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服装史Ⅷ

ロココ期❶

ルイ15世 1715-74年

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男性の正装として、ベルサイユ宮殿でジェスコトル(上着)、ベスト、キュロット、クラヴァットが衣装一式とされました。これをアビ・ア・ラ・フランセーズ:habit a la francaise(フランス式アビ)と呼び、ヨーロッパ中の宮廷に広まっていきました。

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男性のかつらはこの時代も続き、サイズは小さくなったものの、白髪にするため小麦粉に香料を加えた髪粉を振りかけるスタイルが流行しました。また。後ろ髪に黒い袋に入れたバッグ・ウィグ:bag wigが貴族の間で広まりました。

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女性のローブは、サロン社交で着られた部屋着が元となったサック:sacque,sackという衣装が広まっていきました。サックとは前開きのローブとペティコートからなる衣服で、背中にはプリーツがたたまれ、ゆったりと裾に向かって生地が流れているのが特徴的です。ウエストが解放されておりルーズなデザインで、画家ヴァトーの作品に多く登場することから、ヴァトー・ガウン:Watteau gownとも呼ばれています。

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この肖像画はルイ15世の愛妾のポンパドール夫人です。彼女が着ていたサックは胸部の部分にストマッカー:stomacher(ピエース・デストマ:piece d'estomac(仏語))と呼ばれる三角形の胸当てをし、袖口には繊細なレースを重ねたアンガジャント:engageantsが飾り付けられています。このサックはルーズすぎないことから、宮廷衣装としてヨーロッパ各地の宮廷で正装として広まりました。この一式を、ローブ・ア・ラフランセーズ:robe a la francaise(フランス式ローブ)と呼びます。

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新たな正装(フランス式ローブ)は、両サイドに広がりを加えたデザインに変化していきました。スカートの両サイドにボリュームを足すため、パニエ:pamiersが用いられました。また、胴には鯨骨から作られたコルセット:corsetを着用することでデコルテ(胸の上部)を強調する役目がはたされました。

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