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☆本#442-445 アナグラム「カササギ殺人事件 上下」「ヨルガオ殺人事件 上下」アンソニー・ホロヴィッツ著を読んで

どちらも主な語り手は40代女性編集者、スーザン。でも上下巻の半分のページは、スーザンが担当する著名なミステリー作家アラン・コンウェイが書く探偵アティカス・ピュント・シリーズの作品。

「カササギ」のほうは、冒頭で編集者スーザンがこの作品で人生が変わったと言い、その作品、彼女が担当する作家アラン・コンウェイの探偵ピュントのシリーズ9作目の小説「カササギ殺人事件」が始まる。

この作品は、家政婦の葬式から始まる。彼女は仕事中、事故死した。が、それが実は息子のせいだと噂になってしまったため、彼の恋人が名探偵アティカス・ピュントに真相究明を依頼する。が、体調の理由でピュントは一旦断る。でも、考えが変わり対応することを決め、現地に向かうと二人目の死者が。今後は家政婦の雇い主。
上巻最後にピュントは犯人に気付く。が、下巻の最初でそこは解明されず。というのも、肝心な結末の部分がないことにスーザンが気付き、上司であり、出版社の社長のチャールズにメールする。が、返事が来ないまま翌日、肝心のアラン・コンウェイが事故死したことを知る。

チャールズのもとには、アランからの直筆の手紙が届いており、実は病気だったことがわかる。
残りの原稿を探すうちにスーザンは、アランの若い男性の恋人、元妻ら関係者から話を聞き、元妻からはミステリーを書くよう勧めたのは自分で、アランが目指していたミステリーではなかった、この作品が最初からシリーズ最後であったことや、そういった背景から作品やペンネームに隠されていた秘密に気付き、真実にたどり着き…。


余命いくばくの人を確固たる地位のある人が殺しても、そんなに大騒ぎすることか?、とセリフは際どいジョークやシニカルを好むイギリス人っぽい。


ヨルガオの方は、「カササギ事件」から2年後。クレタ島にいたスーザンの元にイギリスの田舎で高級ホテルを所有している夫婦が訪れる。
8年前にホテルで起こった事件の真犯人がわかったと娘セシリーから連絡が来て、気付かせた本が送られてきたけど、ふたりに謎は解けず、セシリーは失踪してしまったという。そこで、その本の編集担当だったスーザンなら、何かわかるんじゃないかと尋ねてきたのだ。その本は、アラン・コンウェイの名探偵ピュントシリーズの3作目「愚行の代償」だった。

クレタ島でのストレスと、その報酬につられて現地へ向かうスーザン。関係者の話を聞くうち、このホテルで働く人たちが作中のモデルに使われていることがわかる。とはいえ、性格や設定等は異なるし、ストーリー展開も実際の事件とはまったく違うけれど。

上巻2/3以降から下巻の半ばまではコンウェイの小説「愚行の代償」が挿入される。
新しく秘書を雇ったピュントのもとに、有名な女優メリッサが殺されたエージェントから真実を突き止めてほしいと依頼が来る。
それは、ホテルの経営者でもあるメリッサが自宅で絞殺されていた事件だった。ピュントは主任警部とともに、関係者から話を聞く。いろいろあって、最後に関係者を集め、真相を話す。

スーザンもふたたび探偵の真似事をして、関係者に話を聞く。この作品に関する、アランとの打ち合わせも思い出していく。
途中、ロンドンへ行き、就活したり、アランの元恋人ジェームズに会い、思いがけずヒントを得て、紆余曲折しつつ真相に近づき…。

事件解決後も、スーザンはアランのメッセージを取りこぼしていないか何度も何度も作品を読み返し、ついに彼が残していた真実にたどり着く。


「ヨルガオ」のほうも、アランのメッセージ等が作品に織り込まれていて、
どちらの作品もなんとな~く犯人はわかるけど、いい意味で素人探偵のスーザンが搔き乱す。同時に、スーザンの仕事や恋愛、妹との交流も含まれる。

コンウェイのシリーズは、設定ではあと7作あるんだけどな…。



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