見出し画像

ナーディー・ショーダナ・プラーナーヤーマ(nadi shodhana pranayama)について④

(前回までの投稿をお読みでない場合はそちらをお読み頂くと理解が深まります。)

ナーディー・ショーダナ・プラーナーヤーマ(nadi shodhana pranayama)について①

ナーディー・ショーダナ・プラーナーヤーマ(nadi shodhana pranayama)について②

ナーディー・ショーダナ・プラーナーヤーマ(nadi shodhana pranayama)について③


●ナーディー・ショーダナを行う理由

①サマーディ(三昧)を成功させるため
ナーディー・ショーダナは、ヨーガの流派の中では主にハタ・ヨーガで行われているものだが、ハタ・ヨーガでは正しいプラーナーヤーマの結果、プラーナが自由に流れ、イダーとピンガラーの流れのバランスがとれ、プラーナがスシュムナーの中を流れるようになると、プラーナやマナス(心、意識)がブラフマ・ランドラ(サハスラーラ・チャクラとも言われてる)で落ち着き、ヨーガの目的であるサマーディが成功するという考え方を持っている。

しかしナーディーはたいへん微細なため、とても詰まりやすいといわれ、それによりプラーナの流れが滞った箇所はさまざまな障害が生じるということ、ナーディーはいつも綺麗にし、プラーナが流れやすくしておかなくてはならないという理由から、ナディ・ショーダナを行う。

・ハタ・ヨーガにおけるサマーディ
サマーディ = シヴァとシャクティの合一 = 梵我一如= スシュムナーをプラーナが流れ、プラーナとマナスがブラフマ・ランドラ(サハスラーラ•チャクラとも言われてる)で落ち着くこと。

・ナーディーを詰まらせるものとは何か?
妬みや怒りや欲望や暴力など、心や精神を不純にしたり堕落させたりするもの。こういう心を持ち続けると身体の中のナーディーが汚物でいっぱいになり、エネルギーが自由に流れなくなると言われている。ナーディーを浄化することはハタ・ヨーガの第一条件。


②西洋医学的な観点
自律神経のバランスを整える。右脳と左脳のバランス。

●サマーディの捉え方の違い

元来、モークシャ(輪廻転生からの解放=解脱)がインドの宗教や宗派、伝統的六派哲学の目的だった。したがってヨーガや仏教もそうだった。何をモークシャとするか、どういう方法を取るかはそれぞれ異なるが、サマーディはモークシャへ至る方法の一つとして捉えられている。サマーディはヨーガの目的だが、サマーディの定義は、ヨーガの流派によって様々に解釈される。それは、同じ山の頂上を目指しているけど、そこへ至る道がそれぞれ違うようなもの。

ラージャ・ヨーガ ・・サーンキャ哲学をバックグラウンドに持つ。瞑想によって心の働きをなくし、その結果サマーディという深い境地に入る事を目的としてる。(代表的な教典は『ヨーガ ・スートラ』)

ジュニャーナ・ヨーガ・・智慧によってこの世界や真実の自己を深く考察して不安や迷いを払拭し、永遠の安らぎを得ることをサマーディと捉える。(代表的な教典は『バガヴァッド・ギーター』)

カルマ・ヨーガ・・行為の結果であるカルマを残さないための方法として、結果を動機としない自分の本務をただただ遂行する。その行為には自分という思いを入れてはいけませんし、どのような結果であってもそれを平等に見なくてはならない。このような行為の完成をサマーディと受け取る。(代表的な教典は『バガヴァッド・ギーター』)

バクティ・ヨーガ・・最高神を信じ親愛を捧げ、神の恩恵を受ける事をサマーディとする。(代表的な教典は『バガヴァッド・ギーター』)

ハタ・ヨーガ・・ヴェーダンタ哲学の不二一元論やタントラの哲学が絡み合っている。クンダリニーの覚醒によってシヴァ (男性原理と)とシャクティ(女性原理)の合一すること、相反するものの合一を目的とする。サーンキャ哲学をバックグラウンドに持つ流派としてのラージャ・ヨーガでは、チッタ(心)の動きを死滅させなければサマーディは得られないとしているが、ハタ・ヨーガでは真実の自己と一つに成ることをサマーディとしている。(代表的な教典『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』『ゲランダ・サンヒター』『シヴァ・サンヒター』)

もともとプラーナーヤーマの練習は、ヨーガ・スートラもハタ・ヨガ・プラディーピカーといった古典でも、「アーサナ(ポーズ)が安定して快適にできるようになったらプラーナーヤーマを行う」という風に記述があるように、アーサナの練習がプラーナーヤーマの練習を支えてくれます。また逆も然りで、現代のヨガの視点からは、プラーナーヤーマの練習がアーサナの練習を支えてくれるともいえ、そしてそれらはプラティヤハーラ、ダラナ、ディアナといった練習とも同様な補完関係にあるといえるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?