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自転車四国一周⑦四万十の元祖かつお塩たたき

4時起床。夜通し降っていた雨が、奇跡的にあがっていた。パッキングが助かる。当初は四国のあとに大阪に遊びにいくつもりだった。
なので街で動きやすいように荷物を入れた小さなザックを自転車にくくりつけている。しかしシフトレバーが折れたり、台風が迫ってきたりで予定が読めなそうなので、大阪行きをやめにした。
こんなことなら、防水のオルトリーブのパニアバッグにすればよかった。レインウェアのズボンでザックをくるんで5時前に出発。

さっそく道を間違えて、川を渡れない。
あれれとスマホをいじっていると、「まよったんか!」と元気なおっちゃんに声をかけられた。
「川わたるんか」「はい」「そんなら・・・」と丁寧に道を教えてくれた。
昨晩のひろめ市場の店員さんといい、高知の人は言葉はちょっときついかもしれないけれど親切だ。東京じゃ、こうはいかない。

おかげで土佐市についた。
ドカベンでお馴染み、明訓最大のライバル土佐丸高校の地元だ。軽く震える。

30キロほど走り、須崎。ここから七子峠をこえて、なんとか四万十市まで行きたい。
香川の自転車屋さんが心配していた七子峠。
前夜の高知市の宿でも、七子峠は「車でもうんざりするほど登り坂がつづく」そうで、ギア1枚の自転車では無理じゃないかと心配された。
どれほどの峠なのか、怖い。。。
ただ、「でも半島の先には本当に綺麗な景色があるから、できるなら見てほしいなぁ」とも。
なんとか登りきりたい。
雨が降ってきた。レインウェアを着る。

登り坂が続く。
傾斜がきつい、というよりは、長い。ずっとクネクネと登り坂。

トンネルも多い。ただお遍路さんのおかげなのか、歩道があるので助かる。
自転車で怖いのは、なんといってもトンネルだ。肩口を大型車が走り抜けていく瞬間は、いくら経験しても体がこわばる。

結構、登ってきたな。雨も降り続く。

まだ5キロもあるのか。
クネクネと長い。。。。雨も時折土砂降りになる。
ただキツいけど、絶望するほどではない。
やはり台湾での経験が大きい。台湾の南の方の峠は、軽自動車じゃ登れないんじゃってくらい急な坂が延々と続いていた。
自転車を押して、何時間歩いたかわからないほど長く、さらに雨もめちゃくちゃ降っていて、半泣きだった。
あの経験がある種「キツい」の上限になっているので、七子峠もなんとか耐えられる。
経験は、耐性を拡張してくれる。能力が劣っていても、経験があれば乗り越えられることもある。

登り始めて2時間弱。9時半、ようやく七子峠にやってきた。やった。
香川の自転車屋さん、なんとか登り切れましたよ!

10時頃、峠から下りてきて、コンビニでオニギリとチキンバーをパクついていると、スコールのような土砂降りの雨が降り出した。
目的地の四万十市までは、あと40キロくらいだろうか。

仕方ないかと、走り出したが、雨はどんどん強くなってくる。
雷もバリバリ轟いている。
このままじゃ道路が冠水するんじゃないかというほど、激しくなってきた。
もはやレインウェアも役立たずで、なかのシャツもびしょびしょ。

こりゃやばいと、急いでコンビニの方に戻り、となりの道の駅でしばし雨宿りすることにした。
近くに旅籠屋があったので、もうそこに泊まるしかないかといろいろ考えながら、ネットの雨雲レーダーを見ると、11時頃に雨がやむという。
目の前の土砂降りからは想像もできないが、シャツを着替えたりしながら、雨宿りしていると、なんと11時に雨がやんだ! 気象庁、すごい!

このチャンスを逃す手はない。すぐに走り出す。

12時過ぎに海沿いの道に出た。
さびれた町、サーファー、津波の文字。。。を横目に爆走!

鯨は見えなかったが、道の駅でランチにしらす丼。

いよいよ四万十市も目の前!

2時すぎ。
長い登りのつづく七子峠をなんとか越え、轟く雷におびえながら、びしょ濡れで走ること110キロ。
四万十市に到着! 街がかなり大きくてビックリした。やっぱりスナックも多い。

宿で紹介されたカツオの塩たたき発祥の店『厨房わかまつ』。

この店の塩たたきは、昨日高知市で食べたものとは別物レベルの絶品!
塩たたきの発祥というけれど、どこも真似ができないのではないだろうか。
調べると、漫画「美味しんぼ」にも出てきたそうだ。

酸味に、梅っぽさもあって、かなり好みの味。
ステーキのように分厚いカツオ7切れもペロリと平らげられた。

さらに、まぐろのたたきのぶしゅかん? というのか。

四万十ぶしゅかん、というのがあるみたいで、柑橘系の味付け。これもまた好みの味で、美味しかった。

ちゃんばらの煮物。

川海老の唐揚げ。

食べたことのない味ばかりで、大満足だった。
急きょとった宿の女将さんが、このわかまつの女将さんと同級生ということで教えてもらったお店。大雨は大変だったけど、ラッキーだった。

そんな名店で若者たちがコンパをはじめるようで、男性陣が30分も前に来て、生ビールを飲みはじめてて、なんか微笑ましかった。

しかし、灼熱の太陽のあとは、台風襲来か。

さすがに台風級の大雨では走れないので、どこかで足止めもありうるかなと天気予報を凝視している。

ここまできたら、何とか愛媛に帰りたい!

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