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20年程UXやった人間が考えるUXデザインってなんだろう?という話(UXデザイナーを目指す人向け)

はじめに

UX(User Experience, 顧客体験) または UXデザインって言葉をこの10年で非常に良く聞くようになった。約20年前、西暦2000年前後にソニーで働いていた時に「UX」という言葉を聞き興味を持ち勉強しはじめたのが「UX」との出会いである。2000年前後はゲームコンソールではPS2の時代、WebはFLASH全盛期になろうとしている頃である。それよりも数年前にUXに携わっていた人もいたので、25年以上前からソニーではUXデザインに注目していたのだから、まさに最先端いってたわけだ(だからといって何でも業界トップをとれたわけではないのが皮肉ではあるが)。

その頃からUXに携わる人と「UXデザインってなんぞや」という壁打ちしたときのポイントを Twitter に連投したのでそれをベースに私の思う「UXデザイン」を補足する。

UXデザインとはなんだ

高尚な定義はともかく、私の頭にある「UXデザイン」は、

ユーザーに限らずに関係する人々の体験を創り、体験価値を向上させるための行為・意匠・設計

と思っている。Twitter ではこう書いた。

デザイン(Design) という言葉を広義に捉える。あえて私は「UXデザイン」とは書かずに「体験創り」とかくこともある(創造の創るを使う)。

これまで20年以上、UXをやってきたが、ほとんどが新しい商品やサービスを使った新しい体験の創出が多く、そこには今のような評価手法もスキームもなかった時代である。その頃の体験創りには、企画屋やデザイナーやエンジニアなど様々な業界の人間が入り乱れて、「我々が新しいカルチャーと体験をつくり出すんだ」とやっきになっていた。まさにクリエイティブな仕事だったのだ。

もちろん、視点を狭めていくと、そこには新しいインタラクションやUIが存在し、その為のユーザビリティなども最適化していく必要もある。また、楽しい、嬉しい、面白いといった体験価値を数値化なり評価する手法がないと良いか悪いかの判断が難しいから私も認知科学や評価手法を学んだ。

ネットで「UXデザイン」を検索すると、語りやすいからなのか、どうしても評価手法やスキームなどが嫌ってほど出てくる。数学でいうと、公式と定理ばかりが入ってくるイメージだ。

UXデザイナーが企画をして戦略を建ててデザインもしつつ、上流設計をしても別に良いとすら思う。全部はさすがにできないだろうけど、ディレクションは出来ると良いだろう。実際、弊社での私のポジションは、まさになんでもディレクションをしてしまう、UXディレクターである。

そして、UXは「ユーザー」という言葉があるが、これにも20年前から違和感を感じていた。もともとソニーでは、モノづくりやサービスをつくるときに必ずソニーのブランド意識を考えさせられた。ユーザーさえよければいいのか、ということまでグローバルカンパニーだからではあるが、それもいまでは、BX (Brand Experience) と言う言葉になっている。

広すぎるUXデザイン

最後に、UXデザインは本当に領域が広い。

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まずビジネスと技術とデザインの3つの領域にまたいで描かれる。そして、その関連する学問においても、2008年の時点でこのようにマップ化されてもいる(是非はあるだろうけど)。

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2008年の時点で、ライティング、マーケティングそして空間や建築までも関連領域にいれている。今見てもかなり先見的なマップである。

もうこうなると「UXデザイナーになりたいのですが何を勉強すればいいですか?」の答えは1つではない。また、D.A. ノーマンを代表とするよくあるUXの書籍をあげたところで、それもピンポイントに感じる。

これは私の邪推も含めた発言だが、もはやどの職種においても「UX」はあたりまえのスキルなのかもしれない。まだまだそれが定着してないだけで。

そんなわけで、これからUXデザイナーを目指す人は、大海すぎるので、まず自分はどの業界がいいのか、どの領域がマッチングいいのか、そういう視点で「探す」旅からスタートしても良いのではないかとおもう。また、その着地点が間違いであっても、きっとそれまで学んだ「UXデザイン」は生かされるはずである。臆することはない。私もまだ自分の描く「UXデザインとは」の旅の最中である...



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