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ボルシチのはなし。

えー、いきなりですが

昨日夜作ったボルシチが、一晩立つと味が染みていい感じになっていました。

おいおいいきなりなんだよボルシチってと思われた方、私は別に料理上手風な風を吹かせたい訳ではなく、ただ私がボルシチ好きなことを皆に知って欲しいだけ。そしてわたしがボルシチ上手な事を皆に認めてほしいだけ(←溢れ出る承認欲求) 

あっ、失礼いたしました。そんな冗談はさておき、ボルシチの話です。

何故でしょう。ガツンとくる大きな理由がこれと言って見当たりませんが
私はなぜかボルシチが好き。好きで好きでたまりません。

ウクライナ料理ってなあにと聞かれたらボルシチ以外何も思い浮かばないというぐらいしゃわっしゃわの浅い知識しかなく、(ピロシキももしやそうかと思って調べたらピロシキはロシア料理だった、それぐらい浅い知恵。)ロシアやウクライナに行った事もなければ、人生で本格的なウクライナ料理を食べた事といえば思いつく限りたった2回。

アメリカに来てまだ間も無い時に、初めて訪れたニューヨークで初めて食べたボルシチ。これが1回目。次がロサンゼルスで、Uberに乗っていた時に、何かのきっかけでウクライナ料理の話になって、運転手のお兄さんが「ここ美味しいよ、今度行ってごらん」と教えくれたウクライナ料理屋さんに行ってみた時に食べたボルシチ。これが2回目。

NYに行ったのは、その当時ロサンゼルスでルームメイトだったダンサーの女の子が、ダンスレッスンでNYに3ヶ月ほど住む事になったので、折角だからとその間を狙って4日間ぐらい遊びに行ったのが理由。

NYでボルシチを食べた時の事は、細かいディテールは全部すっ飛ばして(おぉい)とにかくボルシチを食べて美味しい と思った、という事実だけを覚えています。お店はどんなだったか。よーく思い返すと白い壁のデリみたいなカフェみたいなお店だった気がするな。。。

私がボルシチが大好きな理由の一つとして考えられるのが、その醸し出される『異国の料理感』。(食にも冒険を求めてしまうニクい性質)目にも色鮮やかなビーツの赤色と、雪のような白さのサワークリームのコントラスト、そしてその少し上にちょこんと乗ったディル(もしくはパセリ)。なんですかこの見目可愛い見目可愛いこの食べ物は。(すみません私も一応女子のはしくれなんです)

一国の伝統料理、世界3大スープの一つが『見目可愛い』で片付けられてはウクライナの人からしたら傍若無人の限り、怒髪天をつく侮辱以外の何者でもなしこれ遺憾とするところでありましょうが、(ウクライナとビーツへの愛を持ってこれを書いています)なんでしょうこのボルシチの見た目の「ほっとする」感。食べ物、しかもスープで赤紫色。こんな色のスープ、不思議の国のアリス以外で見たことがない。

そしてボルシチのその優しい味たるや。根菜のスープ独特の、あの体の芯からぽかぽかとあったまる感じ。家庭料理の温もり。じんわりと心があったかくなるじゃあありませんか。

あーすみません、先程ガツンとくる大きな理由がこれと言って見当たらないと野賜っておりましたが、これでもかというぐらい大きな理由があっさり見つかりました、二つ。見た目と味、これでキマリ

とにかく、私の記憶が確かならば、おそらくNY訪問がきっかけで私はボルシチが好きになったのだと思われます。初めて訪れたニューヨークはカッコよくて、クールで、何もかもが新鮮で当時の私には全てがキラキラして見えた。初めて食べた異国情緒溢れるボルシチは、きっとそんな新鮮なニューヨークの景色と相まって、Wパンチで私の心をとりこにしたのでしょう。(なぜ8月のあっついニューヨークで私がボルシチを食べていたのか理由は未だに謎。)

そうして私はいつからかレシピをインターネットで調べ、マーケットでビーツやお肉やらの材料を買い込み、ボルシチをコトコトと家で作るようになったのであります。

気の毒なのは仲間達で、当時、仲間内で特に理由という理由もなく、ただ「集まりたいから」という単純明快な一言だけでホームパーティーだの飲み会だのがやたらと毎日のように行われていたのですが。(ホームパーティーとか、懐かしいですね.....なんか。)

各自だいたい食べ物やら飲み物やらを適当に持ち寄ってくるのですが、その当時ボルシチ作りにすっかり熱を上げていた私は、コトコトとボルシチを炊いた鍋ごと持って、いそいそとパーティーに参上つかまつっておりました。赤紫色のスープを鍋ごと持ってパーティーに来るアジア人の女。今考えると何故ボルシチだったのか。アメリカ人のパーティーでインド人が日本の石狩鍋を持って参上(個人的には全然ありだと思う。)するぐらいもしかしたら謎でインパクト大な行為であったのかも知れないが、でも心優しい彼、彼女らは怪訝な顔一つすることなく、いつも美味しい美味しいとボルシチを食べてくれておりました。皆元気でいるかしら。これが終わったらまた会いたものです。

ところで2回目にボルシチをお店で食べた時はどうだったの、と言われると、実はこれもちょっと記憶に怪しいものがありまして。というのも、レストランに入って、雰囲気のいいパティオに座り、オーダーして、お店の人が料理を運んできてくれたのは覚えているんだけれど、ちょうどその時にお店でトランプさんが第45代目の大統領に選ばれたニュースが流れまして、お店の全てが一瞬全部止まってしまったのです。皆がテレビのモニターに釘付けで、しばらく、誰も何も言わなかった。その時のモニターの映像とお店の雰囲気のインパクトが強すぎて、料理がどんな味だったか全部すっ飛んでしまいました。美味しかったと思う、とちょっと弱気にしか言えないのが残念です。

と何だか回り回って長い話になってしまいましたが、ボルシチと私の関係性はこんな感じです。あのレストランから、もう4年が経つのか......。世の中がまた動き出したら、今度はちゃんと料理を味わいにあのお店に行ってみよう、とか考えていたら、また世界が動き出すのが楽しみになってきました。いつかウクライナで本場のボルシチも食べてみたいな、なんて事にも思いを馳せながら。 


さて、皆さんのお気に入りの一品は何でしょう?






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