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生命力あふれる絵が描きたくて

 すぐに誰かに影響される自分に辟易していた。前向きなモチベーションをもらえるところは好きだけど、小説を読んでいて「小説が書きたい!」となったり、絵を見ていて「絵が描きたい!」となったり。集中してひとつの作品づくりがなかなかできなくて、あっちへいったり、こっちへいったり。2つくらいならまだいいけれど、ギターを弾きたくなったり、ピアノを弾きたくなったり、歌をうたいたくなったり、裁縫をしたくなったり、編み物をしたくなったり、料理をしたくなったり、動画を撮りたくなったり。一体わたしは何がしたいんだ? ってがっかりする。

 やりきったり、続けることが苦手な自分。そんな自分にとっての帰る場所みたいなものになりつつあるのが、絵を描くことと、文章を書くこと。いまは、絵がノリノリのターン。

 絵柄、というのがいまひとつ、いつまでたってもピンとこなくて、例えば漫画家さんやイラストレーターの人は、自分の絵柄みたいなものをそれぞれ持っていて、「あ、この絵は〇〇さんだな」ってわかること、多いと思う。もちろん、商業用に使い分けることもあるだろうけど、なんとなく土台のようなものは、それぞれあるんだと思う。

 わたしの中にも、中学生くらいまでは絵柄てきなものがあったんだけど、最近は定まっていなくて、あえて定めてもいないような気がして。

 それっていいのかな?
 ちぐはぐにみえないかな?

 イラスト用のinstagramアカウントでフォローしている作家さんたちは、それぞれ、自分独自の画風とか絵柄を持っていて、めちゃくちゃ魅力的だ。絵が生命力で溢れている。そんな絵を描く人が好きだ。個性的で、ユニークで、大胆で、繊細で、なにか真理をついているようで、どこか怖さもある。そんな絵が好きだ。

 だからわたしもそんな絵を描きたいわけだけど、好きな作家さんの描き方とか、絵のテイストをまねたからといって、わたしはその人になれるわけじゃない。わたしが描いてもそこに生命力は生まれない。わたしはわたしだ、という確固たる意志を持って一枚一枚に命を吹き込みたい。

 ちょっとずつだけど、最近、「よく描けたな」って思える瞬間が増えてきた。気付いたんだけど、時間をかけたかかけてないかってあんまり関係なくて、下書きをしっかり描いて時間をかけて描いたはずなのにイマイチだなって感じたり、ぱっと思いついて即席で10分くらいで描き上げた絵でも、のちのち見返したときにすごく気に入ってたりする。

 いまなんとなくトライしているのは、下絵をえんぴつで描いたりせずに、ペンでさっと描くこと。構図も、頭にひらめいたもの(手とか、足とかが多い)をまずいちばん最初に描くこと。

 以前は、顔を描いて、首をかいて、肩をかいて……みたいに、バランスをとるために描く順番を決めて描いていた。
 それって、人を主体に描いたり、漫画とか、アニメーションのような絵を描きたいときにはよいのだけど、どうしても構図が似たり寄ったりになっておもしろくない。

 この前、なんとなく、左手を最初に描いた。手から腕を伸ばして肩を描いた。次に右手を描いた。腕を伸ばして肩を、というところまでいって、わたしは腕を伸ばす線を間違った場所から引いていることに気づいて、一瞬、唖然とした。そして、あ、この手はほかの人の手にしよう。そうしよう。とまた一瞬でひらめいて、他の人と手を繋ぐような構図の絵が結果的に完成した。これ、全然当初思い描いてた絵とはちがうんだけど、描き終わったときに、すごくいい絵になったなと個人的に気に入った。

手が失敗したから手を生やしてみた


 それと、形に囚われすぎないこと。ペンで一発で描くと、なんとなく気に入らない形を生産しがちだ。あ、失敗した、とか、うまくかけなかった、とか、きれいにかけなかった、とか。
 しかし、失敗したとか、うまくかけなかったとか、そういった気持ちには、成功している絵やうまくいっている絵といった無意識な比較対象が存在しており、それはどちらかというと写実的で現実に即している光景だ。デッサン的な思考だ。目の前のものを模写したいわけではない。自分のなかの情景やイメージを紙に落とし込みたいのだ。
 変な形になったとしたら、こういう形になるべくしてなったんだなーと思いながら続きを描いているうちに、なんとなく、「いい味」がでてくることがある。すぐに諦めたり失敗したと思わないこと。これって、現実社会でも、創作でも同じなんだなって気付いた。

足の形が失敗したけど味があるかも?

 そして、一番描きたいモチーフを一番最初に描くと、自然と全体のバランスをそこに合わせる。また、絵というものは性質的に、一番最初に描いた場所が前に浮き出てくる、と個人的に思う。一度線を引くと(油絵のような絵具を前に重ねていくものは別として)、もうその線を消すことはできないから、自然と前に出るものを最初に描き、その後ろにどんどん線を足していくようなイメージだ。だから、一番描きたいものを一番最初に描く、というのは理に適っている気がした。

 画風を極端に定めず、描く順番にこだわりすぎないこと。
 たくさん描くこと。
 ときには振り返ること。
 なにより、たくさんの人に見てもらうこと。

 それを続けるうちに、ぼちぼち、命が吹き込まれた絵というものも、生まれてきてくれるだろう。

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