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☆本#280 「天国でまた会おう」ピエール・ルメール著を読んで
フランスの権威あるゴングール賞を受賞した作品。
著者の本は犯罪ミステリ系しか読んでないけど、これは初の文芸作品。5,6年時の流れが合って、登場人物も多く、相変わらず先が読めなず、引き込まれた。
主要登場人物のひとりは、事情があって戦後名前を戦争の死者からとって実家には帰らない。彼がどうするのかそこが気になっていたけど、そこは最後の最後にやっとわかる。
ゴングール賞というフランスで権威のある賞を獲った作品はあまり読んだことがないけど、2回獲った人の作品にも戦争が含まれてたな。
この作品に出てくるギリシャ人はカーソン・マッカラーズの作品から思いついたそうだけど、自分のイメージと違う。むしろ主人公二人が同居するとこや片方がおしゃべりな点が似てる気がする。その部分だけ。年齢も状況も性格もまったく違うけど。
これの前に「死のドレスを花婿に」という著者の2作目も読んだ。著者は想像力というものをあまり信用していないという。見たこと聞いたこと、感じたことを頭の中で順序を変えて再構築するのが作家の仕事だという。けど、この作品で主役のアラサー女性が幸せな暮らしから容疑をかけられて逃亡を余儀なくされて、とんでもない展開を迎えるには想像力がとても必要で信用しても大丈夫と思う。なんか映画みたいな展開と結末な作品。
この作品では最後がちょっとあっさりだったのが、次のアレックスではそこもバランスよくなった気がする。
ちなみに、著者のデビュー作は20社に送っても相手にされず、再婚した妻が持ち込んで出版に至ったとか。完成度高いと思うけど、ハリポタといい編集者はまずは断るのか。
この作品の次に、「わが母なるロージー」を読んだ。カミーユ警部のシリーズ番外編。母子の問題が事件の根底にある場合がこの作家ではちょいちょい見受けられるけどこれもそれで、最後はそう来るか〜!という相変わらず展開が読めない作品だった。
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