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MIC×(株)すむたす_1/3:不動産テック企業「すむたす」の挑戦、iBuyer領域で勝負する理由・初期顧客の獲得の難しさとは?


◎はじめに

こんにちは、ベンチャーキャピタルMICの有賀です。モバイル・インターネットキャピタル株式会社(以下MIC)は、1999年の創業時からデジタルテック領域において、リード投資を基本とし、シリーズAを中心とするオールステージにてスタートアップへ投資支援活動を行う独立系のベンチャーキャピタルです。投資先のスタートアップへの支援の一環として、事業会社との事業連携等オープンイノベーションにも注力中です。

本記事は、弊社が毎週火曜日に配信している公式Podcas「起業家のキモチ」を文字で読むことができる「読むPodcastシリーズ」です。投資先の起業家へのインタビューを通じて、事業内容や起業までのストーリー、今後の展開になどについてお聞きしています。1本3,000字程度にまとめていますので、空き時間でさくっと読みたい方にお勧めです✨

今回お迎えするゲストは、不動産を直接仕入れて直接販売するiBuyerという領域で急成長を遂げているスタートアップ「株式会社すむたす」の代表取締役・角高広さんです。iBuyer事業の最前線で奮闘する角氏が語る、不動産スタートアップの成長戦略と組織づくりの極意とは?3本立てシリーズの1本目となる本記事では起業家角さんにフォーカスを当てて、企業の経緯について迫ります。


◎ゲスト紹介_株式会社すむたす代表取締役 角高広氏

1989年生まれ、大阪府出身の角さん。もともと不動産系の会社に新卒で入社し、不動産リユースメディア「イエウール」の立ち上げに関わり、事業責任者として業界最大級のサービスへと成長させました。その後、不動産テック企業のイタンジに移り、経営企画のほか様々な領域を兼任。
2018年1月、不動産業界のさらなる課題解決のために「すむたす」を創業。
既存のビジネスモデルと、最新技術を組み合わせた新時代の不動産会社を目指す角さんは、創業翌年である2019年にForbesは発表する「アジアを代表する30歳未満の30人」に選出。また、ご家族の幸せとビジネスの成功を両立させるため、17時に退社して家族との時間を過ごし、夜に自宅でリモートワークに取り組むスタイルを実践中。


不動産業界に身を投じたきっかけ

MIC 有賀:
大学は法学部出身ということですが、社会人になって一貫して不動産業界に身を投じているのは結構ユニークな経歴だと思いました。そもそもこの業界に興味関心を抱いたきっかけはどういった経緯があったのでしょうか?

すむたす 角さん:
実は入社した会社が不動産系の会社というよりも、いろんな各種メディアやマーケティングのコンサルティングをやっている会社の新規事業として不動産系のビジネスに関わったというのが正しいんです。新卒で入った時はマーケティングのコンサルタントという感じで、リストを渡されてゴリゴリ営業していました。いま思うと、リストは100件ぐらいで、101件目からは自分で開拓しないといけない、そういうベンチャーでした。

当時まだ40〜50人ぐらいのベンチャーに入って、最初の2年ほどは営業をしていました。その2年目の終わりから新規事業に関わることになり、それが不動産だったという形ですね。不動産の事業をしたくてというよりは、しっかりとマーケットを見極めて、勝てるビジネスを選んでいく中で、不動産というものに導かれていったという感じです。

起業を決意したきっかけ

MIC 有賀:
そこから、同じように不動産業界でテック企業のイタンジさんに転職されて、その後起業というふうにご自身で選択されていると思うんですけれども、起業という選択肢はもともとご自分の中にあったんですか?

すむたす 角さん:
全くなかったわけではないですが、起業も転職も、例えば全く関係ない学校の先生になるとか、何か資格を必要とする専門職に就くとか、割といろんな選択肢が全部ありえるかなと思いながら過ごしていました。そういう意味では、起業するとはあまり思ってなかったですね。
きっかけは、もともとイエウールという不動産のメディアをやっていて、それが業界で一番になったぐらいのタイミングで次を考えたんです。業界で1番になるまでは、その業界で1位になろうというモチベーションでやれるんですが、1位になってからは「より業界をどうしたらよくできるか」「お客様のためにどうしたら良いか」という発想になりました。

