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秘書が教えるお礼状の書き方 心を伝えるコミュニケーションの方法

私は、デザイン事務所でPRと秘書をしています。
私が舞台女優の仕事をやめて、さて社会に出て何ができるかな?と思った時、「秘書ならできるかも」と思ったのがきっかけ。
舞台時代は、座長の「付き人」をしながら巡業するという経験があって、
秘書も付き人も、求められることは
「今この人は何を求めているか」を察して動くということだと、共通する気がして始めた仕事です。でも、秘書って、一に相性、二に相性だと思う。笑
どんなに有能な人でも、相性が悪ければ勤まらない。ボスの空気に合わせて心地よい風を送れるかどうかが重要なこと。

この秘書の仕事をしていて、自分の能力が活かせてると、少しだけ自信が持てるものが一つあります。
それは、お礼状を書くこと。

なぜなら、それは、物凄く鍛えられたからです。
私も、昔はお礼状を書くのが重荷でした。でも、今は、最初は
「これ、どうやって書くんだ?」と思っていても、しばらくするとすらすら書いて、出来上がったものを読み返すと、自分でなかなか良い、とニンマリできるほどに。

そこで、「心を伝えるお礼状」のちょっとしたコツのようなものを書いてみようと思いました。

お礼状は鍛えられること

先ほども少し書きましたが、なぜ私がお礼状を書けるようになったかというと、小さい頃から母に鍛えらたからというのが一番大きな理由です。
幼い頃、年に一度、親戚のクリスマス会に呼んでいただいていました。
いつもよりオシャレをして、当日は少し緊張してお家へ伺う。
緊張してほぼおしゃべり出来ないくらいなのですが、大きなクリスマスツリーやローストビーフやラザニアを頂いて、最後はビンゴ大会。子供達にはそれぞれにプレゼントも頂きました。
私は両親が離婚していたので、家族揃ってクリスマスを過ごすことに、
ちょっと夢のような1日を過ごす日でした。

そして、帰ってきてからは、「お礼状を書く」というミッションを必ず母から与えられました。この習慣があってこそ今があると思う。
その後も、舞台出演の前にはお知らせの手紙、来てくださった方へのお礼の手紙をずっと書いていました。

と言っても、小さい頃から書いてないとダメなものでは決してありません!
コツさえつかめば書けるんだと気が付いたのは、最近になってから。
数をこなして書いていくと、書くのが苦にならなくなります。
お礼状を書くという行為は、
・相手に感謝が伝えられる
・そして、感謝を文字に起こすことで、自分では無意識で気が付けなかった相手の方の思いやりとか、ありがたさに気がつける

ということができます。

どんな些細なことでも、相手から頂いた「心」=愛 にありがとうと伝えて、心を返す。こんなやりとり、素敵ですよね。

感謝は倍にして表す

これも、幼い頃、母親から教えられたことです。
母は女手一つで、私と姉を育ててくれたのですが、躾には鬼のように恐ろしかった。笑
そして、いつも暖かくしてくださる親戚がいました。
母の伯父は、ちょっと無骨な職人気質の人で、はたから見るとぶっきらぼう。でも、とても心の優しい方でした。昔、伯父さんが北海道に行った時、私と姉に、小樽のガラスのネックレスを買ってきてくださいました。

お土産を買ってきたことは叔母も知らなくて。私たちがお風呂から出ると、叔父からこっそり渡されました。あとでみんなに伝えると、みんなとても驚いていました。
私も、小さなガラスが入ったそのペンダントがとっても嬉しかった。
こんな風にして、よく私たちのことを目にかけてくれていました。

ある時、親戚の家からの帰り道、母に言われたこと。

「何かしてもらって嬉しかったら、嬉しいと思ってるだけじゃ伝わらない。ちゃんと大きく表現しなさい。それが、相手への礼儀です。」

こう、言われました。
ちょっと大げさでも良いから、相手に嬉しい気持ちを伝えるの。と。
それは、今考えると、感動するということ。わざと大きくしなくて良いのです。この、感動の癖をつけると、ありがとうの表現が自然にできるようになります。

