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小説『猫のお告げは樹の下で』発売です。

新刊『猫のお告げは樹の下で』(宝島社)発売中です。

発売日(9月14日)前に「出ます」という告知もせず、なんだかタイミングを逃したまま一週間が過ぎてしまいました。
どうも、自分なりのnoteの「テンション」みたいなものがつかめずにいますが、これからは少しずつ書いていこうと思います。

『猫のお告げは樹の下で』は、私にとってデビュー後2作目の小説です。
熱意のある編集担当さんとゼロから作りこんでいった書き下ろしで、昨年の秋の終わりから寝ても覚めてもこの小説のことを考えていました。
投稿時代があまりにも長かったので、まだ出来上がってもいない作品の仕様や発売時期を打ち合わせしているときはなんだか不思議な気持ちでした。作家になりたいと思ったのは14歳で、初めて新人賞に小説を応募したのは24歳です。投稿し続けていた20数年の間、書いて書いて送って送って、それでも誰かに読んでもらえているのかさえわからないことのほうが多かった。だから、私の原稿を「絶対に、そして大切に」読んでくれる編集さんがいるということが本当にありがたかったです。編集さんはもちろんのこと、この本に関わってくださった皆さんの「一緒にいいものを作ろう」というモノづくりのハートにたくさん助けられて、何度うれし涙をこっそりぬぐったか知れません。

素敵な装画は、前作『木曜日にはココアを』に続き、今回もミニチュアアート写真家の田中達也さんが手がけてくださいました。
毎日の作品アップや各種制作に加え、日本全国どころか世界を飛び回っていて本当にお忙しいところスケジュールを空けてくださり、どれだけ感謝しても足りない気持ちです。あの小説が田中さんの中を一度しっかり通ったことが装画に表れていて(つまり、すごく読み込んでくださっていて)、登場人物ひとりずつに命が吹き込まれたような感じ。よかったね、君たち。表紙を見るたび、そっとなでてしまいます。

田中さんはこの9月、日本橋髙島屋で個展開催中で、12日のトークイベントには私も編集さんと一緒におうかがいして少しご挨拶することができました。鹿児島県在住の田中さんと直接お会いできるのは貴重なタイミング。私は前日からすでに緊張していて挙動不審になりっぱなしでしたが、クレバーなキレの良さの中にあたたかなまなざしがあって、田中さんってホントに作品そのものの方だなあと思います。

そしておととい、三省堂書店神保町本店で、サイン本を5冊作らせていただきました。
書店員の新井見枝香さんともお話できてよかった。
励みになるお言葉もたくさんいただきました。
テレビで拝見する新井さんって、「デキる!」って感じでカッコイイのですが、実際にお目にかかると、とっても可愛らしいんですよね。
お会いするのは3回目でしたが、私、この日はなんだかデレデレしてしまい、「ハイソックスがかわいいです……色が白いですね」などとエロオヤジみたいな発言を……。反省。

今はまた、次の小説のことを考えています。
やっていることは投稿時代と同じで、家事しながら思いついたことを急いでメモしたり、散歩の途中でいろんな空想にふけったり、私自身が特に何か変わったという感じはしません。
でも、商業ベースとして通るかどうかは別として、「こんなの考えた!」と言える場所があることはこれまでとの決定的な違いで、とても大きな支えになっています。

今はただただ、小説を書くことが幸せです。ずっと書いていたい。眠らないでも大丈夫な体が欲しいと思うくらい。
だけど、夢のお告げもきっとあるから、やっぱり眠ろう。
また明日も、書きたいものが書けるように。