映画「君を想い、バスに乗る」を観て
スコットランドからイギリスの果てまで、90歳の男性が旅するロードムービー。あらすじだと、その旅がSNSで話題になったりして、人情に触れるわいわいがやがやの明るい展開かと思ったら、ちょっと趣が違って、見る人によるかもしれないけど、先を想起してしんみりした気持ちになった。
主人公役の役者はまだ60代なので、なぜあんなシニアな演技をするのかと思ったら、それは90歳の役だったから。
彼と妻にとって、長い結婚生活で幸せも多々あったろうけど、ここでは少し悲しい思い出にフォーカスしていて、そこが、なぜ果てまで旅するかとつながっている。
途中、明らかにやばそうな人種も出てきて、描き方が若干ステレオタイプ?って気がしたけど、逆にリアルなのかもしれない。ブルーカラーとくっちり違う労働者階級。
それと、親切な移民が出てきていて印象的だった。イギリスというと、その歴史からインド系が多そうな印象だったけど、EUの関係でヨーロッパからの移民も多いのだろうな。
バスの運転手でヤな奴も出てきたけど、それに対して乗客が「ヒトラー」と言っていて、ああこの国でもそういう風に例えられるのかと。
主人公は身体が自由に動けるうちに、しようと思っていたことを成し遂げる。最後、その缶に入れていたのか、というのがちょっと意外ではあったけど。
あのあと、また、元来た道を帰り、たぶん、入院するのだろう、なんとなく想像してしまって、しんみりした気分になった。
けど、長い人生、描かれていなかった部分には幸せな部分もきっとたくさんあるはずなのだ。
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