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ジャンルにこだわらず読んだ本あれこれ。
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2023年3月の記事一覧

☆本#423 極限「アルファベット・ハウス」ユッシ・エーズラ・オールスン著を読んで

著者のデビュー作。 著者曰く、これは戦争の話ではなく、人間関係の亀裂の物語。 前半は第2次…

☆本#422 贅沢とは誰かと激しい恋に生きること「シンプルな情熱」アニー・エルノー著…

既婚男性との関係で生じた感情を、理性的に語った作品。 解説によると、このシンプルというの…

☆本#421 繊細、融合「猫と藤田嗣治」を読んで

明治生まれの画家、藤田嗣治の作品の中で、猫が登場するもののみ選定され、絵と作中の猫に関し…

☆本#420 古典 「メグレと若い女の死」ジョルジュ・シムノン著を読んで

1989年に既に亡くなっているベルギーの小説家。本作の映画から、原作を知った。1954年に書かれ…

☆本#419 捜査ツールにバクテリア「生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人」アンドリュー…

シリーズ2作目。 前作で事件を優先したことからか、現在は教授ではないクレイ。 そんなある日…

☆本#418 独特の不穏「赤く微笑む春」ヨハン・テオリン著を読んで

スウェーデンのエーランド島シリーズ3作目。 著者の本は、上記シリーズ2作目は読了。本作も…

☆本#417 理性的でエモーショナル「犬のかたちをしているもの」高瀬隼子著を読んで

著者の本は3作目。新しい順に読んでいて、これはデビュー作。 29歳の女性主人公、薫は婦人科系の検査のため(なぜか)裸で、恋人が見守る(?)中、下の毛のカット。21歳で婦人科系の手術し、今でも検査に定期的に通う。以前は男性医師だったけど、今は女性医師。 セックスに興味がなく、付き合っても4か月後には苦痛になってやめる。で、彼氏とも別れを繰り返し。 仕事で知り合った郁也とは付き合って3年で半同棲中だけど、セックスはもうしていない。彼が自分を好きなことはわかっているけど、自分か

ペンギンランダムハウスのサイトで、特捜部Qシリーズ9の英語版サンプル(抜粋)読める

The shadow of murders (抜粋部分は、リンク先の"Read an excerpt"をクリック) 比較的短文な…

☆本#416 最後はローテク「ブラックサマーの殺人」M.W.クレイヴン著を読んで

シリーズ2作目。読み応えある長編。 刑事ポーは6年前、有名シェフのキートンの娘、エリザベス…

☆本#415 食糧「世界のおばあちゃん料理」ガブリエーレ・ガリンベルディ著を読んで

イタリア人のカメラマンが、世界中を旅して知り合った、50カ国58人のおばあちゃんに自慢料理を…

☆本#414 熊のDNA「生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者」アンドリュー・メイン著を…

著者はプロのマジシャンで、2011年から自費出版で本を書き始め、2017年に本書を刊行。 主人公…

☆本#413 迎合しない「雨夜の星たち」寺地はるな著を読んで

文芸系の本の主人公は、性格や環境が比較的マイノリティなのが特徴的。一昔前だと、友達いなく…

☆本#412 文化「暗闇・キッス・それだけで」森博嗣著を読んで

著者のシリーズものとは関係ない長編だけど、登場人物は他シリーズに出ていたひとも登場するミ…

☆本#409 女性の割り切れない気持ちと、当時の歴史「嫉妬」アニー・エルノー著を読んで

著者は2022年ノーベル文学賞を受賞。同年公開された映画(本の方のtitleは「事件」にも興味を持ったので読んでみた。この本には、中編「嫉妬」と短編「事件」が含まれる。どちらも語り手は著者自身。 前者では、40代の著者が6年付き合った30代の男性に自ら別れを告げたのに、彼に恋人ができ、それが年上だったので、気になってその女性について調べつつ、そういう自分の止められない行動を冷静に分析している作品。 不条理な感情に向き合い、書くことで自分を取り戻すというか、つかえていたもの