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音楽 評 / 旅(ピアノ)

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ハイレゾ再生環境

オーディオのハイレゾ関連の話です。 ラウドスピーカで鳴らすほどの余裕はないので、もっぱらソニーのスタジオ用モニタ・ヘッドフォンをレファランスにしています。 ただ、これはごろんと横向きに寝転がっているときには装着できないので、そんな場合には、簡易なハイレゾ再生システムを使っています。もちろん、Hi-Fi度においては及びませんが、低域をふくめ、かなり頑張ってくれます。 そのシステムは次のものです。 Anker Soundcore Motion+ 外部ケーブルを接続すれば

24bitのデッド

FLACのある暮しについて書いてから、ますますハイレゾの音に浸っている。 〈Grateful Dead の音源をFLAC で聴くと、個人的には、健康にも良いと感じられる〉とそこに書いたが、音源そのものは一生かかっても聴ききれないくらい大量にある。デッドはある時期から、コンサート後にファン同士で録音ファイルを交換するのは認めた。いわゆる trade friendly の方針をとったのだ。それ以後、ファンによる高音質の音源は増え続けた。 そのような音源を聴きつづけていると、だ

[書評] ソングの哲学

ボブ・ディラン著、佐藤 良明訳『ソングの哲学』(岩波書店、2023) ポピュラー・ソングの全貌を見通すような本書を捧げる相手としてディランはある人を選んだ ボブ・ディランは誰に本書を捧げたのか。 ドク・ポーマスである。 この名前を聞いてピンとくるような人を除けば、本書は、尽きることのない興味がわいてくる、知的刺激にあふれた書である。 ちなみに、Doc Pomus (1925-91) は、本書の終わり近く、第63章のうた 'Viva Las Vegas' の共作者の名

[CD・BD評] Bob Dylan 日本公演20230408

今でも鮮かに蘇る。 ボブ・ディランの日本公演(2023年4月6日から4月20日に11公演)は至福のときだった。 公演を観に行った4月8日だけでなく、彼が日本に滞在していた期間(4月4日から25日)のすべてが至福のときだった。 ボブ・ディランのバンドが総体としてぶつけてくるサウンドを全身に浴びることは、存在の浄化をもたらすような体験だった。これほどの音を聞いたのは初めてのことだ。 その4月8日の公演を収めたブートレグCD・BDの第一印象を記しておきたい。 Bob Dy

[英詩] Truckin' (Robert Hunter)

※ディランの新しいレパートリについて考えるための手がかりです。随時更新します。将来「英詩のマガジン」に入れることがあれば、それまでの限定公開です。 Bob Dylan が東京公演2日目に Grateful Dead の曲 'Truckin' ' を初めてライヴでやった。 残りの日本公演でもまたやるかもしれないので、ハンター作の詩を見ておく。詩形と注のみ。歌詞のソースは Grateful Dead の 公式サイト 。詩として最低限の校訂を施してある。 Truckin'

[英詩] Bob Dylan, 'Key West' (ラフ)

※「英詩のマガジン」に入れるまでの限定公開のラフ・ヴァーションです。 Bob Dylan のアルバム 'Rough and Rowdy Ways' (2020) 所収の、同アルバムの頂点と目される 'Key West (Philosopher Pirate)' について、3冊ほど研究書を読みましたが、まともに分析したものがまだなく、自分でやることにします。 まずは、準備のラフな作業。詩形と注。 1連McKinley hollered - McKinley squalle

Bob Dylan 2023来日 予習用 メモ

※ 自分用の予習リストです。随時改訂することがあります。 Bob Dylan が2023年4月6日大阪公演を皮切りに来日公演をします(4月20日の名古屋公演まで)。 その公演で予想される曲目について、私のやっていた英詩のマガジンのどの号で取上げたかと、それぞれの号でふれた参考文献(毎回つかう 'Lyrics' などは除く)とをまとめておきます。主として自分用ですが、参考になる人もいるかもしれないので、公開します。 なお、アルバム 'Rough and Rowdy Way

