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オバマが'Yes we can'をアイルランド語で

オバマ米大統領が2011年にアイルランドを訪問したときのこと。オバマの母方の先祖の出身地(アイルランド中部のオファリ県の村)のパブでギネスを飲む際、アイルランド語で「乾杯!」(Sláinte! スローンチャ)と言った。

これは驚くには値しないかもしれない。社交辞令として常識に近いから。だけど、「現在の経済問題は克服できますかね?」と訊かれたときに、彼の定番フレーズ 'Yes we can' をアイルランド語で言ったのには、多くの人が驚かされた。'Is féidir linn' (イス・フェージル・リン)とオバマは言ったのだ。

と、ここまでは、当時、報道されたので、比較的よく知られている。だが、ここから先が言語オタクが興味をもつかもしれないところ。じつは、このアイルランド語には 'Yes' の部分がない。'we can' の部分しかないのだ。

では、どう言えば 'Yes' を表せるのか。

答えは、表せない。そもそもアイルランド語には Yes や No の表現がないからだ。

だから、ここでオバマがしゃべった言葉は、質問に対して(英語でいうと) 'Yes we can' の意味に当たるアイルランド語であったということになる。

こういうふうに、アイルランド語には英語などとは根本的なところで大きな違いがある。

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