そんな中、2016年頃にアメリカでiBuyerというモデルが生まれているという記事を見たときに、これは素晴らしいビジネスだと。日本の不動産業界や一般のお客様の課題は、このiBuyerの登場によって解決される部分が多いと思ったんです。ただその時点では、いいビジネスだとは思っても、自分でやろうとまでは思ってなかった。
でも、1年、2年経っても誰もやらない。業界の人はみんなiBuyerのことは知っていたんですが、誰もチャレンジしない。なぜ誰もやらないのかと考えていくと、業界の常識的にはやれない、テクノロジーの技術がないとやれない、お金がかかるからやれない、といったやれない理由がいっぱい見つかっていって。そこで、私の頭の中にあった人たちをリストアップしていくと、最終的に「この人とこの人にしかできないな」と思ったんです。そのうちの1人が自分で、もう1人が一緒に創業しているCTOになります。私の知る限り、この2人ぐらいしかこのビジネスをやれる人はいないだろうと。

その時の心境は、「よし、やるぞ!」というよりは、「誰か手を挙げてくれよ」みたいな。学級委員が決まらなくて帰れない時間に、やりたい人がいなくて、最終的に「じゃあ、私が」みたいな感じ。周りからは「いや、もともとあなたでしょ」と言われているけど、本人としてはやりたいというよりは「やっぱり私か」みたいな(笑)
そんな感じで、誰にも後押しされていないのに、勝手に空気の中では渋々やった、くらいの気持ちがありました。世の中に必要だと思った、そしてそれに向いているのは自分ぽい、とまで思ってしまって。じゃあやるしかなさそうだ、と。創業当初のモチベーションはすごく高いというよりは、「ついに手を挙げてしまったな、学級委員また1年やるのか」くらいの気持ちでしたね(笑)

起業とともに、家族との両立も

MIC 有賀:
起業するタイミングは家族とのバランスというところとも重なるタイミングだったそうですが…?

すむたす 角さん:
そうなんです。娘の誕生は、私が起業して会社を登記した丸1ヶ月後だったんです。もちろん予定日とかわかるので、お腹が大きな中で起業すると決めて起業しちゃったんですね。なので、家庭との両立をしたかったというより、両立をしないとそもそもいけなかったような状況で起業が始まったんです。
もちろん、すごく小さな子供が横にいる中で、「俺、起業するんで、全然関係ないんで」という感じには当然いかないので。子供も可愛いですし。なので、両立できるような仕組みや制度、カルチャーを、本当にゼロ日目から備えたという形ですね。もうそこが当たり前だったんです。
そのタイミングで意思決定をしてしまったので、いまでも家族にはすごくありがたいなと感じています。

初期の顧客獲得の苦労

MIC 有賀:
最初のマネタイズ、物件購入には初期費用が必要になるかと思います。ユーザーを獲得していく上で、何も実績がないという中で「物件預けて売ってください、私に物件紹介してください」というのも、なかなか難しかったのではないかと思うんですが、最初はどのようにしてユーザーさんを獲得されていたんですか?

すむたす 角さん:
最初から今と同じ形で、デジタルマーケティングですね。自社で広告を出して、プロダクトに来ていただいて、そこから買うという形になります。最初のお客様は、マーケティングを開始して1週間ぐらいで査定の申し込みをいただきました
そこから価格を提示していくという形になるんですが、初めて売りたいという申し込みが来た時はすごく感動的でした。一番最初に投資したベンチャーキャピタルの方には、こういうプロダクトがあって、こういう広告を使えばこういう人が来て…と、数字で一定示してるんですね。ただ、お客さんが来るまでは、いつまで経っても仮説なんです。でも一人のお客さんが来ると(仮説が現実になるので)0と1はかなり大きいなと思って。
さらに、この目の前の方が日本全国の1億人を超える中のたった一人とは思えなくて。ここに一人いるんだから、日本中には何十何百何万と、僕らを求めている人がいるはずだと思えたんです。

ちなみに(最初に家をご購入いただいた)その方とはいまでも付き合いがありまして、たまにお食事を共にさせていただいたりしています。売却してその後住み換えられたんですが、その住み換えた後のお家にもご招待いただいて、ご家族と一緒にお話しさせていただいたり。僕からしても、本当に最初のお客様だったので、感慨深いものがあります。

すむたす編_2/3へ続く


◎Podcast最新話はこちら🎧✨

MICでは投資先企業を紹介する公式Podcast番組「起業家のキモチ~シーズン4~」を毎週火曜日に更新中。すむたす角さんにご出演いただいた音源もSpotify、Apple Podcastなど各種プラットフォームからご視聴いただけます。こちらもぜひ、お聞きください♪


◎モバイルインターネットキャピタル株式会社概要

モバイル・インターネットキャピタル株式会社(以下MIC)は、1999年の創業時からデジタルテック領域において、リード投資を基本とし、シリーズAを中心とするオールステージにてスタートアップへ投資支援活動を行う独立系のベンチャーキャピタルです。投資先のスタートアップへの支援の一環として、事業会社との事業連携等オープンイノベーションにも注力中。

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