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☆本#274 読めない展開 「その女 アレックス」ピエール・ルメートル著を読んで

イギリス推理作家協会賞受賞作品。著者は教職を経て50代半ばで作家デビューし、その7年後初めて書いた文学でゴングール賞も受賞したフランス人。

ミステリーで検索して見つけた作品は犯罪小説。主な語り手はアレックスという30歳の美しい女性と慎重145㎝の男性刑事で、三部構成。

第一部でアレックスは誘拐されボコボコにされ、木の棺のようなものに入れられて箱ごと宙吊りになり、死ぬ寸前となる。

登場人物の多いミステリーでは巻頭に登場人物の説明文があるけど、この作品では誘拐した人物も既に載ってる。けど、誘拐理由や背景はあまり1部では描かれず。

刑事のカミーユは2年前に妻を誘拐され殺害された。復帰した職場で、また同じく誘拐を受け持つよう上司に言われる。
この作品は彼のシリーズの2つ目。

彼は数日後犯人を見つけ出すが、犯人は自殺。アレックスが誘拐された場所になんとかたどり着くと、もぬけの殻。死ぬわけに行かなったアレックスはなんとか逃げ切っていた。

第2部で、アレックスの意外な過去がわかり始める。
最初、そもそもなぜアレックスは警察へ助けを求めないのか、となぞが深まったけど、徐々に理由がわかってくる。

それから想像を超えた事実や展開になり、アレックスが殺人者だったことが判明し、彼女も死ぬ。けれど、その行為は単純な流れでされたことじゃないというのが最後の最後にわかる。

第3部はさらに意外な展開で、アレックスの復讐が果たされて終わる。
端的に描くとこんな感じだけど、情景描写・心理描写が丁寧に書かれていて引き込まれた。映画化もされていて、著者の意向でアメリカではたなくフランスで撮影というようなことが役者あとがき書かれていたけど、検索では映画については出てこなかった…。

ページ枚数が多くて、人物が魅力的で、先が読めない展開だったので一気に読んだ。それにしても、男性作家がよくあの仕打ちを思いついたものだ。ひど過ぎる…。文庫の表紙絵はイマイチ…。
カミーユのシリーズ1作目と2作目も読む予定。

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