Iida Misaki(いいだ みさき)

【自己紹介】 目で見て耳で聞き肌で感じたありのままの姿を書きたい。 社会や習慣や束縛の…

Iida Misaki(いいだ みさき)

【自己紹介】 目で見て耳で聞き肌で感じたありのままの姿を書きたい。 社会や習慣や束縛の先の自由な世界を書きたい。 そんな想いでエッセイ、小説、詩、絵を書いている人。 ■Instagram ⇨ Iida Misaki

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最近の記事

その海を、きみはまだ知らない

その海は海なのか? と問われたとしよう これはまぎれもなくまっとうな海ですよ、 とわたしはいうだろう きみのなかの海はどんな形をしているだろうか わたしのなかの海は、 かんがえつくこともないへんてこな姿の魚が いたるところを泳いでいる 波打ち際にころがる前の プリズムそのものの貝が呼吸し 星よりも星の形をしたヒトデがおどりくるい 木のようで花のような藻や草が あちらこちらにしげり いきものの宿であり家である珊瑚礁が とある地面をしきつめて なにものも通さない荘厳な岩の合間

    • お姉ちゃんとわたし

       実家に里帰りしてから早1カ月。その間に増えたことといえば、家族との会話、そして、仏壇の姉にお線香をあげて対話する時間だったりする。 +++  お姉ちゃんはわたしの3個上、学年で言うと中学高校は丁度被らない年の差で、母はきっと入学や卒業が一緒のタイミングで大変だったと思う。年の離れた弟もいて、弟とわたしは10歳、お姉ちゃんと弟は13歳離れていた。  わたしは兄弟(姉弟?)の中では次女で真ん中の立ち位置で、幼い弟の面倒はおそらく誰よりもよく看ていたが、10歳まで末っ子だっ

      • 【詩】人であるのだから

        飯をくれとカラスが鳴いた 冷たい空気を吸い込んだ朝だった 民家の庭を鳩が歩いていた 鳩を嫌う世の中になってから久しい 「ママ!お薬屋さんが呼んでるよ!」と子供が叫ぶ 薬局の椅子で待つ誰もが笑ったものだ ふと空を見上げれば霧のようなかすんだ雲 青さが目に染みて、しばらく見上げていなかったここ数日を思い出す やさしさだけでは溶かし切れない言葉を誰かを思ってつむいでみる たったひとりが振り向いて「あなたはすてきね」とほほ笑んだ それだけでいい それだけがいい 石を割り磨き

        • 人の目に触れられて育つ絵たち

           ある人は、真ん中にいるのはサメである、と言った。  またある人は、余白は日本列島であり、周りは海原であり、真ん中にあるのは鳥の巣である、と言った。  なんておもしろいんだろう。それらはわたしの想像を遥かに超越した世界であり、絵を見た人それぞれが独自の思考や価値観を持っているからこそ作り上げられる、それぞれのパラレルワールドだ。  この絵を描いたのは今年の春で、製作期間は約1カ月。A4の小さな世界のなかに、さらに小さく細かく描き込んでいった。描き終えてしばらくたった今振り

        その海を、きみはまだ知らない

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          12本
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          37本
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          38本
        • ご愛顧記事
          13本
        • 活動報告系
          6本
        • あの日の記録
          7本

        記事

          【詩】しししのし

          口から出た言葉にげんなりし、 なんで言っちゃったんだろうって泣いちゃう日もあってよし、 聖人じゃなし、 ただの人なんだし、 口から言葉が出るのは当然だし、 大事な相談乗れなくてもよし、 言霊に引き摺られやすいし、 きみのためのわたしでなし、 わたしのためのきみでもなし、 元気な言葉は受け取ればよし、 言われた言葉に心閉ざして距離を取るもよし、 でもわたしの態度が引き寄せた気もするし、 身から出た錆という言葉もあるし、 己を常に省みるのが大事だし、 ぜんぶがぜんぶうまくい

          【詩】越秋、冬風、春遠く

          秋と冬との境目を モミジとカエデとイチョウを混ぜては粉々にしたものと 雪虫の尾尻をなくした骸たちが ぷかぷかと流れてく 彼らの背中を押すものは 北から吹き出す冷たい風と 今年の役目を無事に果たした祝福と ほんのすこしの切なさである 自ら生まれて水へと還る わたしもいつかはそうなる訳だが ある日は木枯らしに肌を刻まれ ある日は傷を舐められながら 空を見上げて雪を知る そんな季節が過ぎてゆく

          【詩】越秋、冬風、春遠く

          言葉の引力、もたらされるバイアスと自分なりに向き合っていく

           言葉には引力がある。人の言葉だけじゃなくて、自分の発している言葉に実は自分がいちばん影響を受けているんだなって思う。  就活の話。  正社員の求人を出している日本の企業は終身雇用制度をまだまだ取っていて、そうなると選考基準の条件に「うちの会社に入ってから長く勤めてくれること」が大なり小なり存在しているのはきっと"そう"で、よく目にする文言からも伝わってくる(○歳未満の募集、長期キャリア育成のため)。  そうなると、前の会社を退職した理由は絶対に聞かれる。わたしは何度も「

