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☆本#398 結束「特捜部Q シリーズ7」ユッシ・エーズラ・オールスン著を読んで

シリーズ7作目。
マークのボヤキ、アサドのラクダの例えは相変わらず。今回も複数の事件捜査が進行しつつ、ローセが精神的に追い詰められ、事件に巻き込まれてしまう。

福祉事務所に補助金をもらいにきた失業中の3人、デニス、ミッシェル、ジャズミンはみな20代の女性で、そこで偶然出会い、意気投合する。3人とも補助金は欲しいけど働く気はない。3人の担当の中年独身女性スヴェンスンは、目先の収入だけで選んだこの仕事に疲れ果て、挙句に検査で胸にしこりが見つかり、3人が自分に対し悪口を言っているのを聞いてしまう。
残りの人生が短いと思い、彼女らを殺害する計画を立て始め、ほかに担当した子も含め、殺害予定者のリストを作り始める。
3人はミッシェルが恋人のパトリクと別れたことをきっかけに、デニスの祖母の家に同居し始め、パトリクがドアマンとして働いている店に強盗に押し入る計画を立て、実行する。銃で脅してうまくいくも、帰りに知り合いに会い、その女性を撃ち殺してしまう。
スヴェンスンも予定通り車を盗み、まずミッシェルをひき殺す。

体調の悪かったローセがついに帰宅途中意識を失い、以前検査を受けたことがある精神病院に自ら入院する。が、心配した妹が特捜部Qのメンバーに彼女が秘密にしておきたかったノート等を見せたことを知り、腹を立て、薬でもうろうとする中帰宅し、命を絶とうとする。
が、いつの間にかデニスたちが隣の家に住んでいて、彼女らにつかまり、トイレに拘束されてしまう。固定され、与えらえるのは水飲み。それもわずかで、体が弱っていく。

元殺人捜査課の課長だったヤコプスンは、ある事件を新聞で読み、過去の未解決事件との関連性に気付き、カールにコンタクトをとる。

カール、アサド、ダニエルは、事件捜査もしつつ、ローセが行方不明ということを知り、捜し始める。

特捜部Qが担当する複数の事件と担当外だけど関連があり調査をしているいくつかの事件と、カールとアサドが探り始めたローセの父親の事故、3人の女性の起こす犯罪と各自の過去、スヴェンスンの殺人と乳がん、ヤコプスン、ハーディ、モーガン、モーナも登場し、ローセの直面していた悪夢と苦悩の理由が明らかになる。過去の男性遍歴も明らかになり、ゴードンはショックを受ける。そもそも彼が特捜部Qにいる理由は彼女の存在だったから。
ローセは精神的にも、拘束されたことで肉体的にもぼろぼろになり、生死をさまよう。が、カールとアサドが、彼女の父親が死んだ事故の真相を突き止め、アサドがそれを伝え、ローセはやっと悪夢から解放される。

今回、デンマークの福祉の補助金が若い女性によって悪用されているのが話のベースだったけど、実際のところはどうなんだろう。

ハーディはシリーズ1で、銃撃により首から下が動かせないはずがこれまでで指が動かせるようになり、今回どうやらほかの部位も動かせそうな気配。ミラクル。
数年前あっさりモーナと別れたカールだけど、彼女の娘が病気と知り、ふたたび何かありそうな気配。
シリーズが増えるごとに、チームの信頼関係や結束が深まっていく。
ついに、次のシリーズ8が翻訳版の最新版。デンマークではシリーズ9が既に出ていて、そのドイツ語版は出てるけど、英語版は今年秋発売予定らしい。日本語版もその頃だろうか。


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