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在宅ワークになって上司の監視が酷くなりました…

衝撃的な発言でした。

半ば強制的にテレワークが導入されて、あぶりだされる日本企業特有の踏襲文化・リスクテイクしない風潮。

2020年。間違いなく、今年は、ゲームチェンジの年になります。

最近、このゲームチェンジは、過去現状の延長ではなく、破壊からの出発なのかもしれない、とすら感じています。耐え忍ぶ、というレベルでは、太刀打ちできないところまで来ています。この変化に対応できるか・否かによって、生存確率が違ってくると思うのです。

これまで、様々なテレワークに関する相談を受けてきて、今、思っていることを記します。


私たちがテレワークを選ぶ理由

そもそも私たちニットは、5年前からテレワークを前提に始まり、現在、400人全員がリモートワーカーであるみんなと運営しています。旦那様の転勤に伴った離職、子どもが生まれて前のように働けない、介護離職…。そんなキャリアを断絶してしまうことって、すごく負。それが、テレワークであれば、住む場所や働く時間に捉われることなく、自分らしい働き方ができる。仕事はあくまでも人生の一部であり、仕事以外の家族との時間、余暇を楽しむ時間、読書や学習の時間など、色んな時間が人生を構成している。どこに住んでいたって、自分がやりたい仕事ができて、それ以外のことも大事にできる時間が持てたら、それはすごく素敵なことだと思うのです。

「居住地やプライベートの環境に関係なく、自分らしく働く選択をしてほしい」

だからこそ、みんなのプライベートも尊重したい。仕事の合間に家事やったり、友達とお茶したり、お子さんとの時間をちゃんと持ったりしたって、いいじゃない。仕事の成果が出てたらそれでいいじゃない?という発想で運営しています。

「成果さえ出してれば、いいの?」→「はい、そうです」

いずれ、そういう時代は、来ると思っていました。奇しくも、コロナが、そういう概念醸成を促進してくれてしまったことは、悔しいですが、事実です。


マネジメントが監視である実態

タイトルに書いた「在宅ワークになって上司の監視が酷くなった」というのは、大手総合電機メーカーにお勤めの方から出てきた言葉です。

▼最近ツイッターでバズった内容

8000近くのいいね、4000近くのリツイート(私の記事を皆さんが紹介)されました。興味深かったのが、ツイッター内の皆さんの反応。

◉バズった時の皆さんの反応
・共感派1割:うちの上司コレです。。
・驚嘆派7割:酷い。日本の未来が心配
・容認派2割:え?上司普通でしょ?

様々な企業様から相談を受ける中で「在宅勤務にすることで社員がサボらないか」「どのように業務のマネジメントをすればいいか」といったマネジメントに関する不安を頻繁に言われます。

最近、話題になった、監視カメラを取り付けて在宅ワークをさせている、という企業もあるようで、驚きを隠せません。

姿が見えないことでマネジメントができなくなると考える人は多いかもしれませんが、それは必ずしも正しいとは言えないと思うのです。例えばオフィスにいても自分が1日会議をしていれば、その間に部下がどんな仕事をしていたかはわからないし、オフィスで真面目そうにパソコンに向かっているメンバーが実はネットサーフィンしているかなんてわからないのです。実は姿が見えているだけで仕事が見えていたわけではなかった、ということが往々にしてあるんだと思うんです。まずはその前提を正しく認識することが大切かな、と思います。


仕事・マネジメントの捉え方の変化

今回、強制的にテレワーク導入の必要があったことで、

在宅勤務は仕事場が家になっただけ!
  ↓
9-17時の業務時間=仕事以外やるな!家でも一緒だからな!

こうなっているんだな、ということが今回のツイッターでの反応で窺い知ることができました。

あくまでも自論ですが、「仕事=時間」ではなく、「仕事=成果」だと思うのです。少ない時間で成果を出せたらOK。

【旧来の考え方】
仕事=時間
マネジメント=管理・監視

▼▼▼

【テレワーク時代の考え方】
仕事=成果
マネジメント=生産性高くチーム成果を出すこと
【マネージャーの役割】
今いるメンバーの能力を最大化させ、最小の時間・労力で事業推進に貢献すること

労働生産性が高く、メンバーが自律的に仕事のできる環境を整えることがマネージャーの仕事だと思うのです。

とは言え、「そうは言っても、メンバーの行動が見えないことが不安なんだ…」というマネージャーさんたちの気持ちも分からなくもないです。

「未達だけど、よく頑張った!」「来月は、きっと達成できる!」というプロセス評価をしていた人からすると、メンバーの動きが見えないことが不安なんだろうと思います。

ただそうなると、メンバーは社内の人たちへの報告資料作成に時間を費やすことになり、内向きで保守的な仕事になり、業績に繋がる時間にリソースを使えていないので、成果が出なくなる。この負のスパイラルに陥ります。


「頑張っている姿を見せなきゃ」心理

メンバーは、監視をされればされるほど、どんどん硬直化し、身動きが取れなくなっていきます。そして、せっかく自分らしく働けるはずのテレワークが、むしろ、業務報告の時間が長くなって、今まで以上に仕事の時間が長くなっている、という話も聞いています。

更に危険なのは、プロセスを重視する文化であるほど「常に上司に見られている」という気持ちから、「頑張っている姿を見せる」という行動になっていくことです。チャットは即レス、長時間労働、常にオンラインステータス…などなど。

そんな行動を生み出すのが、正ですか?

