見出し画像

☆本#56 「猫を棄てる 父親について語るとき」村上春樹著

猫になにが起こるかちょっと心配だったけど、杞憂だった。親子で海に捨ててきた猫が、家に帰ったら先に着いていて出迎えた、という不思議なエピソードから始まる。

猫を棄てる

きれいなイラスト入りのエッセイで、小型且つページ数が少ないので一気に読んだ。

村上春樹の父親は京都の寺の住職の息子。大正生まれなので、戦争に行かざるをえず、大変な経験をしたようだけど生き延びた。

村上春樹も1949年生まれなので、物心ついたころ近所に戦争による廃墟等がまだ残っていて戦争が近かったらしい。

村上春樹の父親は途中から俳句に目覚めたようだけど、一条天皇が死ぬ間際俳句を詠んだというエピソードを思い出した。

昔のひとはよくまあそんなとき詠めたものだと思ったけど、こういう文化はずっと残ってほしいなとも思う。

村上春樹は、父親に彼の過去について聞かなかったことも書いていたけど、親の昔の話を聞くことは結構大事。なかなか聞くタイミングが難しいけど。

読んだタイミングもあって、戦争についてのニュースが目についた。

先日、アメリカのメディアがついに「原爆を落とす必要はなかった」ことをやっと認めた。

核兵器禁止を訴えている団体が、日本は被爆国なのだからもっと世界のために核兵器禁止を主張すべきだ、さもなければ核兵器所有国と同罪だ、的と発言し、複雑な心境になった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?