手放すこと、離れること
「今年の目標は、自由と解放なんだ」
2月に誕生日を迎える彼が、年明けにこう話した。
何に縛られていて、何から解放されたいのか、
なんとなく分かった気がしたが、
私はただただ、この楽しい日々が永遠に続くことを、
心から願っていた。
今思うと、
なんとなくではなく、もう気づいていたのかもしれない。
その現実から、目を背けたかっただけなのかもしれない。
毎日のLINEが義務化されていき、
内容がそっけなくなり、会うのを拒まれるようになった。
そんな中、選んだ誕生日プレゼント。
本当に渡せるのだろうか。
本当に会ってくれるのだろうか。
不安な気持ちばかり募っていった。
「仕事の上司としてしか、見られない。ごめん。」
彼の誕生日3日前に、別れを告げられる。
決心が固く、私にはどうしようもなかった。
彼にとって、私を手放すことで心が豊かになる。
それは、私にとって楽しい日々が離れていくこと。
この現実を受け止めるしかなかった。
彼の中に、他の選択肢は残されていなかった。
最初の印象がすべて。
最後まで変わることはなかった。
もっと一緒にいたいけど、
それが彼を苦しめるのであれば、
私は受け入れるしか、そうするしかない。
手放すことは、離れること。
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