それでもやっぱり、点と点はつながると信じたい


私は自分の人生に対してあまり肯定的にはなれないし、全てを投げ出して行きたくなってしまうことが多い。

しかし過去の経験から、意思さえあれば点と点はきちんとつなげられるのでは…?という仮説のような希望のようなものがずっと頭の中にあり、どんなにスピードが遅くても歩き続けるようにしている。(あまりの遅さに絶望することの方が多いけれど。)



私は中学卒業後、高専という少々特殊な学校へ進学をし、卒業後は大学に三年次編入をした。そして卒業後は新卒でSEの仕事についた。

高専でも大学でも情報系の分野を専攻し、一社目では2年半ほど勤めていたので、10年近くはITというものが常に近くにあったということになる。この経歴だけ見れば、大学編入までして、よっぽどITが好きなやつなんだな…という印象を持たれると思うが、まったくそうではない。


中学時代は、とにかく量を担保して勉強すれば、ある程度までは内容が理解でき、ものすごく困ることは基本的にはなかったが、高専では違った。実技(プログラミングなど)が驚くほどできなかった。テキストとどんなににらめっこしても、頭に入ってこない。


一方で、高専というところには、講義中はとんでもなく暇そうなのに、とにかくものづくりに没頭する人々がいる。彼らにとってのそれは学ぶものではなく、好きだから当たり前にやることのようだった。(高専生の名誉のために言うと、勉強も実技も両方ちゃんとやる人もたくさんいる。)


出された課題を異常なクオリティで仕上げて、先生を興奮させるやつ
休み時間に研究室の扉を開けたら、なぜか上裸でハイテンションでプログラミングをしているやつ(なんで?)
どのエディタが最も優秀なのか宗教戦争するやつら
もはや何喋ってるかよく分からないやつら…


これから大事になりそうなITを学んでおこう!というマインドだけで高専を選んだ私は、これは完全に来るところ間違えたのでは…?と5年間(高専は5年制)ずっと思いながら過ごしてきた。



とはいえ、きっと勉強と同じで頑張れば理解できるようになるはず、と思い、粛々と勉強を続けた。

結局5年間続けてもよく分からず、もっと頑張って続ければ、分かって楽しくなるはず、と思い、大学進学を決めた。

大学では高専時代は触れられなかった専攻外の教養にも触れらて、とても楽しかったけれど、相変わらずプログラミングに対する苦手意識は強かった。

就職活動の時は、仕事としてなら頑張れるかもしれない!と思い、SEとして電機メーカーに入社することを決めた。

しかし、2年目の後半くらいから、いちメンバーとしてタスクが振り分けられるようになり、私やっと一人前なれたんだ…もう十分やったんじゃないか…?とプツっとモチベーションが切れ、異業種へ転職をした。


もっと早くエンジニアの道を諦めればよかったのだろうけど、『好き』なことに魅了される彼らとの出会いが衝撃的で、あまりにも羨ましくて、どうしてもそっち側に行ってみたいという気持ちが強かったのだと思う。

同じ時間を生きてきたのに、彼らに『好き』が見つけられて、私には見つけられないのはなんでなの?とムキになっていたところもある。

今思えば、私にとってのそれがITではなかったというだけの話なんだけれど、当時は苦手だからという理由で、投げ出すことは悪だと思っていた。ここで投げ出したら今後も投げ出すんじゃないか?続けていくうちに好きになるものなのでは?と。

今取り組んでいることが不向きだから投げ出してしまうだけなのか、それとも私という人間はすぐに何かを投げ出してしまうのか。どこまで頑張ればやりきったと言って良いのか、この線引きがいまだによく分からない。


ただ、今となっては、この10年間が無駄だったともどうしても思えない。

実はこの一連のストーリーを話し、「君はセンスがなくても、成長が遅くても、決してサボらないんだね。この仕事が向いているかどうかは正直分からないけど(笑)、人として信じられるよ。」と未経験の私に内定をくれたのが今の会社なのだ。



「どこまで頑張ればやりきったと言って良いのか」という話は、結局のところ、他の人にどう思われるのか、という話でしかない。


10年続けたことに対して、よくやったね!という人もいれば、もっと他の方法で頑張ってみたらどうにかなったんじゃない?という人もいる。

他人の思うことはどうしたってコントロールできないのだから、自分自身の「やり切った感」だけを信じて、道を選択していくしかないんだな、と今は思っている。

よくキャリアの話で、点と点がつながる瞬間があるというけれど、自分で判断をして、無理やりにでも点と点を繋げてしまえば、それでOKなんじゃないかと思っている。


自分で意思決定したのであれば、それはきっと、誰にジャッジされるものでもないのだと思う。





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