[CD評] Thielemans Meets Franken

Toots Thielemans Meets Rob Franken: Studio Sessions 1973-1983 (Nederlands Jazz Archief NJA 2201, 2022) ['Treasures of Dutch Jazz', vol. 11] フランケンのフェンダー・ローズが冴えまくる ハモニカのトゥーツ・シールマンスとピアノのロブ・フランケンとのスタジオ・セッションを収めた3枚組。全部で3時間半以上あり、たっぷり楽しめる(全59曲)。

[書評] The Philosophy of Modern Song

Bob Dylan, 'The Philosophy of Modern Song' (Simon & Schuster UK, 2022) フォスターからコステロまでディランが縦横に語る ボブ・ディランが10年以上かけて書いたポピュラー音楽論。収められた論考は66篇。スティーヴン・フォスターからエルヴィス・コステロまで、ざっとこの百年以上にわたるポピュラー音楽について、好きなことを述べた本である。実際にはディランがティーンエージャーだった1950年代の歌が多い。 読ん

[sean-nós] 上皇后とシャン・ノース

ITMA が公開した Sarah Ghriallais のインタビュー動画は貴重なもので、大変興味深い(下)。 * この動画で Sarah は歌を披露し、ある歌が、訪愛した上皇后美智子さまに感銘を与えたエピソードを語る。また、その歌の英訳についても語る。 動画('Drawing from the Well SAOITHE Sarah Ghriallais')の主要な内容、ITMA, Sarah Ghriallais, Brian O'Rourke について簡単にまとめて

[sean-nós] Buaiteoirí Chorn Uí Riada 1972-2022

過去50年間の受賞者リストオリアダ杯(Corn Uí Riada)過去50年間の受賞者リスト 3回受賞者この表を眺めると、3回受賞した歌い手がいる。 Bríd Ní Mhaoilchiaráin: 2022, 2015, 2002 Éamon Ó Donnchadha: 2005, 2003, 1997 Nóra Bean Mhic Dhonnacha (Nóra Ghriallais): 1993, 1989, 1987 オリアダ杯になってからの50年間にわずか3人し

[音源] Amhrán Mháirtín Mhóir (OnaS2022)

mar a chan Micheál Ó Confhaola, mar amhrán mall, a bhain an triú duais de Corn Uí Riada san Oireachtas na Samhna i gCill Airne, Co. Chiarraí, 5 Samhain 2022. オリアダ杯で3位を獲得した Micheál Ó Confhaola が遅い歌として唄った歌(2022年11月5日) 𝗔𝗺𝗵𝗿𝗮́𝗻 𝗠𝗵𝗮́𝗶𝗿𝘁𝗶́𝗻 𝗠𝗵𝗼́𝗶𝗿 ’S nach bliain go ham seo sea a dearnadh an chreach mhór, Ní hamháin ar Ghaillimh ach ar chuile thír, Nuair a sciob an bás uainn an seanfhear álainn, Sé Máirtín Mór a bhí ina T.D.

[音源] Tailliuir An Mhagaidh (OnaS2022)

mar a chan Bríd Ní Mhaoilchiaráin, mar athghairm, a bhain Corn Uí Riada san Oireachtas na Samhna i gCill Airne, Co. Chiarraí, 5 Samhain 2022. Bríd Ní Mhaoilchiaráin がオリアダ杯を獲得したあと、アンコールで唄った歌(2022年11月5日) 𝗧𝗮𝗶𝗹𝗹𝗶𝘂𝗶𝗿 𝗔𝗻 𝗠𝗵𝗮𝗴𝗮𝗶𝗱𝗵 Is thíos ag an tobar sea chuir mise an fáinne amú, Sea dhearc mé an ainnir ba deise is ba bhreáichte snua, Bhí a grua trí lasadh is a leaca mar bhláth na n-úll, ’S má dhearc sí mise níor lig sí mo shláinte liom.

[ディラン選] 公式盤より良い歌があるので

新しい企画を考えつきました。 公式盤や百選にとらわれず、本当に良い歌、良い詩を選んでみよう。それをとことん考えてみよう。 というものです。「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)を6年半やって、ディランの場合、どこに傑作が潜んでいるか、油断も隙もないことがしみじみわかりました。 そこで、公式盤に入ってるかどうかとか、ディラン自選の百選歌集に入ってるかどうかなどに関係なく、わたしが本当に良いと思う詩歌を選ぼうと思うにいたりました。