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☆本#237 自己合理化「今日も言い訳しながら生きてます」ハ・ワン著

前作「あやうく~」のエッセイが面白かったので、第2弾も読んでみた。
自己合理化(=言い訳)、大きな幸せより多数の小さな幸せ、人と比較しない、年齢を経て理解できること、等々知ってることや違う側面から見ることや、共感できることが多々あった。

村上春樹の「小確幸」が出てきて、改めてこの言葉は彼の世界の読者にも広まっているのかなと思った。著者曰く、大きな幸せは続かないので、小さい幸せが多数あるほうがいい、と。ポジティブはすでに実践してる。

法輪和尚の講演はいつか見てみたい。
20年ほど前に公開されたというウォンカーウァイの「花様年華」も見てみたい。映画にしろ、小説にしろ、主人公と年齢が違いほうが理解しやすい、というのはわかる。

著者は学費免除という誘いにのって、産業高校へ進学するも、就職につながるのは過去の話だと知り、時代の変化を察し、そもそも進学予定はなかったのに美大へ進むことにする。3浪してやっと有名美大へ入るも、就職は厳しかった。家が貧乏で、父が母に暴力をふるい、家出したことのある母は、彼の進路変更や、大学浪人や、就職浪人、会社退職について、口を挟んだことがない。そのことに著者は感謝している。
偶然この本を読んだ後、大学1年の18歳で司法試験に受かった子の記事を見た。有名私大の幼稚舎に入った時点で、著者とはずいぶんと異なる環境。この子は中学のとき裁判を見て、それからひとりで夏休み等学校が休みのとき裁判を聞きに行ったりしていたらしい。
今年読んだミステリー作家の本でも、18歳で合格した子が出てくる話があったけど、こっちは家が貧乏だった。
アメリカで50年以上続く調査で、幼児教育をきちんとした子の周りの比較でも、幼児教育をしっかりしているほうがのちに資産形成できていた。

なんていうか、格差は静かに広がっている。
とはいえ、アメリカで知能指数が高かった子が大人になってからどうなっているかの追跡調査では、必ずしも資産には影響しておらず、成功も。

興味深いのはこの本で、「魂の退社」の稲垣えみ子が登場したこと。この本はまだ読んだことはないけど、彼女がテレビにでていたのを見たことがある。特徴的な髪形と額のしわ。新聞社を早期退社したのは知っていたし、家電を持たない暮らしをしているのもテレビで紹介されていたので知っていたけど、退職に踏み切れない理由が「給料」で、給料と会社への依存度をひくくすることで、自由になったというのは知らなかった。給料がないという不安に打ち勝ち、お金は少なくても食べていけるという自信を持ち、給料と会社への依存度を低くすることで、自由になったという。しかし、冷蔵庫のない暮らしはちょっといろいろ面倒そうな気も。。。
思うに、ファイナンスリテラシーを持っている人、つまり、買い物でローンを爆増させない人、ある意味身の丈を知っている人、収入と支出のバランスを把握している人も、会社・給料依存から脱却できそう。

去年ぐらいから、韓国人の小説やエッセイを読んでるけど、キム・ドンシクは知らなかった。この人の小説もちょっと興味あるな。怪奇系ってのが今一だけど。。。

韓国の賃貸事情は大変と小耳にはさんだことがあるけど、著者は運悪く保証金500万円ほど失った。そもそも保証金に700万円も出さないといけないなんて、ほんと大変だ。しかも彼のように、保証金がほとんど戻ってこないなんて。。。伝貰権(返済権)設定にしていたにもかかわらず。。。

著者はイラストレーターだからか安西水丸の本も出てきた。確かに特徴的なイラストを描く。すぐ見分けがつくというか。アバウトなノリでいうと、文春の表紙を永らく亡くなるまで担当していた和田誠ともちょっとつながる。こっちもタッチですぐわかる。紹介されていた「安西水丸:心を込めてアバウトで描いたイラスト」も見てみたい。
韓国って、日本の本の翻訳がすぐ出るのだな。

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