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自分に似合う色を見つけていく

 巷で話題のパーソナルカラー診断というのを、大学生の頃に受けたことがある。大学内の就職支援の先生がたまたま資格を持っていて、以前から興味があったので友人と受けに行ったのだ。

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 自分に似合う色に興味を持ちだしたのは、中学生のとき。
 いわゆる「差し色」というものに心惹かれて、大変下手糞ながらも色んな色の服を試して着ていた時期だった。今なら絶対に着ないようなはっきりとした赤や青、ショッキングピンク、青みの深い紫。いやどこで買ったんだよと言われるような服ばかりだったが、購入先はしまむらかセカンドストリート、名もない古着屋。

 そこから高校生になり、「あ、違ったな」と悟りを開き、暗いトーンの服を好んで着るようになった。一時期は黒しか着なくて、そのことを友人にからかわれて恥ずかしい思いもした。色のついた服って難しい。それでも、ボルドーやからし色のパーカーやニットは自分に合っているなと思って、お出かけのときは気に入って着ていた。

 大学生になってからも、やはり黒は好んで着たが、徐々に自分に似合う色がわかってきた。白が似合わないと思っていたが、アイボリーは割と浮かないこと。黒よりもネイビーの方が暖かみがあり尚且つ似合うこと。ダークグリーンよりも黄色とグレーを少し溶かしたようなカーキが馴染むこと。色を中心に服を考えるのはとても面白かった。

 色に興味を持って色彩検定の資格も取った。2級と3級。正直日常でこの資格を使う機会は全くないが、色に明度や彩度があること、補色の関係、色ごとにつけられている名前、ちょっとした知識が増えた。

 ネットでパーソナルカラー診断を受けてみたりもした。結果は大抵オータム。なるほど、落ち着いた彩度の低い色の方が似合うらしい。シルバーよりもゴールド。髪の色は昔からずっと黒一色だが、染めるにしてもダークブラウンくらいが丁度いいようだ。でも、ネット上の診断だから、実際のところこれが正しいのかはわからない。一度ちゃんとした診断を受けてみたいと密かに思うようになった。

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 「うち、こないだパーソナルカラー診断うけたよ! michi-akiも受けてみなよ」と友人に教えられたのはそんな時だった。別の友人と、講義の空き時間にいそいそと就職支援室に足を運んだ。先生はショートカットで物腰柔らかい女の人で、突然診断してほしいと訪問した私たちに快く応じてくれた。

 まずは友人が姿見の前に呼ばれて椅子に座った。友人は茶色の髪に健康的な肌色をしていて、普段は焦げ茶やダークグリーンのような秋の深い色の服を好んで着ていた。私はひそかに、彼女はもう少し明るい色合いの服の方が似合うんじゃないかなと思っていた。

 先生は、どこからともなく大量の布地を用意すると、4種類の色味の違う布を見せてくれた。鮮やかな赤、ピンクっぽい赤、オレンジっぽい赤、紫がかった赤。この布を胸元に1枚ずつあてていくらしい。赤だけじゃなくて何色も布があって、机の上は色だらけ。

 4枚の布を重ねて持ち上げ、友人の胸元に掲げる。鏡越しに友人を見ながら、1枚ずつ布を落として、色ごとに友人の顔と照らし合わせる。似合わない色は思わずにやついてしまうくらいわかりやすかった。紫がかった赤は滅茶苦茶似合っていなかった。赤は全体的にどっちつかずな印象だった。

 反対に、黄色はどの色味も友人に似合っていた。特に似合っていたのは柔らかい花の色のような黄色。それと、緑は普段友人が着ている暗いグリーンよりも、新緑のようなグリーンの方がずっと素敵に見えた。

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 友人の番が終わり、今度は私が呼ばれた。

 どきどきしながら姿見の前に座らせられて、4種類の赤、4種類の黄色、4種類の緑といった風に、色味が少しずつ違う布を順番に顔の下にあてられる。色によっては、友人と同様、4種類どれも微妙だなって色もあったし、逆に4種類なんとなくいけるなって色もあった。

