見出し画像

自転車四国一周⑥室戸岬をこえて、高知突入

3時に目覚ましが鳴るも、布団から出たのは4時。連日の暑さとギアなしの影響から疲労が抜けない。
ただここからは県境まで少しアップダウンがあるだけで、高知市まではフラットな道のりが続くという。
宿のサービスの食パンとコーヒーをいただき、出発。

方言全開の標識に和む。

海沿いより森の道の方が短いようで、ギアが壊れた今、できるだけ負担の少ないルートを選ぶ。

霧が出て、涼しい。坂が多少きついけど、押して歩ける距離なので、なんとかなる。雲も出ていて、直射日光を避けられるだけで、体の疲労度がかなり違う。

今日の宿泊地は室戸岬にしようと考えているが、案外いいペースで進めそうな気がする。
昨日1日100キロ程度に計画を変えたばかりだが、進めるときは進んでおいた方がいいだろう。

海沿いの道に出た。
太平洋だ。外洋は、波も荒々しい。
サーファーの姿もちらほら。
湖のように穏やかな瀬戸内とはまったく違う。

高知に入る手前あたりからフラットな道が続く。
海からの風が追い風となって、ぐんぐんスピードがあがっていく。
この調子なら、午前中に室戸岬についてしまいそう。

瀬戸内では見ることのなかった「津波浸水想定区間」の標識。
東北と同じように、ここもまた津波が身近な災害なのだ。
結構、高台でも想定区間の標識があるのは、南海トラフを想定してのことか。襲われないことを祈りたいが、津波はいつか必ずくる。
10年後かもしれないし、100年後かもしれないし、今日かもしれないのだ。

室戸岬はもうすぐ。順調すぎる。
空気入れが常備されたコンビニでおにぎりとチキンバーの軽食をとっていると、東京の知人からメッセージが。

「明後日あたり、そっちに台風くるっぽいよ」

まったくノーマークだったから、なんともありがたい。
台風が来るとなれば、どこかで足止めをくらうかもしれない。
計画を変更し、室戸岬をすっ飛ばして、行けるところまで行こう。

10時。室戸岬到着。めちゃくちゃ順調だ。
子供の頃、夢中で読んでいた漫画「ドカベン」の続編「大甲子園」に登場する室戸学習塾を知ってから、いつか訪れたいと思っていた憧れの地!

波も荒々しい。ここで犬飼知三郎たちは打倒・明訓に励んでいたのか。

そして室戸岬といえば、弘法大師さまだ。下部の基壇を含めて高さ21メートルという国内最大の「青年大師像」が海をのぞむ。

弘法大師さまが、悟りをひらいた洞窟が残っている。

ブッダが悟りを開いたインドのブッダガヤの洞穴を訪れたことがあるが、こちらの方がはるかに大きい。

海水の侵食によりできた洞窟で、当時青年だった弘法大師はこの地で開眼。洞窟の中から見えた風景が「空と海」だったことから「空海」の法名を得たと言われているそう。カッコいい名前だ。

室戸岬からは、高知市の方へ向かって、半島を北上する。
南下していた午前中と違って、今度は海から向かい風が吹く。
とはいえ、風がある分、暑さはいくぶん楽だ。
スピードは落ちるが、道もフラットで、快適に距離を稼いでいく。

室戸近郊。台風なのか。アパートが吹っ飛んだまま。
他にも、海沿いに小さな集落があったりして、津波がきたら。。。と思うと不安になる。余計なお世話だろうが。

昼ごはんは、室戸市街の食堂。本場のかつおのたたき。分厚い。

この道標を見かけると、進むべきみちを進んでいるようで安心する。

阪神のキャンプ地で有名な安芸市。
立派な自治体の施設やドーム球場があった。

そして、サイクリストにうれしい自転車専用道が!
まるで台湾のような心遣い。四国の本気度がうかがえる。素晴らしい!

この専用道は、高知市近くまでのびている。
車道はやはり怖いから、心から助かる。
首都圏もこういった道が増えるとうれしいのだが。。。無理だろう。

自転車道のおかげもあって、夕方5時前に高知市へ到着!

昨日ペースを落とそうと思ったばかりだが、今日は160キロの爆走となった。
ギア1枚でよく頑張った!
ただ、立ち漕ぎのしすぎなのか、ハンドルを強く握りすぎたようでバーテープがめくれてしまった。

宿の店主のおすすめで、ひろめ市場へ。
週末ということもあって、めちゃくちゃ混んでいて満員。
「これ並ぶんですね。知らなかった・・・」
無垢な表情で店員さんにつぶやくと、憐れんでくれたようで、
家族連れに、「この人、一人なんて、ちょっとだけ相席いいです?」
と席をつくってくれた。
感激して、店員さんとご家族に何度も頭をさげた。

そんな心優しい店員さんを、忙しなくテーブルを片付けていた別の店員さんが一喝!

「はよ、働けや、ばばあ!!」

絶句したが、ただ当の二人は何もなかったかのようにその後も会話を続けている。
高知弁は、他県の人が聞くと喧嘩していると勘違いされるくらいきついと聞いたことがある。高知弁では普通の言い回しなのだろうか。

ともあれ、親切な店員さんのおかげで、本場のかつおの塩たたきにありつけた。
分厚いかつおに粗塩がふられた豪快な料理で美味しかった。

ひろめ市場を出ると、ポツポツと雨。
夜にはザーザーぶりとなった。台風が近づいているようだ。
ここから四万十までの道中には、きつい登りがあるという。
香川の自転車屋さんが心配していた七子峠だ。
雨も降り続くだろう。明日がヤマになりそうだ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?