なぜあなたの食事指導には価値がないのか?
皆さんは、”分子栄養学”という言葉を聞いたことありますか?
最近書籍も増えてきており、今かなり注目が集まっております。
我々は、この分子栄養学をベースの学問として日々健康を考えており、HQCチェックはこの分子栄養学のデータベースで構築されています。
今回は、時代と共に変わっていく栄養学の考え方について書いてみたいと思います。
カロリー栄養学の時代は終わった
今、世の中で未だ一般的といえるのは”カロリー栄養学”です。
実際、管理栄養士の教育カリキュラムもカロリー栄養学がベースになっています。このカロリー栄養学と分子栄養学は一体何が違うのでしょうか?
それを理解するには、カロリー栄養学が作られた時代背景から理解することが必要です。
カロリー栄養学が提唱されたのは、戦後の時代になります。
この時代は食べるものが少なく、誰もが常にお腹が空いているような状態でした。当時は、ほとんどの人がエネルギー不足の状態であり、まずはエネルギー(カロリー)を充足させることが最重要課題であったのです。
この点では、日本人のほとんどは経済成長と共にこの課題をクリアにしたといえると思います。
そして飽食の時代になった現在、カロリー不足の方はどれくらいいるでしょうか?カロリー不足どころか、むしろカロリー過多で悩んでいるのです。
時代と共に必要な栄養学が完全に変わっていると言わざるを得ないのです。
つまり、まず一つの定義として
カロリー栄養学は、飢餓の栄養学といえるのです。
カロリーってそもそも何?
この質問に正確に答えられる人がどれだけいるでしょうか?
これを理解しないことには、カロリー栄養学の違和感に深いレベルで気づくことはできません。
カロリーそれはエネルギー量です。
いえ、もっと正確にいいます。
カロリーは、ATP(アデノシン三リン酸)という物質の生成理論値です。
人はエネルギーをATPという物質を分解することで手に入れます。
つまりATPはエネルギーの原料と言えるのです。
では、このATPは細胞のどこで作られるのでしょうか?
それは、ミトコンドリアの中です。
もしかすると生物の授業で習ったのを覚えているかもしれません。
この3つの経路(解糖系、クエン酸回路、電子伝達系)で作られるのです。
参照:大塚製薬HPより
懐かしいですよね。
確かに勉強した記憶はあるが、内容はほとんど忘れている方が多いのではないかと思います。しかし、ここにカロリーの秘密が隠されているのです。
ATPは3大栄養素(タンパク質、糖質、脂質)を原料として合成していきます。そして、それぞれ複雑な経路を通ってATPが生成されていきます。
ただし、ここには大前提となる隠れた条件があるのです。
それは、反応の過程でビタミン・ミネラルが十分に充足されていることです。
車で例えるとわかりやすいかもしれません。
ガソリンをどれだけ満タンにしていても、車の燃費性能によってどれだけ走るかは全く変わりますよね。ドデカいアメ車なのか、プリウスなのかで同じガソリン量でも走行距離が全く違います。
つまり、カロリーとは1リットルあたりで走れる最高走行距離の理論値であり、そこには燃費性能は考慮されていないのです。
そして、この燃費に関わるのがビタミンB群であり、マグネシウムや鉄などのミネラルなのです。だからビタミンB群が不足していると疲れやすくなると言われているわけです。
ここで改めて考えてみましょう。
カロリーにこだわる意味ってなんでしょうか?
画一的な栄養学では人を救えない
そんなカロリー栄養学で最も有名な考え方が、PFCバランスというものです。
PFCバランスとは、摂取カロリーのうち三大栄養素の「P=たんぱく質」「F=脂質(脂肪)」「C=炭水化物」がどれくらいの割合を占めるかを示した比率のこと。
たんぱく質:13~20%
脂質:20~30%(飽和脂肪酸は7%以下とする)
炭水化物:50~65%
管理栄養士が今も口酸っぱく言い続けている考え方です。PFCバランスに全く意味はないということではありませんが、これにこだわり続ける意味はあまりないといえるでしょう。
ガソリンの種類(ハイオクやレギュラー、軽油)も大切だけど、そもそもの燃費性能をもっと考えようよということです。
そして、なによりここには個人差という考え方がほぼ考慮されていません。
個別化を前提とした栄養学
ところで、1日に必要なカロリーの計算法をご存知でしょうか?
カロリー必要量 = 基礎代謝量 × 身体活動レベル
ここで重要なことは、この計算式は驚くべきことに年齢・性別・3段階の身体活動レベルの3つの要素でしか構成されていないのです。
これほど生活習慣が多様化しているのにかかわらずです。
笑ってしまうような計算方法ですが、これを大真面目にやっているのがカロリー栄養学の現実なのです。
では、これからはどのように考えていかないといけないのでしょうか?
キーワードは個別化です。
あなたの普段、朝の満員電車に乗って通勤していますか?
ご自宅でテレワークですか?朝は何時に起きて、何時に寝ますか?
どこにお住まいで、どんなストレスを感じていますか?
実は、これら生活習慣の違いによってあなたの消耗されるビタミン・ミネラルは全く異なります。これは画一的に考えるカロリー栄養学では考慮されていないポイントです。
このことから3大栄養素のカロリーバランスだけでは、個別的な改善指導は限りなく難しいことがわかると思います。そして、個別的なアプローチをしていくには各ビタミン・ミネラルの細かい生理作用の理解、そして栄養というものを全体で見ることができる思考が必要なことがわかります。
そう、その考え方こそが ”分子栄養学”の根っこにある考え方なのです。
これからの時代に求められる価値観、それは
”あなたに” 必要な健康改善です。
我々のカラダとココロのメカニズムを知ること
大学院を卒業してからまず感じた違和感。
いわゆる健康や美容のプロと呼ばれる人の多くが、細胞レベルでカラダとココロの仕組みを語れないということです。
細胞の仕組みを知らずして、どうやって人を健康にできるのか?
設計図を知らずして、家づくりができますか?
大前提となるベースの知識がないのに、小手先のテクニックで健康や美容を語っていませんか?そういった、点の知識ではこれからの時代は通用しません。点を線にし、さらに立体的に物事を考えることのできる俯瞰的な思考や見方なしに健康の本質は見えてこないのです。
なぜなら、人を健康にすることは簡単でないからです。
多種多様な生活習慣は食事、運動、睡眠、ストレス、マインドなどの多くの領域が複雑に絡み合って作られており、その全体を考慮しなくてはいけません。
結果には必ず原因があります。
それを様々な可能性から考察し、的確に気付きを与えること。
それがプロの仕事です。
あなたはプロの仕事ができていますか?
管理栄養士が、栄養のことだけを語れればいいという時代は終わりました。
エステティシャンが、体の外側しかアプローチしないことに価値はありません。カラダとココロは内側で作られるからです。
我々は、この健康づくり、美容づくりに関わるすべてのプロと呼ばれる方々のアップデートを支援しています。それはその先にいるお客様に真の意味での健康づくりを伝えていきたいからです。
もしご興味があれば、我々が週に2回開催している勉強会に参加してみてください。その奥深さを体感できると思います。
病気になる前に健康の価値を伝えたい
我々が常に考えている理念はここにあります。
目の前の当たり前は、当たり前でなく、当たり前になくなっていく。
いかにそれを説得力を持って伝えていけるのか。
健康づくりを支援する我々ができることは何なのか。
共に手を取り合いながら一緒に考えていきましょう。
我々は、”チーム未病”です。
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