相手に、感動したという気持ちを伝えることはとっても大切なこと。
それが、可愛がられる秘訣ともなります。

これもよく言われていたのですが、可愛がられるということは、
努力をするものだ。
人から可愛がられない、と言って「どうせ可愛がられない」と思ってはいけない。可愛がられる人は、必ず可愛がられるよう、影で努力をしている。
相手に好かれたいのなら、まず、好かれる努力をせよ。

話が横にそれましたが、この、喜ぶ力というのも、人から愛される要因となります。
手紙には、感動を伝える。

これが、一番のこと。
そして、そこに肉付けをしていく。なぜ、私が感動したのか、
それは、あなたのこういう思いを受け取ったからですよ。
私はこんなに嬉しかったんです。

これが一番大切な、手紙の軸=心です。
そこに、あとは肉付けをしていく。
肉付けは、情景を相手と共有するのにとても大切なこと。
私は、お礼状もストーリーだと思っています。
必ずそこにはドラマがある。ただ、ありがとうと伝えるのではなく、
相手にも伝わるストーリーを共有することで、伝わるお礼状となります。


時候の挨拶

ビジネスレターにはルールというのがあって、「起承転結」とも「序破急」とも言えますが、流れというものが重要です。
手紙は三つの流れと思って良いでしょう。「起」や「序」という前文、ストーリーの「承転」「破」という「主文」、締めの「末文」によって成り立ちます。

挨拶文(前文)
通常、時候の挨拶を用います。
これは、今ネットでどんな表現があるか調べればすぐに出てきますので、自分の感じられる季節に合わせた表現を選ぶのが一番。
ただ、やはりこれをそのまま使ってしまうのは物足りないので、
この序文こそがお礼状の醍醐味とも言えます。オリジナリティを出せる最も楽しいところ。

そこには、ふと気が付いた季節の変化や、自然の美しい何気ない風景を書きます。
新緑の頃だと、雨上がりの新緑が青々として美しいとか、
丁度雨が続いていた頃などに書くと共感できます。
春先だと、道端に咲く野の花に春の訪れを感じさせられる頃とか、
もちろん、桜はよく使われる表現かと思います。
自分が普段過ごしていて感じられる自然の営みを言葉にする。

そして、私が気をつけていることは、お礼状にマイナスの表現は書かない。
あくまでも、プラスに書くこと。

梅雨の長引く季節などはそれに当てはまります。
雨が続くとどうしても暗くなる表現になりがちですが、
それも美しい表現に変える、もしくは、夏が待ち遠しいと、希望を持つような表現に書き換えること。

7月入れば「盛夏」などの表現が通常なのですが、今年は梅雨が長くてどうも盛夏・炎暑・大暑など、7月の季語とされる言葉がしっくりこない。
私は、今年このように書いていました。

小暑も過ぎましたのに、長引く梅雨に夏空が待ち遠しくさえ感じられます。

この表現ですと、梅雨だけど、夏空という言葉で青い空の描写ができる。
相手の方に、青い空のイメージをお渡しする。
ただ、この表現だと、少し女性らしくもあるので、実際はこちらを会社用に使いました。

小暑も過ぎましたのに、長引く梅雨空が続く今夏でございます。

このように、季節の言葉を使うのは、日本人らしいとても美しい心だと思います。歩いている時にも、何気ない四季の移り変わりを感じる心を育てる。先ほどから言っている感動する心と同じことが言えます。

ふとある日常の美しさや感動が、こうした手紙の文章や表現にも生かされ、
それはより豊かな人生を感じられるようになると思います。

感じる心がお礼状を上手に書くコツ。
心情の描写などストーリーを作ること。
季節の表現で、色を取り入れると、美しい世界観になる。

相手に伝わる手紙は、難しく考えない。ただ、心を伝えるラブレターだと思って書くと良いかもしれません。

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