記事をごらんいただいたみなさんの意見を、お聞かせいただければと思います。


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