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☆本#421 繊細、融合「猫と藤田嗣治」を読んで

明治生まれの画家、藤田嗣治の作品の中で、猫が登場するもののみ選定され、絵と作中の猫に関して解説が書かれている。絵の中には犬も登場したものもあるけど、猫の方が表情豊か。多分この画家は猫のほうが好きだったんだろう。特にファンでも猫はでもないけど、絵に惹きつけられて読んでみた。

藤田は帰国時には戦争ものの絵も描いていたけど、そういうのよりやはり一世風靡した乳白色の絵のほうが、肌の艶感や、イラスト的な細い線の描写が独特。
本作では乳白色の絵が多いようだけど、よりイラスト的なのもの、南米旅行中に新しいタッチの絵もある。戦後再び乳白色の絵も描いてる。

どれも猫の表情が豊かで、細い線でふわふわな手並み。人物のほうがむしろ無機質な感じ。

詩人で編集者のマイケル・ジョゼフの猫の本のために20点の絵を描いており、これは全85ページの限定500部で出版されたらしい。この影響で、アメリカでは長らく猫の画家として知られていたとか。これも見てみたいが…。

戦後なかなかフランスへのビザがおりない中、アメリカ行きのビザの手配を根回ししたGHQの民生官シャーマンは、高校生のとき藤田の作品に心酔し、終戦後来日を果たし藤田に会いに来たとか。
1949年頃のニューヨーク滞在中の絵はカラフルで、これもまたよい。藤田はなんと5回も結婚していて、3,4番目の妻はモデルでもあった、多分フランス人で、戦後結婚した5番目の日本人の妻とフランスに行った後は帰国しなかったらしい。

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