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☆本#272 男女とも生きやすい社会のために「存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く」キャロライン・クリアド・ペレス著を読んで

英語タイトルは、”invisible woman, exposing data bias in a world designed for man”. By Caroline Criado Perez.

著者はブラジル生まれで、英国の大学とビジネススクールを出て、英国在住ジャーナリスト、女性権利活動家。今年38歳。

男性基準の女性への影響がデータとともに書かれていて説得力ある。おそらく男性らに話す際、データがないと耳を貸さなかった影響だろう。なるほどと思うことが多々あった。

以前読んだアメリカの60代の女性教授の本によると、彼女が20代の頃脳のデータは男性が主だった、と書かれていたのを思い出した。データの基準は男性だったのだ。その後女性のデータもとるようになったみたいだけど。だから、特に海外では男性基準として解決策を考えたから、女性が被害を被っていた。

とはいえ、ここ数十年のITの進化で男女ともにホワイトカラーワークが主流になり、やっと男女公正にもっていける時代が来た。人で不足で女性の力が必要とされている背景もあるけど。

本書には日本のデータも出るけど、ちょっと古い感じだし、日本は保守的なので、男女の劇的公正はないだろうな。たぶん、家父長制の呪縛が解かれてきている40代未満が5-60代になったころ、あるいは、今の10代がその年代になったころはもう少し今より平等だろう。
あと、家父長制が海外でもあった点は興味深かった。歴史を見ると確かに…。

先日読んだブレイディみかこのノンフィクションには、女性が子供の送り迎えをしたり、シングルマザーや貧困層の問題を書いていたけど、その内容がまさに無償労働を女性が主にしている等に当てはまり納得。それぞれの家庭の事情等もあるとは思うけど。
それと、最近ネット記事で偶然読んだ20代で結婚・離婚経験した日本女性の話から、男性優位社会が垣間見えた。

著者が言うように、政治や会社でも、決定者に女性が半分いたほうが、女性サイドの待遇改善等が望めると思う。そういえば国会でも、バイアグラは危険性があっても1年以内で承認を得、同じく当時危険性を言われていたピルの承認は数年に渡って許可が下りなかったらしい。どちらも危険性があったのに、男性議員が多かった点で差が出たのだろうと思う。悪いニュースは大きく報道されるけど、危険性が解消後はニュースにならないから、知らない人はずっと知らない…。

著者はイギリス在住で、イギリスの紙幣に女性が印刷されていないのはおかしいと運動を起こし、勝った。男女の待遇差については、著者と同様の意見を持っていた人がこれまでもいたと思うけど、今の時代になってやっと発言しても、賛同者を多数得られるようになったのではと思う。



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