採用面接を受ける方必見!! ~③営業職編~

みなさんこんにちは! ターミナルバリューの江田です。

本日は、営業職を希望される方で、面接に進む前にどういった案件に応募するのが良いのか、という視点でお話ししたいと思います。

営業職という仕事は、求人案件数も経験者も非常に多い職種となります。そのため、「営業職はみんな同じようなもの」と考えがちで、いったいどの会社のどの案件に応募すれば良いのか迷ってしまう方に、少しでも役に立つようなお話になります。
同じ営業職でも、扱う商材、対象、スタイルなどによって大きく異なりますので、その違いから見ていきましょう。

営業職をさらに分類して考える際の変数は、以下のようなものが一般的です。
 ①新規 ⇔ 既存
 ②個人 ⇔ 法人
 ③高額 ⇔ 低額
 ④差別化要素大 ⇔ 差別化要素小
 ⑤課題解決型 ⇔ カタログ型

では、一つ一つ見ていきましょう。

①新規中心 ⇔ 既存中心
これは、営業対象が新規か既存かということです。営業職をご経験された方でも、「新規好き」の方はそれほど多くいらっしゃらないと思います。私も正直、それほど好きではありません。その理由は、「断られる」頻度が非常に多く、心が折れそうになるからです。
ただ、最近の傾向として、自分でリストアップや電話をして新規顧客を獲得しなくても良いケースが増えてきています。「リード獲得」という最も辛い部分をインサイドセールス部隊が担ったり、Web広告を活用したりして、営業職としてはリード獲得後の営業に専念できることが増えてきています。そうすることで、「新規嫌い」の営業職の方の負担を大きく減らしている案件であれば、「嫌じゃない」と感じる方も多いのではないでしょうか。

②個人 ⇔ 法人
これも営業対象の話で、文字通り個人か法人かの違いです。では、営業対象が個人か法人かで何が変わってくるのでしょう?
実は完全に単純化はできないのですが、法人より個人の方が、より情緒的な要素で意思決定される可能性が高く、逆説的には個人より法人の方が、より合理的な要素で意思決定される可能性が高いと言えます。
単純化されない理由は、実は③の高額か低額かの要素の影響を強く受けるためです。高額の場合は個人でも合理的要素が満たされていないと意思決定されません。要するに、安いものであれば他人、それも親しい人から勧められれば購入してしまうが、さすがに高額なものはいくら友人から勧められても簡単には意思決定できないという意味です。
また法人の場合でも、実際に意思決定するのは人間ですので合理性だけでは決まりません。
例えば人事が「100人採用する」という目標を持っていたとします。99人まで順調に採用できたものの、100人目がなかなか採用できず期日が迫ってきたら、どういうことを考えるのでしょうか?
どうしても「100人採用する」ということに執着するので、予算をオーバーしてでも、最悪、採用基準を下げてまで採用しようとしてしまいます。残念ながら法人としての正解が、「予算内で」や「採用基準は下げないで」であったとしても。「いや、俺はしないよ」という方もいらっしゃいますが、上位管理者よりも担当者レベルになればなるほどそうしてしまいます。
それは何故なのでしょうか?結論は、自身が所属している法人より個人としての自分を優先してしまうからです。
サラリーマンは社内での自身の評価をどうしても考えてしまいます。100人の採用目標に対し、99人で終わるのと100人採用できた時との評価の差は天と地ほどあります。そのため、100人目を無理をしてでも採用しようと間違った努力をしてしまいがちです。
少し話が逸れたので、営業対象としての個人か法人かの話に戻します。要するに、法人であれ意思決定するのは人間であることには変わりはありません。重要なことは、提案に合理性が担保されているのであれば、あとは目の前の対象としての「個人」をしっかり見るという点において、法人営業も個人営業も大きな差はないと理解していただきたいのです。よく求人する側の企業が「法人営業経験」を重要視することが見受けられます。確かに意思決定プロセスの複雑性は法人営業、特に大企業の場合は考慮が必要です。しかし本質的には個人営業でも法人営業でも同じです。重要なことは、意思決定する人が誰で、意思決定するための要件は何かを明らかにし、それに合致する行動をとれば良いということです。

