Pipes紀行
2016年4月29日(金・昭和の日)大阪城音楽堂で一連の Ireland Festival in Osaka 行事の取りとして「ケルティック音楽&ダンス」および「ケルティックビアガーデン&マーケット」が開催された。お目当ては Pipers Caffe だった。が、その話の前に当日の下準備のことを。まず腹ごしらえ。一路得正へ。
得正といえばカレーうどん。カレーうどんといえば得正である。何の不足があろう。得正のうどんのルーツは讃岐うどんながら、独自の粉の配合により、「讃岐うどんのコシの強さはそのままに、より噛み応えのある弾力性を持たせ」たという。実際に食すと煮すぎじゃないの思われる柔らかさにあれっとなるがところがどうして途中から弾力性が増し最後には噛むことが歓びに。カレーソースの方はどうか。一口目に甘く感じさせるのは世をあざむくため。すぐ後から「気持ちの良い辛さ」が襲ってくる。〈ただただ辛いだけのカレーではなく、また変に甘ったるいだけのカレーでもなく、「辛さ」と「甘さ」という、一見相反する味を見事に調和させることによって、初めて「奥の深い」「余韻の残る」カレーソースが仕上がった〉という。ほんまかいなと思うアナタ。ほんまです。確かに辛くて甘い。これで準備万端。いざ大坂城へ登城つかまつる。(実際にはその手前の音楽堂までですが)前方にぬうと城が見える。
いよいよ音楽堂の入口。白いテントの下で早くも物販がはじまる。
な、な、なんと。TAYTO が二種類も! 狂喜したが「ソルト&ビネガー」の味を訊くことを忘れなかった。すると困った顔をしたあげく袋を開けて試食させてくれた。酸っぱかったが後日のクリスプサンドを期してもちろん購入。
サイダー(シードル)のマグナーズの新製品ベリーとペアがあった! だけど飲酒しつつ聴くほどタフでないので他日を期す。このほかにスコットランドやウェールズのビールまであった。もちろんアイルランドのギネスやキルケニーやマーフィーズも。さらにパンクIPAも。ぼくはティー(Lyons)にマーマレードを入れて飲んだ。
いよいよ Pipers Caffe. 今日はなんと原口トヨアキ氏の独演会!各種パイプスを取っ替え引っ替えのめくるめくパフォーマンスと相成った。両足につけた鈴も駆使してのワンマンバンド状態。名人にして初めて成せるわざ。
スコットランドのバグパイプはもちろん、めずらしいスウェーデンのサックピーパ(säckpipa)、クローハマー奏法による5弦バンジョー、などなど。何といっても極めつけはイングランドのノーサンブリアン・スモール・パイプス(NSP)。オープンエアで聴くこのパイプスの伸びやかな高音はたまらない魅力があった。すばらしい。
実は彼はもともとイラン・パイプスやフルートやギターやウィッスルの名手として有名だがそれらの楽器は封印し珍しい楽器に焦点をしぼった演奏で唸らされた。
演奏終了後、原口氏と音楽談義がはずんだ。スコットランドの独特のリルティング(口三味線のような声楽)について、その中にスコットランド・ゲール語として意味のあることばが含まれているかどうか質問された。残念ながら当方も分からぬ。ふつうは無意味なことばとされるが意味がありそうな音が混じることも確かにある。
オンラインで最高の辞書環境が整っているアイルランド語に比してスコットランド・ゲール語にはそのようなリソースがほとんどまったくない。私もいつかはやろうと準備だけはしているがアイルランド語の解析で手一杯なのが現状。
音楽堂はきつい日差しのなか時折突風が吹いていた。ステージ上は寒くて手がかじかみパイプス類はチューニングが困難だったという。その条件下であれだけの演奏だったのなら、ベスト・コンディションならどれほどの高みに上ることだろう。またの機会を楽しみにしつつ。
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