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☆本#417 理性的でエモーショナル「犬のかたちをしているもの」高瀬隼子著を読んで

著者の本は3作目。新しい順に読んでいて、これはデビュー作。

29歳の女性主人公、薫は婦人科系の検査のため(なぜか)裸で、恋人が見守る(?)中、下の毛のカット。21歳で婦人科系の手術し、今でも検査に定期的に通う。以前は男性医師だったけど、今は女性医師。

セックスに興味がなく、付き合っても4か月後には苦痛になってやめる。で、彼氏とも別れを繰り返し。
仕事で知り合った郁也とは付き合って3年で半同棲中だけど、セックスはもうしていない。彼が自分を好きなことはわかっているけど、自分からの愛情はわからない。

ある日、郁也に話があると言われ、待ち合わせ場所のファミレスへ行くと、彼の隣にスーツ姿の女性が。大学の同期で、お金が伴うセックスを続けていたらしく、不手際により妊娠した、でも、おろすのは怖いので出産するけど、その子は郁也と薫に育ててほしいという。
薫は結局、心が決まらないまま、その女性と定期的に会うことを約束。彼女曰く、嫌いな人の子供は育てられないだろうからと。

薫はIT系のソフトを販売する会社に勤めて7年。仕事は順調で、転職の話が来る。自身の妊娠が難しいこと、祖母は体調不良で孫を見せたら喜ぶだろうこと等々から、子供を受け入れる気持ちになりつつ…。

表紙裏には著者の略歴と写真付きで、四国出身、黒髪ストレート。本作主人公も四国出身で黒髪ストレート。どちらも大学から故郷を出ている。意図的なのかは、ちょっと微妙。

作中、半ばに出てくる、「卵管と大腸の癒着」、それに穴があくと膣から排泄の可能性。ってなかなかコワい。
最新作の方が設定的に洗練。「ふたり」の中がなんとなく揺るぎないのも特徴的。


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