更には、在宅ワークで、姿が見えないので、メンタルに陥ったりしていたとしても、気付けないということが、この先起こってくるだろうとも予想されます。


「信じてもらえていない」という不信感

「メンバーがサボらないか、不安…」こう言ってしまう時点で、潜在的に「自分だったらサボるかも」と思っておられるのかな、と感じます。それだと、テレワークはきっと上手くいかない、ということを認識された方がよいかな、と思います。

在宅ワークのマネジメントには【性善説】と【信頼関係】が肝です。


物理的に不可能なこと

とはいえ、物理的な阻害要因として、真っ先に挙げられているのは「紙文化」「ハンコ文化」です。契約書や見積書、請求書など、さまざまな書類を「紙」にして「ハンコ」を押すことで、一つのエビデンスとするビジネス慣習のことですが、これだけあらゆるものがデジタル化されている中で、なぜか残っている商慣習の一つです。わざわざハンコを押すためだけに出社している会社員もいます。何なら当社は、【会社から一番近い人】=【社長】ということで、社長自ら、週一ぐらいで出社し、ハンコ+郵便物チェックをしてくれています。

ただ、スピードはともかく、すでに政府も契約データが本物であることを証明する認証制度づくりなどの環境整備を急ぐとしているため、コロナ危機を契機として早晩解決されることでしょう。

物理的なもので、もう一つテレワークの障害になっているものが、「労働時間管理」「勤怠管理」の方法です。現行の労働法においては、労働時間によって報酬が決まる人が大半でしょう。

また、残業規制もあるため、会社は労働時間を厳格に管理をしなければいけません。ですが、テレワークの場合、「いつを出勤・退勤とし」「いつを休憩時間とするのか」「そのエビデンスをどう取るのか」、こういうところで議論が進まずに、在宅勤務を実施できていない会社もあるようです。

もともと長時間労働やサービス残業をさせないよう働く人を守るためだったはずの厳格な労働時間管理が、かえってテレワーク推進の障害となっています。ただこれも、「対策は後から考える」で一旦在宅勤務にしながらルールを考えていけばよいため(実際、そう踏み切っている会社も多い)、適切な法改正やルール整備は必要でしょうが、大きな障害とは言えません。



「マネジメント層の能力不足」の方がやはり深刻

そう考えていくと、ハンコや労働時間管理のような物理的要因よりも本質的に深刻と思われる問題は、やはり「会社のマネジメント層の能力不足」が露呈することなのかもしれません。

まずわかりやすいのは、「ITリテラシー」です。例えば、会社の資料をクラウドにアップできない、ファイルを共有しながらのオンライン会議などができない、チャットツールなどでの返答が的確にできないなど。社員は上司や経営者のITスキルに合わせて仕事をすることにならざるをえず、共有ドライブにアップすることだけを、メンバーがやっている、という場合も多いようです。

また、テレワークをするためには、「言葉で明確に仕事の指示をする能力」も必須です。ずっと「良きに計らえ」的なマネジメントをしてきた「お殿様」マネジャーでは、会社の外で働くテレワーカーへの指示は無理でしょう。「うまくやっといて」では通用しません。

そして、いずれ必ずやってくるのが仕事の「評価」の問題です。部下に仕事の指示ができていないのに、その評価をできるはずもありません。上司がうまく指示できなくても、優秀な部下であれば自律的に仕事は前に進めていくはずですが、そのプロセスや成果を適切に評価してあげることができるでしょうか。

結果だけなら見えるかもしれません。しかし、テレワークで日々部下の仕事振りを観察できない状態において、その結果に対して誰が貢献したのかを判定するのは難しいでしょう。また、結果が出なかった場合、それが大変な努力の末に惜しくもダメだったのか、適切な行動を取っていなかったためにダメだったのかを判定するのも難しいところです。

それでも、勝手に見えている範囲で評価を「つける」ことはできるかもしれません。しかし、それを部下にフィードバックして納得してもらうことはできないでしょう。「私の何をどう見てこういう評価にしたのですか」という疑問と不満の嵐にならないか心配です。


「テレワーク導入」はこれから必須スキル

このように、テレワークができるかどうかは、テレワークをしなければならない人のせいではなく、させる人、つまりマネジャーたちの問題だということです。

最終責任者である経営者は、マネジャーたちの「無理だ」という声に負けずに、(本質的に可能なのであればですが)テレワークを実行させなくてはなりません。部下にテレワークをきちんと実行させてあげることができるかどうかが、少なくともアフターコロナ時代に求められる上司のスキルと捉えたほうがいいかもしれません。

ITリテラシーにしても、ディレクション能力にしても、評価スキルにしても、マネジャー次第です。マネジャーの能力不足のせいで、社員がコロナの危機にさらされるようなことでは本末転倒ではないでしょうか。



もう、これから先、過去に戻ることは在り得ません。

コロナが会社やマネージャーの本性を炙り出し、本質へ向き合う覚悟を持てるか?変化に順応できるか?ということを試されている気がします。


コロナを
【チャンスの機会】と捉えるか
【耐え凌ぐ機会】と捉えるかで
その後の未来の生存確率が違うと思います。


当社がこれまで培ったテレワークの運用ノウハウをより多くの企業様でお伝えし、テレワークがもたらす生産性向上・働き方改革を通じた自分らしい選択をされる方を増やしていきたいと心から思っています。


テレワークの導入・促進に関してのご相談、些細なことでも結構です。いつでも、お待ちしています。


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テレワークを通じて、少しでも、皆さんが幸せになれる世の中を創っていきたいと思っています。

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