フリッツ・ヴァルター・メダル(ドイツ最優秀若手サッカー選手賞) を紹介! FOKUSBundesliga!!! #16
前書き
皆さんはフリッツ・ヴァルター・メダルをご存じですか?本テキストでは「フリッツ・ヴァルター・メダルとは何か?」について紹介するとともに、ドイツ最高のレジェンドの1人であるフリッツ・ヴァルター選手の経歴を振り返ります。
フリッツ・ヴァルター・メダルって何?
フリッツ・ヴァルター・メダルは、ドイツのユース代表もしくはその世代で優れた活躍を披露した男女それぞれの若手選手に、毎年DFB(ドイツサッカー協会)から授与される賞です。フリッツ・ヴァルター財団協力のもと、2005年以来毎年、優秀な若手選手に金、銀、銅のメダルが贈られます。
各賞の受賞者の決定は、DFB幹部、DFBユース委員会、DFBコーチングスタッフの代表者で構成される審査員によって行われ、栄誉ある選手の育成を担当したクラブには、金賞に2万ユーロ、銀賞に1.5万ユーロ、銅賞に1万ユーロが贈られます。
2014年まではU19、U18、U17各世代の男子選手に賞が贈られましたが、2015年以降はU19、U17世代の男子選手が選考対象となりました。反対に2020年まで世代を統一した賞のみだった女子選手へは、2021年以降、男子と同じくU19、U17世代の選手へと賞が贈られるようになりました。
ユーロ2024に出場したドイツ代表選手26人のうち、11人がフリッツ・ヴァルター・メダルの受賞者です。ただあくまで19歳以下の活躍を評価する賞であるため、現代表で選ばれた経験のない選手がいたり、金賞を受賞してもドイツ以外の代表選手になる場合があります。
受賞者の主な在籍クラブ
1.FCケルン
主な受賞者:
2010年U17金賞 ティモ・ホルン
2013年U19銀賞 ヤニック・ゲアハルト
2017年U19金賞 サリフ・エズジャン
2020年U19金賞 ノア・カッターバッハ
2022年U19金賞 フローリアン・ヴィルツ
FCケルンは優秀な若手選手を輩出する代表的なドイツのクラブです。輩出した選手の筆頭がフローリアン・ヴィルツ。彼は2010年から2020年にかけてケルンユースでプレーしました。受賞者以外にもティム・レンペーレやヤン・ティールマンなどが優秀なユース出身選手として知られます。
バイエル・レヴァークーゼン
主な受賞者:
2008年U19銅賞 マルセル・リッセ
2016年U19金賞 ベンヤミン・ヘンリクス
2018年U19金賞 カイ・ハフェルツ
レヴァークーゼンも優秀な若手選手を輩出することで知られます。ハフェルツはクラブが輩出したタレントの筆頭です。またスカウティングにも優れており、ユリアン・ブラント、ヨナタン・ター、フローリアン・ヴィルツなど他クラブのユースから獲得した選手も受賞者として知られます。
ヘルタ・ベルリン
主な受賞者:
2006年U19金賞 ケビン=プリンス・ボアテング
2007年U19銅賞 ジェローム・ボアテング
2016年U19銅賞 M・ミッテルシュテット
2022年U19銀賞 ルカ・ネッツ
ドイツ首都に位置するクラブも優秀な若手選手を輩出することで知られます。セリエAで優勝したケビン=プリンスと2014年のワールドカップ優勝メンバーであるジェロームのボアテング兄弟は代表的な選手です。現ドイツ代表のロベルト・アンドリッヒもヘルタユース出身の名選手です。
フリッツ・ヴァルター
Friedrich “Fritz” Walter
生年月日:1920年10月31日
出身:カイザースラウテルン, ドイツ
身長:175cm
ドイツ/西ドイツ代表:61試合33得点
経歴:1938-1959 1.FCカイザースラウテルン
フリッツ・ヴァルターの経歴
フリードリヒ・“フリッツ”・ヴァルターはドイツ代表初の名誉キャプテンに選ばれた、同国を代表する名選手です。またFCカイザースラウテルンのレジェンドであり、1985年以来、同クラブのスタジアムには彼の名前が冠されています。
フリードリヒは父ルートヴィヒと母ドロテアの5人の子の長男として生を受けました。兄弟のルートヴィヒとオットマールもサッカー選手であり、ともにFCカイザースラウテルンで活躍しました。
ユースでのプレーを経て、1938/39シーズンからFCカイザースラウテルンのトップチームの中心となったフリードリヒは、1940年に徴兵され、戦争が終結する1945年まで従軍しました。ただ従軍中も空軍のサッカーチーム「ローテ・イェーガー」や「休暇」と称してFCカイザースラウテルンでプレーしました。
5ヶ月間、ソ連軍の捕虜となったのち、1945年10月に自由の身となったフリードリヒは、選手兼コーチとしてFCカイザースラウテルンの再建に尽力します。
1947年、1948年、1949年、1950年、1951年とクラブはオーバーリーガ・ズートウェストで王者となり、1951年には史上初のドイツ選手権優勝を果たしました。1953年に再びFCカイザースラウテルンがドイツ王者となったことで、クラブのキャプテンであったフリードリヒの評価も高まりました。
1954年ワールドカップ
彼の名声が高まるなかで迎えたのが、1954年のスイス・ワールドカップ。名将ゼップ・ヘルベルガーに率いられた西ドイツ代表は34歳の主将フリードリヒ、弟オットマールなどFCカイザースラウテルンの選手を筆頭に、ケルン最高のレジェンドであるハンス・シェーファー、エッセン出身の点取り屋ヘルムート・ラーンを擁し、充実した陣容を誇りました。
西ドイツ代表はグループリーグを2位で突破すると、準々決勝ではユーゴスラヴィア代表、準決勝ではオーストリア代表に勝利します。
決勝の相手は当時世界最高のチームと目されたハンガリー代表。数々の名手擁し、「マジック・マジャール」と称されたチームに開始6分と8分に得点を許した西ドイツ代表は、前半で追いつき、84分、ヘルムート・ラーンが決勝ゴールを挙げたことでベルンで行われた一戦を制しました。
世界王者となったフリードリヒは、その後も1959年の引退までカイザースラウテルンでプレーしました。2002年6月17日、フリッツ・ヴァルターは息を引き取りました。
後書き
以上、ドイツの年間最優秀若手選手に贈られる「フリッツ・ヴァルター・メダル」を紹介しました。他の記事もぜひ読んでみてください。
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