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"プロセス"の価値を新規事業に組み込むために重要な3つのポイント

michinaru株式会社で学生インターンをしている若林です。

「変化を起こす挑戦者を創る」というミッションの元、新しい事業を生み出す人や組織づくりについて日々勉強をしています。

今週は尾原和啓さんの「プロセスエコノミー」という本を読みました。

プロセスエコノミーとは前々からあった言葉ではなく、クリエイターの制作現場をライブ配信するサービス「00:00studio」を立ち上げた「けんすう」さんが下の記事で初めて言語化した概念です。

こちらの記事を読んでいただけれ、より詳しく理解していただけると思うのですが、簡単に説明をすると「製品が完成するまでのプロセスにも価値があるのだから、そこでも課金してもらうことが出来ますよ!」といった意味の言葉です。

CAMPFIREなどのクラウドファンディング、DeNAさんのPocochaSHOWROOMとかのライブ配信サービスはこの「プロセスエコノミー」を盛り上げている事例になります。

本書はその「けんすう」さんが新しく言語化した「プロセスエコノミー」という新しい概念を、著者である尾原氏が多様な側面から捉え直し、

アウトプット(サービスや製品、作品など)を生むプロセスの価値を見つめ、どのように顧客に提供していけば良いのか?

というメソッドとして提示をしてくれている本でした。

便利で質の高い商品が、安い価格で一般家庭にも提供されるようになったため、企業は顧客の物質的欲求を満たすだけの商品を作っても、選んでもらえない時代になってきています。

機能面や価格といった物質的なモノより、生産者の想いや環境への配慮といった内面的なコトを重視した消費行動をする人が増えるようになった現代において、商品開発は「役に立つか?」ではなく「意味があるか?」といった視点が大切になってきています。

そして、「意味があるか?」という視点で商品を見つめると、プロセスは課金につながること以外にも様々な価値を持つことが理解していただけると思います。

・この商品は誰が、どんな思いを込めて作っているのだろうか?
・この会社はどれくらい社員を大切にしているのだろうか?
・生産過程でどれくらい環境に対して影響を与えている商品なのだろうか?

こういった、疑問は「役に立つか?」という視点で商品を見た時には大した意味はありませんが、「意味があるか?」といった視点で商品を見つめた時には重要な意味を持ちますよね。

今回の記事では、本書で学んだプロセスエコノミー的な視点を事業開発の文脈で読み解き、プロセスの価値を新規事業開発に持ち込むためのヒントを提供できればと思っています。

そのため、プロセスの価値を商品と共に顧客に提供する方法とは?
という問いを立て

1.「修正主義」になりプロセスやアイデアをオープンにする
2.「Why」をさらけ出すことを一番大切にする。
3.プロセスを公開しても自分の「Why」を強く持ち続ける。

という三つのトピックで書いていこうと思います。

1.「修正主義」になりプロセスやアイデアをオープンにする

冒頭の文章で現代において、プロセスには様々な価値があることを理解していただけたかと思います。

しかし、多くの人はアウトプットエコノミー、つまり人知れず努力をして納得の行くものを人様に出すという価値観で生きていると思います。

私自身もこの感覚は強くあり、努力は人に見せないのが良いのではないかと、どうしても考えてしまいます。

これは、学校教育が大きく影響しているのだと本書では書かれていました。
日本の学校教育は、たった1つの正解へ向かって突き進む「正解主義」にとらわれているため、先生も生徒も「正解をいかに導き出すか」という常識にがんじがらめになっているというのです。

しかし、激動の時代には、プロセスを公開し反応を見ながら変えていくことは邪道でもなんでもありません。学校教育で教えられた「正解主義」にとらわれず、途中で方針を変更することを前提とした「修正主義」こそ、決められた正解のない時代の歩き方なのです。

プロセスエコノミー図1

プロセスを公開しながら、こだわりや想いを顧客を共有することで完成前からファンを作ることで出来ます。そして、その熱量を保ったまま発売につなげることが出来れば、リリースされた時に1人で試行錯誤するよりも多くの人に受け入れられやすい形になっているはずです。
この考え方は「ファンベース」にもつながる部分が多いので、気になる方は是非こちらの記事も読んでみていただきたいです。

情報を発売前から開示するということは、新しい技術やアイデアを、他者に模倣・追随されてしまう可能性を生み出します。しかし、情報をオープンにすることで、さらなる情報が集まってくるというメリットもあるのです。