③高額 ⇔ 低額
これは、自身が営業する商品やサービスが、営業対象にとって高額に感じるか低額に感じるかのお話です。
一般的に高額なものは、意思決定に大きな勇気を伴います。個人であれば自身の生活に多大な影響を与え、法人であれば会社の存続にも影響するかもしれません。つまり高額な商品やサービスであれば、それを購入した場合に得られるメリットが、そのリスクを大きく上回るという「期待」が必要になります。言い換えれば、「高額なものを営業する=大きな期待を感じてもらう」という仕事と言えます。もっと言うと、個人であれば生活が変わるレベルでの期待であり、法人であれば業績が大幅に改善されるレベルでの期待というようなイメージです。そういう意味では、こうした高額なものの営業職で継続的に成果を出すために必要な要素は、倫理観や道徳観をしっかり持った方のように感じます。

④差別化要素大 ⇔ 差別化要素小
営業という仕事において、差別化要素が大きい商材を扱うことほど楽なことはありません。見込み顧客に対し、競合商品に比して「安い」であるとか「機能面での優位性」などをお伝えすれば良いので、営業する際の心理的ハードルを低く感じることに繋がります。
一方、差別化要素が小さい商材、例えば保険、ビール、複合機などは、なかなか競合と圧倒的な差別化された商材を扱う機会には恵まれません。また「代理店」のように、代理店同士、扱う商材が全く同じというケースもあります。
しかし、営業職としての「力」はどちらの方が身に付くでしょうか?
そうですね。差別化要素が小さい商材を扱う方が、自身の営業としての力は身に付くのではないでしょうか。
もしも営業としての力を伸ばしたいと思う方であれば、差別化された商材を扱うよりも、全く同じものを扱う場面に身を置くという選択肢もあるのではないでしょうか。

⑤課題解決型 ⇔ カタログ型
最後は、いわゆる営業スタイルのようなものです。
課題解決型と呼ばれるスタイルは、仕様や機能、あるいはコンテンツなどが明確な商品やサービスがあるわけではなく、顧客の課題や実現したいことに合わせ、場合によってはゼロから作ることも厭わないような営業スタイルです。
反対にカタログ型とは、提供する商品やサービスが決まっていて、その中から顧客課題の解決に最も相応しいものを選択し、提供するような営業スタイルになります。
どちらも顧客課題を解決するために商品やサービスを案内することには変わりはありません。違う点は、提供する商品やサービスが、かなりの範囲でカスタマイズ可能か、ある程度決まっているかになります。
前者は自由度が高い分、変数が多いので、自社の提供する商材やサービスに関する幅広い知見が必要となります。いくら営業経験を積んでいても、異業界からの転職の場合、Catch upするまでにはどうしても時間を要しますし、そもそもその業界に関する興味関心が無いと学ぶモチベーションも生まれてきません。
一方後者は、ある程度決まった商品やサービスになりますので自由度は低くなりますが、商品やサービスの種類が多い、あるいは競合商材との差について十分に理解し、その上で最適解を選択する必要があります。
また一般的に、前者は高額になるため営業機会が少なく、後者は相対的に安くなり得るので営業機会は多くなる可能性があります。営業としての力を付けていくための「場数」は大きな要素の一つになりますので、営業経験が浅い方は後者を選択して基本をしっかり学ぶことも大切です。
また、求人企業の中には「無形商材」「有形商材」という言葉を使って営業経験を問うケースがありますが、個人的には全く関係無いと思います。有形でもカスタマイズ型の営業もあれば、無形でもパッケージ中心というケースも多数あるからです。
いずれにしても顧客課題を解決することに変わりはありません。より顧客課題を深いレベルで確認し、具体的なSolutionにつなげていく力はどんな場合でも必要です。

今回は面接対策的なお話の前に、営業職という職種を5種類の変数で見てきました。ご自身のキャリアや好き嫌いを考えた場合、どんな視点で考えれば良いのかのヒントになれば幸いです。

最後に、顧客は生じている「現象」を課題として発するケースがほとんどです。問題なのは生じている「現象」ではなく、その「現象」を生んでしまっている「原因」です。
売上が上がらない、利益が出ない、人の定着率が悪い、いい人が採用できない・・・etc. どれも「現象」に過ぎません。
営業という仕事は、顧客が発する「現象」から真の「原因」を探り、そこに本当の解決策を提案することだとご理解いただくと、この仕事の面白さにお気づきになるのではないでしょうか。


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