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41、β-グルカンの話

だんだん、聞き慣れない名前が増えてきていますが、いかがでしょうか。

前回は「その他のフィトケミカルの分類」の中から「糖関連化合物」と呼ばれるグループの中の「サポニン」を取り上げました。これは糖関連化合物が更に「多糖」と「配糖体」の二つに分類される中の、配糖体の方の話でしたね。今回は多糖の方の話です。これは別名を「β-グルカン」とも呼ばれているものです。


β-グルカンとは

β-グルカンはキノコ類や酵母などに多く含まれている成分で、免疫力の強化やコレステロール値の上昇を抑制する働きなどがあります。フィトケミカルの一員として紹介していますが、食物繊維の仲間でもあります。食物繊維には正式な定義はまだありませんが、一般的には「ヒトの消化酵素で分解されない植物細胞壁成分」といった表現がされています。構造としては、糖がつながった形をしています。β-グルカンは糖が長くつながったものですから、食物繊維に分類されることには納得がいきます。

健康効果の方はというと、
 ・免疫力を高める効果
 ・ガンを抑制する効果
 ・コレステロール値を下げる効果
 ・腸内環境を整える効果
こんなところが挙げられます。

免疫力を高める効果

何度も書いてきました「免疫力」という言葉、実際に何を指しているのかが曖昧になっていませんか。病気に対する抵抗力といった感じの捉え方の人が多いかと思いますが、本来の免疫という言葉の意味は「自己と非自己を区別して、非自己を排除する働き」を指します。

免疫には、生まれつき持っている「自然免疫」と、感染などによって得られる「獲得免疫」の二種類があります。いずれの場合も、病気を治す可能性を高めることや、病気になるリスクを減らすということに繋がります。β-グルカンはこういった免疫力を高めて、ウイルスや細菌の感染に対する抵抗力を高めてくれるんです。

β-グルカンは免疫機能を持つ各種の細胞(例えばマクロファージやナチュラ ルキラー細胞、白血球のT細胞、B細胞など)の働きを活性化します。また、免疫関連物質であるインターフェロンの生成を促す作用もあります。

このようにして免疫機能に働きかけるので、β-グルカンを摂取することで風邪などの予防などに期待されています。

腸内環境を整える効果

食物繊維の仲間でもあると書いた通りですので、β-グルカンはこちらの「腸内環境を整える」働きの方が注目を集めやすいかもしれません。

食物繊維の一種ですから、腸内の不要物質を排除して腸内環境を整える働きがあります。便秘の予防、便通の改善にも効果が期待されています。

ガンを抑制する効果

これは誰もが気になる働きかも知れません。今は二人に一人がガンになる時代です。そして、ガンも生活習慣病のグループに入っていますので、日頃の食事から見直さなければと考える人も多いようです。

β-グルカンは、ガン細胞を攻撃する免疫細胞を活性化させる働きがあって、それがガンを抑制する効果として認められています。そのため、一般的に使われる抗がん剤とは違って、困るような副作用といったものを考えなくてよいという側面もあります。これは、自分自身の免疫力を高めることでガンを防ぐためですね。

ガンが出来る詳しいメカニズムはまだ分かっていない事も多々ありますが、喫煙の習慣や食習慣などが要因とも考えられています。だから、ガンは生活習慣病として捉えられるんですね。

コレステロール値を下げる効果

β-グルカンは食物繊維の仲間と書きましたが、その中では不溶性食物繊維のグループに分類されます。不溶性食物繊維は腸の中で水分を吸収しながら余分なものを絡めとって、体外に排出させる働きがあります。これが、便秘解消に有効だとされる理由です。また、水溶性食物繊維は粘り気が強くてゆっくりと消化されるため、血糖値の急激な上昇を抑える働きもあります。

この、絡めとられた余分なモノであるコレステロールを吸着して体外へ排泄する働きがあります。その結果、体内のコレステロール値上昇を抑えるというわけです。

血中のコレステロール値が高くなると、血管が硬くなったり血管を塞いだりして、高血圧や動脈硬化、はては各種の梗塞に至ります。コレステロール値の上昇を防ぐということは、これらの生活習慣病を防ぐことにつながります。

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