「最初に旗を立てた人」というのがネットの世界で明確になった時、そのその人には注目が集まり、多くの情報が集まるようになるのです。

「私は〜をしようとしている!」と旗を立て、プロセスを公開しながら行動を始めることで、その旗を立てた企業、または個人には関心を持った人や賛同した人が集まり、その人を中心にそのアイデアは動き出します。

似たアイデアを後から実行した人が「最初に旗を立てた人」を追い越し、自分のアイデアのように振る舞うのはとても難しいのではないでしょうか。

2.「Why」をさらけ出すことを一番大切にする。

プロセスを公開することの重要性を前の章で書きましたが、具体的にどのように伝えていけば良いのでしょうか?

それは、弱さも包み隠さず伝えながら特に『Why』(なぜやるのか・哲学・こだわり)の部分を重点的にさらけ出すことです。

誰もがYoutubeやInstagram、Twitterといったもので発信をしまくる現代において「What」(アウトプットの内容)だけで、差別化要因を作ることは難しいです。

「What」の内容だけで、勝負をしようとしても元からの知名度がある人(芸人、スポーツ選手、俳優など)には敵いません。また、目立つことばかりを考えてしまい、コンテンツを過激にしてしまったがために本来、成し遂げたかった事、伝えたかったことから離れてしまうことも少なくありません。

プロセスエコノミー図2

そうならないためには、『Why』(なぜやるのか・哲学・こだわり)の部分をさらけ出すことが有効な手段です。

ある事業が創業者の人生の中で起きた出来事をきっかけに生まれた場合、なぜその事業をやるのかといったストーリーは必ずオリジナリティ溢れるものになります。なぜならば、その人生を経験した人は他にいないのですから。

哲学やこだわりといったものも、人生にある様々な経験から生まれてくるもので、他の人が真似しようと思っても出来るものではありません。言葉だけ真似をしても、お客さんはそれに必ず気がつくでしょう。

こうした、最終的なアウトプットの『Why』を知る事はその商品をお客さんにとって、「役に立つモノ」から「意味のあるコト」に変えていきます。

「意味のあるコト」に変わったその商品はお客さんの人生にとってかけがえのない存在になり、より人生を豊かにしていくでしょう。

3.プロセスを公開しても自分の「Why」を強く持ち続ける。

プロセスを公開していくことのメリットはたくさんありますが、デメリットもあります。それは、プロセスで稼げてしまうと本来の「Why(なぜやるのか・哲学・こだわり)」を逆に見失ってしまうという罠に陥る可能性があるということです。

例えば、注目を浴びるのがとにかく得意な人が、プロセスを上手に開示することによって実力以上の資金やファンを集めた場合、それに呼応してより大きなチャレンジを掲げなくてはいけないことがあります。これを繰り返してしまうことで、チャレンジのインフレみたいなものが起きてしまうのです。

すると、その活動がカルト化していき、何も起きていないのに「プロセス」  のみで資金が集まってしまったり、アンチが多く生まれたりします。

しかし、身の丈に合わないチャレンジ自体が否定されるものではありません。

プロセスエコノミーの罠に陥らないためには、他人の意見は取り入れても自分が最初に持った「Why」を大切にし、常にそこに立ち返る。自分は何のためにやるのか、自分の一番大切にしているものは何かを常に自問し、振り返り続けることが大切です。

そして、大きな目標を掲げていても、理想だけではなく現実とのギャップを直視し、地道に埋めていくことが大切なのです。

そうすることで、プロセスを開示し他者の意見を取り入れつつも自分を見失うことなく新規事業を生み出すことができるのです。

「プロセスエコノミー」を読んでみて

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の記事では

プロセスの価値を商品と共に顧客に提供する方法とは?
という問いものと

1.「修正主義」になりプロセスやアイデアをオープンにする
2.「Why」をさらけ出すことを一番大切にする。
3.
プロセスを公開しても自分の「Why」を強く持ち続ける。

という3つのトピックで書いてきました。

自分自身、プロセスを見せることに対してあまり肯定的ではなかったのですが、プロセスを見せることが顧客にとっても価値があることなのだ。と捉えられるようになりました。

企業と顧客がより人間味のある関わりを持つことが出来る素敵な方法だと感じたので、新規事業を生み出す際のヒントにしていただきたいです。
この記事をヒントに、プロセスを公開しファンを着実に増やしながら新規事業の開発をする。といった選択肢を持っていただけたら嬉しいです。

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