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没後40年 『セロニアス・モンクの世界』

1960年代に制作された、ジャズ・ミュージシャン、セロニアス・モンクのドキュメンタリー映画2部作

【MONK モンク】
【MONK IN EUROPE モンク・イン・ヨーロッパ】

を鑑賞しに映画館へ。

ピアノを弾いてるのに、不思議と踊っているように見えるモンク。

ピアノを弾く手や、足の動き、表情だけのカットが沢山入っていて、ステップを踏んでリズムを取り続ける足の動きや、踊るようにピアノを弾く手の動き、音に入り込んでいる表情や、自分が演奏せずバンドの他のメンバーしているとき、立ってクルクルその場で回ったりする動きなどからそう感じたのかな。

現存するニューヨークのジャズクラブ、ヴィレッジ・ヴァンガードでの当時のお客さんと演奏者の距離の近さや、楽屋での仲間との会話を通して、当時の空気感が生々しく感じられ、その雰囲気が最高で、『わぁ、この場に行ってみたかったなぁ』って思う場面がその他にも沢山。

作品を見終わった後、「モンクに同行してライブ先を一緒に回っている」という設定の夢から目覚めたかのような錯覚に落ち入る、そんな距離の近さがあるドキュメンタリー。

モンクが心を許し、そんな風な距離の近さで、撮影し続けることができるような関係性を築けた監督や撮影クルーすごいな。ドキュメンタリーって、写真もそうだけど、カメラを向けたとき、被写体との関係性がその作品に現れやすい気がするから。ツアー移動する飛行機の中のシーンで、モンクが優しい目と表情でカメラの方を向いてニコッと笑う姿が関係性を象徴するようだった。


自分の隣に座って鑑賞していたご高齢夫婦の旦那さんの方が、マイルス・デイビスの諸作を手がけたことで知られるプロデューサー、テオ・マセロが登場してきた場面、というすごくマニアックなシーンで「ウォー!」と思わず声を上げていて、ジャズがとても好きな方なんだなぁと微笑ましかった。こういうのって映画館で鑑賞するときならではの光景。家で映画を観るのも好きだけど、全然知らない人方々と映画を共有して観る『映画館』という空間、やっぱ好きだなぁ。


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