          言葉の引力、もたらされるバイアスと自分なりに向き合っていく

          ポートフォリオ作ってみた

           絵描き、とくにアナログ絵描きにとって必要不可欠なもの。  それは、大量の画材である。  絵を描き始めてから定期的に使用ツールの見直しをしているが、選出における最優先事項は「コスパがよい(高い)こと」だ。愛用しているインクは50mlの瓶で2000円ほど。字面だけ見ると割高に思えるが、ひとつ購入すればしばらくはなくなることがない。  経費の工夫はしているものの、支持体となる紙はすぐになくなってしまうし、大判の紙、ましてや公募や出展用に100号サイズの絵の制作をするならば、

          ポートフォリオ作ってみた

          「副業不可です」と言われたけど諦めたくない

           就活を始めて早2週間ほど。  書類選考は順調にどこも通り、フルリモートの2社のうち、内定頂いた方に入れれば御の字、と思っていた矢先。 「うち、副業不可なんですよね」  そりゃそうか(白目)。  契約社員の募集で最長4年間ということもあり、収入得るとしたら満期後だね、という話に落ち着きはしたものの、お互いに多分思ったのは「この会社(この子)は無理かな〜」である。  書類選考時にわりと丁寧に書いたつもりだったから、「わ〜通過したってことはいけるんだ〜」と楽観視していたが、

          「副業不可です」と言われたけど諦めたくない

          【絵の受注始めます🖼】ご自宅や店舗に一点ものの絵を飾ってみませんか?

          こんにちは、michiakiです。 みなさんいかがお過ごしでしょうか。 わたしは夏の暑さにまいりつつものんびり生きております。 早速ですが、 8月から絵のご依頼を承ろうと思ってます。 全て原画、一点ものです。 お求めやすいように、 イメージやサイズ毎の価格設定も行いましたので、 詳細をご確認頂き、 ご興味ある方、まずはお気軽にご相談ください! ⬛︎当方の簡単な経歴、作画方法と得意なイメージに関して・小さい頃から絵を描いてきましたが、高校進学からしばらく絵を離れ、数年経ち

          【絵の受注始めます🖼】ご自宅や店舗に一点ものの絵を飾ってみませんか?

          【絵】20220101-20220131

          集中する。丁寧に、繊細に、手を動かし続ける。

           照明で影ができると手元が狂う。  ペン先と紙との接地面が見えづらくなった途端に網掛けの線の間隔は不均一になる。見えないことに怖気づいて線同士が触れ合うことを恐れて間隔が広くなる。間隔が広がったことに気付いてこれではいけないと間隔を狭めすぎて線と線が触れる。間隔は一緒でも線が平行ではなくなる。長さに長短が出る。  そういうことに気付いてからは、基本的に日中に作業するようになった。  朝早い時間は窓枠の影が机に映り込んで見づらい。太陽が眩しい、窓と並行の高さにあるのだーー

          集中する。丁寧に、繊細に、手を動かし続ける。

          路面電車でこどもギャングと道中をともにした話。

           世で言う三連休の最終日、家から徒歩15分の距離にあるカフェでひとり満喫したあと、本屋にいきたくなって路面電車に乗った。わたしの住むまちの路面を走る電車は旧型車両と新型車両が入り混じっていて、大体5本に1本ほどのペースで新型車両に乗ることができる。屋根がかかっただけの簡易的なホームでそこそこな列の最後尾に並び、待つこと数分、運よく新型車両に乗ることができた。空いている席に腰かけて、窓の外を眺めながらのんびり鈍行する電車の心地よさに微睡んでいた。  ひと駅かふた駅くらい進んだ

          路面電車でこどもギャングと道中をともにした話。

          【詩】たしかなことは

          かなしいことばかり目に入る 自分のことだと考えるには遠すぎて 他人のことだと割り切るには近すぎて かなしいきもちやくるしいきもちの一部だけが わたしを捉えて離さずに そんなときでも忘れたくない こんなときだから覚えていたい 空が青く澄みわたるのはここが地球であるためで 海が青いのは空を映しているからであり あたたかく命を育む太陽は信じられないほど遠くにあり 人間がうまれるまえに絶滅した生き物がいて 地面のしたには人智を越えた大きなエネルギーがあり わたしたちは人である前に

          【詩】たしかなことは

          【詩】海のかたち

          家と海の間は30分ほど歩くだけ  暴風の日は潮が家までとんできて 窓に塩と砂がまぶされてくろくなる そんなまちに住んでいた なにかというと白波がたつ 地盤差がおおきいわたしの海は 遊泳禁止のこわい海 おぼえてるのは 先生かだれかの昔話 荒波にのまれたこどもの話 だから入っちゃいけないこわい海 入らないけどたまに近寄り へんな形のブロックの合間 中身のからっぽカラス貝と まんまる小さなビービー弾 石を避けるとでてくるフナムシ 砂浜にできる小さな穴は とんでは跳ねてるハマトビ

          夢中になれた日々よ、もう一度

           仕事から離れて半年経とうとしている。もうそんなに? とも思うし、まだ半年か、とも思う。  半年休んでなにか変わったのだろうか。変わっていない気もする。相変わらず体調の波はあるし、恐怖で身がすくむこともあるし、なにもしていないし考えてないのに漠然としたかなしさに包まれて涙がずっと出る日もある。  でもわかったことはある。家をかえても隣家や外の音は途絶えなくて完全に消すことはできないこと。仕事や人から離れても不安や恐怖は種類を変えて襲いかかってくること。お金がない状況を「な

          夢中になれた日々よ、もう一度