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☆本#347 弱さ「クライマーズ・ハイ」横山秀夫著を読んで

久々に映画のほうを見て気になってた箇所があったので、原作を読んでみた。映画では時間の制約による設定変更等があり、人間模様、主人公の心情等々、本のほうがさすがに丁寧に描写されていて、主人公の壁や考え方の変遷等々わかって、読後感がよかった。

映画のほうはさすがに賞を獲るだけあって、展開も、役者の濃い演技、社内の駆け引き・対立が印象的ではあったけど、冷静に見ると、主人公が慎重過ぎて、人としての弱さや人間関係でうまくいってない点のほうが目についた。本のほうでも根本は同じだけど、そもそも妻とは離婚してなくて、同僚の安西の息子との関係ももっと意味があって、子供時代家族に恵まれていなかった主人公が40歳を過ぎ、様々な事件を経て、同僚との人間関係構築もあり、メンタルで克服というか、弱いところも受け入れる姿が、長いスパンで描かれる。

主人公の最後の決断は映画とは違うけど、本のほうがなんか納得、というか現実的。設定が多少違うので話の終わり方も違うけど、本のほうが長い分事情も分かり、なんだか開けていていいなと思った。
ただ、主人公が若干感情で流されているように思える箇所がある。性別に関係なく感情は理性に勝つ。人の弱さというか、人間ならではというか。

新聞社内のやり取りから、社内派閥とか、時代的に女性蔑視やセクハラ、男性間のパワハラが描かれているけど、こういうのを見ると、ヨーロッパの国々の首相に、最近アラサーの若手が選ばれるのがなんかわかる。彼らは最新のテクノロジーの知識を持ち、純粋になんとか改善しようとしている感じで、中高年政治家のしがらみのようなものがなさそうだから。欧州のほうが男女差においても、かなり対等のようだし。

この本の中で、事故にあっても24時間以内の死亡でないと事故死としてカウントしない、というのがある。ってことは、事故によって数日入院し、亡くなった場合、カウントされてないということか。


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