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夏の想い出/席を譲れる人でありたい/愛犬とベビーカー

夏休み。

いつまで経っても良い響き。
こんなに何日も休みがあっても使いきれないよって休みが始まる前には少し不安になるけど、なんの心配もいらない。
終わってみると、ああ、もう休みがないと残念に思う。

とは言っても、別にやり残したことがあるわけではない。むしろ、明日も休みだったとしてぐうたら朝寝坊をして昼からビールを飲むような、そんな堕落した日々がもう少し続くだけで、とりたててやりたいことなどは無い。
にもかかわらず、やっぱりいいものだ、夏休み。
明日を気にせず夜更かしができるのも休みの日の特権。

大人になってから海が嫌いじゃなくなった。今でも自分が入るのは好きではないが、波打ち際ではしゃぐ愛犬を見るのは好き。一緒になら砂浜も走りまわれる。

夏休み、久しぶりに旧友達と会った。

会話のテンポが心地よくてびっくりした。変に気を遣うことなく、ナチュラルに質問がしあえるのっていいな。
例えば、子供は?って年齢的、無駄に気を遣ってしまう質問だったりもする。選択的に産まない私はきっと、産みたくても産めない人の気持ちを100%は理解できないだろうし。
だけど、よくよく考えれば(いや、逆に考えなければ?)普通に疑問というか会話の流れとして出てきて当然だったりするし、子供がほしいも産みたくないもそれぞれ、どれもがあって良い選択肢なんだから、別にいいじゃないかって。
挨拶かわりに恋人できた?ってのがセクハラとも言われるけど、要は恋人がいるべきだっていう価値観の押し付けが悪いだけで別に会話に出す事自体が悪というわけではない。
そうだよな、こうやって自然に疑問に感じたことを伝えあえる関係が一番だよなって。

***

全然、夏とは関係ないのだけど、街に人が戻ってきて混み合う電車が増えてきた。いつでも座れる時期もあったけど、今では時間帯にもよるけど座れないことの方が多い。
でも、この暑さ。いつも通りの業務だろうが疲れが溜まりやすい。帰りの電車は極力座りたい。眠たいし、足も疲れているし。当然の希望ではあるとは思うが、いつも悩む。普通に空いているのであれば何も悩まないのだけど、おばあちゃんと呼べるくらいの方が後から乗ってきたり、妊娠している方が立っていたりすると、私はこのままここにいていいのだろうか、と。

別に、おばあちゃんも妊婦さんもすこぶる健康そうで、立っていることに不満さを感じている雰囲気はなく、なんなら談笑したりしていて。
そりゃ、青白い顔で今にも倒れそうな人が目に入れば、目の前で倒れられても困るので、私もそうだが誰だって席を譲ろうとするだろうが、そうではないのだ。そうではないからこそ悩みどころ。

しかもそういう時に限って、眠さや疲れのピークもあってどうしても座りたくて、始発電車に乗れるように何本か電車を見送った後だったりする。
自分がした選択とはいえ、この待ち時間だって大切な自分の時間なのだ。自分の時間を削って得た座るという特権をわざわざ人に譲るべきなのか、否か。
譲らなかったとして誰から文句を言われるでもないのだけど。だけど、少し心の奥がチクッとする。
あまり心地はよくない。

ああ、疲れなんて気にせずすっと席を立てる人でありたいなあ。

***

アスファルトが暑くなる季節。
愛犬の散歩は極力、日が落ちきった夜にしているが、どうしてもワクチンとかトリミングとかで日中におでかけをしないといけないことがある。冬であれば何も気にせず連れていくのだが、夏は歩かせられない。というか、歩かない。
まあ、暑いもんね。もう灼熱だもんね。
で、登場するのが犬用カート。ベビーカーみたいにわんこを載せてコロコロ押していくやつ。

この後ろ姿も好き

これがまた便利。夏は歩かないモンスターになる我が愛犬にとってはかなり便利だし、わんこもカートに乗るのが大好きだ。そうなんだけど、コロコロとカートを押しながら街を歩くと気づくことがある。
段差ってこんなに多いんだって。

それはマンション内でも同じ。部屋からエントランスに向かうまで普段なら全然なんてことない段差に車輪がぶつかる。
ああ、街をベビーカーや車椅子と共に歩く方の苦労がわかる。普段は全く気づかないのに。

そういうもんなんだよねって思った。結局は当事者にならないと気づけ無いことってたくさんある。”当事者目線”とか”人の気持ちになって”とか”相手の立場になって”なんてよく聞く言葉だけど、本当の意味ではなかなか理解できないよねって。
そもそも気づけ無いもんねって。人の悩みや苦労に寄り添うって本当に大変なことなんだな。

きっとこれからも自分に関係のないことには鈍感であり続けるだろうけど、でも心のどこかに覚えておきたい。ベビーカーにとっての段差のようなことが世の中には溢れているんだってことを。


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