 似合わない色だと、血色が悪くみえたり、顎の下のところに影ができてヒゲみたいに見えたりするとのこと。
 私にもなんとなく、この色は似合うな、この色は似合わないな、というのは以前からあったが、布の中には普段なら絶対に服を買うとき選ばない色もあって、目もあてられないくらい似合わなくて面白かった。

 まず、赤の布は4枚ともそこそこ似合うと言われた。どちらかというとオレンジっぽい赤の方が似合うかなといった印象。
 青も割といけるらしいが、特に馴染んだのは、ブルーというよりもグリーンの割合が多い深い青。ターコイズグリーンのような色味。
 黄色の布はからし色、緑の布は圧倒的にカーキ。
 ピンクは基本的に笑えるほど似合わない。
 ライトグレーよりはダークグレー。

 手品みたいに、先生の手元で布が躍る。

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 最終的に、先生はうきうきと弾んだ声で、「michi-akiさんはオータムじゃない?」と仰って、オータムカラーの布をベースにいくつか交差して私の胸元にかけてくれた。

 暗いネイビー、グレーを溶け込ませたようなブルー、カーキ、からし色、ウォームオレンジ。先生の見立ての通り、上等な着物のように並べられた布地たちは自分によく似合っていた。ネットで診断した内容もあながち間違いじゃなかったんだなと思った。

 ちなみに私と一緒に診断を受けた友人はスプリングだった。ふたりともイエローベースでも、友人は明るい春の色が本当によく似合ってて、私はあまり似合っていなかったし、友人だと少し暗い印象になってしまう秋色が、私にはよく馴染んだ。中には友人にとっての黄色、私にとっての赤のように、どのシーズンのトーンでも似合う色があるのは大きな発見だった。

 先生曰く、今まで学生でみてきた中でオータムは初めてだったらしい。日本人は黄色人種なのに? 気になって家で色々調べると、当時の記事で多かったのは、ブルーベースであるサマーが日本人では比較的に多いとの内容。意外とオータムって少ないみたい。日本人は黄色人種なのにブルーベースが一定数いるというのも、そもそも興味深い。
 最近の記事では以下の記事が「黄色人種なのにブルーベースが多いのは?」といった内容に触れていて面白かったので参考として貼っておく。

参考記事:パーソナルカラー4シーズン日本人に多いのは?

 なんとなく、ブルべの人にあこがれる。隣の芝生は青く見える。

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 診断を受けてから、今まで以上に自信を持って、メイクやファッションの色選びをするようになった。

 診断で似合う色が明確になり、思い切って買ったのは、目が覚めるような赤のストールと、ターコイズグリーンのストール。どちらも布地が滅茶苦茶柔らかくて、草花をモチーフにした模様が綺麗で、とってもお気に入り。今までの私だとちょっと遠慮していたような鮮やかな色彩。

赤のストール

グリーンのストール

 特にグリーンのストールは、ショップでみてくれていた店員さんが、「ぜひそのストールを巻いて街中を歩いて欲しい!」と仰ってくれて、とても嬉しかった。今時期はもう暑くて着れないけど、春秋や冬の初めは、これにダークグレーのコートやGジャンを着て合わせてる。

 最近ちょっと挑戦して買ったのは、グリーンとブルーをちょっとだけ溶け込ませたようなグレーのセットアップ。今まであまり買ってこなかった明るめの色味だけど、明るすぎず落ち着いているのと、ジャケットの中に着る服の色次第で私も着こなせる気がした。

 緊急事態宣言が解除されて買い物に行った先日、早速このセットアップに黒いTシャツを着て、麻のグレーっぽいブラウンの靴下と黒のコンバースを履いて、髪をオールバックで結んで、お気に入りのごつごつしたイヤリングをした。色の組み合わせをとても気に入ったので、今後もこの組み合わせでヘビロテするのは間違いない。



 今日も晴れてる。お気に入りの色を身に着けて、散歩でもしよう。

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