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☆本#263 教養 「スティル・ライフ」池澤夏樹著を読んで

ふと読みたくなって手に取った本。この著者の他の本は読んだことがない。中編が二つ。

著者は作家になる前、30代前半でギリシャに数年住んでいた。ギリシャ人の本の翻訳の影響か?大学の専攻は物理。そういう影響出てる気がした。

というか、文系女子のきめ細かく不安定な心の動きの対極で、なんかあっさりさっぱりしてて、論理的っぽい。

表題の「スティル・ライフ」は、始まりがなんだか哲学っぽいな。と思ったら、そうではなく、主人公に手伝いを頼むことで加速する展開にぐいぐい引き込まれた。独特で賞取ったのなんかわかる。

もう一つの作品、「ヤー・チャイカ」も、ありそうでなさそうな、リアルっぽくて、想像的な。途中、恐龍とか出てくるけど、全体的に面白く読めた。何かが劇的に変わることはなく、けど何だか奥行きがある。正直、もっと読みたかった。続編あったら読みたい。

30年ほど前に出た本なのに、古さが感じられなかった。人間関係って普遍。敢えてギャップを上げるとすると家電の頻繁な登場くらいか。でも、これもまだ消えたわけじゃないし。

主人公の中年男性は家で仕事をしてるので、現状のリモートと変わらない印象。

解説が須賀敦子でびっくりした。アントニオ・タブッキの「インド夜想曲」に興味が持った。


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