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[万葉]Line their boats (巻1.36)

大和歌を英訳で読むマガジン(2) の第3回は万葉集巻1の36番の歌です。

……百磯城の 大宮人は 船並めて 旦川渡り 舟競ひ 夕河渡る 此の川の 絶ゆる事なく 此の山の いや高しらす 水たぎつ 滝の都は 見れど飽かぬかも

……たくさんの石で築かれた大宮殿の宮廷人たちは、船を並べて朝の川を渡り、船を競わせて夕の川を渡る。この川のように絶えることなく、この山のようにいよいよ高くお治めになる、水が力強く流れる滝の離宮は、いくら見ても飽きることはない。 (英語万葉集)

作者は柿本人麿 (660?-724?) とされています (下の写真中央;14世紀の肖像画)。

人麿は風物の中にいる「大宮人」をオーケストレーションを活用するかのように動かしていると、リービ英雄氏はいいます。いったいどういうことなのでしょうか。英訳を通してこの歌をながめてみます。

目次
読み下し文
英訳
解釈
 日本学術振興会訳
 永遠の瞬間 (Levy の人麿論)

【マガジンの案内】
名称:大和歌を英語で読む(2)
内容:大和歌を英訳で読んでゆく。最初は万葉集
分量:1マガジンあたり5本を収録(予定)
価格:1マガジンが1,000円。個別の記事の分売もします
方法:詩学(poetics)的関心から、日英の詩のことばを比較

参考文献 ([]内は本稿での略称)

・高木・五味・大野『日本古典文學大系 萬葉集』(岩波書店、1957)[古典大系]
・青木・井手・伊藤・清水・橋本『新潮日本古典集成〈新装版〉萬葉集』、1976[古典集成]
・伊藤博『新版 万葉集』、角川学芸出版、2009[新版万葉集]
・伊藤博『萬葉集釋注』、集英社文庫、2005[釋注]
・中西進『古代史で楽しむ万葉集』、角川学芸出版、2010[古代史]
・中西進『万葉集 全訳注原文付』(講談社、2013)[全訳注]
・大野・佐竹・前田『岩波古語辞典 補訂版』(岩波書店、1990)[岩波古語]
・大野晋『古典基礎語辞典』、角川学芸出版、2011[基礎語]
・秋山・渡辺『詳説古語辞典』、三省堂、2000 [詳説古語]
・中村幸弘『ベネッセ 全訳古語辞典』、ベネッセコーポレーション、2007 [ベネッセ]
・リービ英雄『英語で読む万葉集』、岩波新書、2004[英語万葉集]
・島津忠夫『新版 百人一首』、角川書店、1999 [新版百人一首]
・ピーター・J. マクミラン『英語で読む百人一首』、文藝春秋、2017
万葉神事語辞典 、國學院大學、2009
・Nippon Gakujutsu Shinkokai, 'The Manyoshu', Columbia UP, 1965
・Geoffrey Bownas, 'The Penguin Book of Japanese Verse', Penguin Classics, 2009
・T. E. McAuley, 'An Anthology of Classical Japanese Poetry', www.wakapoetry.net, 2016
・Ian Hideo Levy, 'Hitomaro and the Birth of Japanese Lyricism', Princeton UP, 1984
・Anne Commons, 'Hitomaro: Poet as God', Brill, 2009

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