TOC(制約理論)まとめ スループット会計3

TOC(制約理論)の知識定着を目指し、学習したことをアウトプットしていきます。今回はスループット会計の3回目になります。
スループット会計を理解する上で、活動基準原価計算(Activity Based Costing)と線形計画法は抑えておきたいです。今回はまず活動基準原価計算についてまとめていきたいと思います。
なお、シリーズ最初の記事はこちらです。

活動基準原価計算について
活動基準原価計算(Activity Based Costing)は、1980年代後半にハーバードビジネススクールのキャプラン教授が提唱した原価計算の方法です。頭文字をとってABCと呼ばれることもあります。

活動基準原価計算が提唱された背景として、少品種多量生産から多品種少量生産へのシフトが考えられます。多品種少量生産になることで、製品企画、設計、工程の段取り作業、設備の検査、小口配送など、これまで意識してこなかった支援活動のコストが膨らみました。(多品種の製品製造はそれだけ細かい手間が増えます。)膨らんだ支援活動のコストを活動量に比例させ、適切に製品原価に配布させようとしたのが活動基準原価計算になります。

活動基準原価計算の例
物凄く単純化して説明します。
ある工場で製品Aと製品Bの2製品を製造しています。工場では、各製品を配送するのにアルバイトを雇っていることにします。配送にコストが掛かっているので、これを各製品に配布することで各製品の原価を求めます。
こんな感じです。

スループット会計_Image19

配送コストが10,000円だとして、配送回数を基準に各製品に配布します。製品Aの配送回数が10回、製品Bが15回。これを基準に配送コストを配賦すると、製品Aが4,000円、製品Bが6,000円になります。
このようにして、支援活動(間接費)を製品に配布して製品原価を算出する手法がABCです。
今回は単純化していますが、実際にはたくさんの支援活動が発生します。設備の保守作業、工場の光熱費、工場長の人件費、本社費用など、ほんとに様々な支援活動(間接費)が発生しています。これらを支援活動(間接費)ごと基準を定め、製品原価に配賦することになります。

活動基準原価計算は、利益の最大化を阻害する
活動基準原価計算に基づいて製品原価を算出した場合、利益を最大化しないケースが起こり得ます。これは、スループット会計1,2で説明してきました。さまざまな基準を用いて原価を配賦したとしても、配賦基準次第で金額が変化します。そのため、活動基準原価計算で算出した製品原価で意思決定をした場合、実際には利益の最大化を阻害してしまう場合が起こり得ます。

TOCではスループットの最大化を図る
TOCでは、利益の最大化に対して正確な意思決定を行うために、スループットの最大化を軸に意思決定をしていきます。
スループットとは、「売上-材料費」のことです。
支援活動(間接費)を配賦して原価をもとめると、配賦基準によって数値が変動してしまいます。そのためTOCでは、配賦をして原価を求める前に、とにかく企業全体でスループットの最大化を目指します。企業全体のスループットから企業全体のコスト(材料費以外のコスト)を差し引いて利益を算出します。この考え方がスループット会計1,2で説明してきた内容になります。
支援活動(間接費)を配賦をしませんので、製品原価がコロコロ変わるなんてことは起こりません。結果、利益の最大化に対して適切な意思決定が可能となります。
評価指標については、こちらに詳しくまとめてありますのでよかったらどうぞ。


今回は活動基準原価計算(Activity Based Costing)をまとめてみました。専門的になってきたので少し難しくなってきたかもしれません。次回はスループット会計シリーズの最後として、線形計画法についてまとめます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?