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今日は5/18の映画鑑賞記「ミッドナイト・スカイ」

・ゴキブリが出た時の感情を、戦慄と呼ぶ。どうも美星(めいしん)です。

・ミッドナイト・スカイというネトフリ配信の映画を見ました。人類が地球から脱出する中で、北極圏の天文台に残ることを選んだ老人と、不慮で取り残されてしまった喋ることのできない女の子のお話です。

・いわゆるポストアポカリプスものですね。

・ポストアポカリプスの世界観は、よくディストピアやユートピアの世界観と並べ立てられるものですが、私にはここに大きな隔絶を感じます。

・ポストアポカリプスは、私たちの人生の「継続」という感覚があり、私たちが持っている信念や信条、倫理や道徳がそのまま続いている中で、環境が激変したらなにが起こるのか、というのを描いている。

・ディストピアやユートピアは一方で「断絶」です。私たちから乖離した価値観で世界が見られ、紹介されるという側面が大きく、ディストピアものやユートピアものは作品として基本的には「世界観の説明」に終始することが多い気がします。

・有名なディストピア作品は、大抵手に取って100ページほど読んで止めてしまいます。あまりに空想すぎて実感が湧かず、管理社会や楽園に対する忌避感や全能感みたいなところに共感が一切湧かないからです。

・なんというか、アリの巣観察キットを眺めている気分になりますね。私はああいう作品を見て、「これは現代の○○主義に対する批判かもしれない」みたいな感想が言える人を、すごいな、と感心して見ています。

・その点で言うと「継続」あるいは「連続」という観点から見られるポストアポカリプスに対する感性は特殊ですね。

・なんというか、現実の延長線上として捉えられるわけです。

・プレイステーションゲームの「ラストオブアス」なんかもそうですが、ゾンビものという現実にはほぼ起こり得なさそうな突飛のない設定であっても、現実の拡張を感じます。

・私たちがここに放り込まれたらどうなるだろうね? という問いを発し続けるものであり、要点要点に差し込まれる事件に、「その時点での合理的決断」というものが溢れている。

・そう、合理的決断。合理性。合理とは。

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