【いまさら聞けない】GAFAとBATHの戦略解説
今回は、GAFAとBATHそれぞれの企業戦略について解説していきます。
GAFA・BATHって何?
「GAFAとBATHって最近よく聞くようになったけど、結局何のこと?」「意味は分かるけど、それぞれどんなことをしてるの?」という、いまさら人に聞けない疑問を持たれている方もいるかもしれません。
まずは、どんな企業が属しているのかを見ていきましょう。
〇GAFA
GAFAとは、アメリカを代表するIT企業
・Google
・Apple
・Facebook
・Amazon
の頭文字をとったものです。読み方は「ガーファ」
皆さんおなじみの企業が勢ぞろいしていますね。
〇BATH
こちらは意外と知らない方もいるかもしれませんね。
中国を代表する有名なIT企業である
・Baidu(百度、バイドゥ)
・Alibaba(阿里巴巴、アリババ)
・Tencent(騰訊、テンセント)
・Huawei(華為、ファーウェイ)
の頭文字をとったものです。読み方は「バース」。
なにかと比較されることが多い両者。
ここから、それぞれの企業戦略について解説していきます。
GAFAとBATHの戦略解説
GAFA編
グーグルは、1998年に設立した企業。皆さんおなじみの検索エンジンである「google」は日本はもちろん、世界でも多くの人が利用います。
Googleドライブ、Gmail、You Tube、Androidなど・・・数多くのサービスを展開しており、収入源はさぞ多彩なのだろう。と思われがちですが
実はGoogleの収入源の約8割は広告収入なのです
「Googleは広告会社」といっても過言ではないでしょう。
Googleのほとんどのサービスは無料で使えるため、このようなビジネスモデルになるのは必然とも言えますね。
今後の展望として、
Androidを自動運転のOSとして活用することが期待されています。
▼Apple
Appleは、スティーブ・ジョブズが設立した企業。「iPod」を始め、「iPhone」「iPad」「Mac」といったハードウェアはもちろん
「macOS」や「iOS」といったソフトウェア開発も手がけています。
Appleの特徴はなんといっても利益率の高さです
Appleは製造業にしては非常に高い利益率を誇りますが、それは
垂直統合型のビジネスモデルでコストカットを実現していることが理由です
※垂直統合とは
開発、生産、販売、サービス提供などの異なる業務を単一の企業がすべて担うビジネスモデルのことをを指す。
(仲介業者が介在しないため、手数料などのコストを削減できる)
現在のAppleの売上の半分以上が携帯端末事業であり、
今後もハードウェア事業での収益がメインになってくるでしょう
これからは、ApplewatchやiPhoneがヘルスケア市場に参入してくるのではないかと予想できます
▼Facebook
Facebookは2004年に創業された企業で、世界最大級のSNSである「Facebook」や2012年に買収した写真投稿SNSである「Instagram」など、国内外で人気のサービスを提供しています。
「Facebook」「Instagram」「Messenger」などを運営しているFacebookは
世界のSNS市場ではほとんど一人勝ち状態です
Facebookの収益の約98%が広告収益であり、Googleとよく似ています
しかし、Facebookは年齢、性別、学歴などの詳細なプロフィール情報を持っています。
Googlよりも多彩で詳細な個人情報を保有しているため、広告でより細かいターゲティングができることが強みです
今後は、広告以外の収入源の確保のため、リブラに注力し、世界的な金融サービスの提供を目指すのではないかと予想されます。
※リブラ(Libra)とは
2019年6月にFacebookが発表したことで話題を呼んだ仮想通貨
また、Facebookは過去に個人情報を流出させた過去があります。再び流出が起きた場合、ユーザーの離脱につながる恐れがあるため、情報セキュリティの強化が求められるでしょう
▼Amazon
Amazonは、1994年にジェフ・ベゾスが設立した企業。世界最大のECサイト「Amazon」、クラウドサービスの先駆けとなったAWS、映画や音楽のコンテンツ配信なども手掛けています。
Amazonの収益の半分はeコマースによるもので、残りはAWSやリアル店舗などによる収益で、多角化経営に成功している企業です。
「Amazon」ではコストリーダーシップ戦略を、その他の事業では差別化戦略を見事に両立させている珍しい企業であるといえます。
BATH編
▼Baidu(百度、バイドゥ)
バイドゥの本社は中国の首都北京にありますが、深センにも進出しています。
主なサービスは検索や地図プラットフォームなどと、Googleと似たようなサービス展開です。
日本でも検索サービスの事業が過去に進出していましたが、現在サービスは終了しています。
中国国内でのシェアが大きく、中国国内では、地図はGoogle MAPよりも百度地図の方がくわしく掲載されています。
バイドゥのビジネスモデルは基本的にGoogleと同じで広告収益がメインとなっています。
自動運転では世界最先端の技術力を持ち、これからの躍進が期待されます。
主なサービスの内容や、ビジネスモデルなどの共通点から中国版Googleとも呼ばれています。
▼Alibaba(阿里巴巴、アリババ)
アリババは、中国最大手のECサイトを経営する会社。
中国でよく使われる電子決済のひとつであるAlipay(アリペイ)やクラウドサービスなども展開しており、生活に密接するサービスを提供しています。
ソフトバンクとも関係を築いており、アリババの創業時には孫正義氏が約200万ドルの出資を行いました。現在では「PayPay」との提携も達成しています。
アリババの収益の8割以上はeコマースによるものです。
中国での電子決済の普及に大きく関わったアリババですが、電子決済が普及した理由は、元々、中国では銀行口座を持っていない人が多く存在していたことが理由です。
そのため、利便性の高い電子決済が日本やアメリカと比べて早く普及したのだと考えられます。
また、アリババはニューマニファクチャリング実現のための取り組みを進めています
「既製品」の大量生産から「一点物」の大量生産へと考えがシフトしており、1種類の物を1000個生産するよりも、1000種類を生産するという方向で生産活動を進めています。
※ニューマニュファクチャリングとは
データドリブンのテクノロジーを通じて、従来型の製造業者を変革し、リアルタイムの需要に基づき製造できる、より俊敏なモデルを指す。
これにより、利益拡大と在庫管理を図りながらパーソナライズされた消費者のニーズにも対応できるようになる。
▼Tencent(騰訊、テンセント)
テンセントはSNSのWeChat(ウィーチャット)や大電子決済のひとつであるWeChatPay(ウィーチャットペイ)を展開するIT企業です。
他にも、ゲーム事業も行っており、世界最大のゲーム・アプリ会社とも言われています。日本企業との関わりも深く、GREEやKDDI・バンダイナムコ・スクウェア・エニックス・LINEなどとも提携しています。
また、ハリウッドの映画製作にも進出するなど、ゲーム以外のエンターテインメント関連事業にも進出しています。
テンセントの収益の半分以上はWeChatやゲーム事業のデジタルコンテンツでの収益です。
今後は、AI技術を活用して医療分野へ参入するのではないかと見込まれます。
▼Huawei(華為、ファーウェイ)
ファーウェイは世界有数のICTソリューションプロバイダーです。通信事業者向けネットワーク事業や法人向けICTソリューション事業を行っており、現在は携帯端末事業で有名です。
ファーウェイのスマホを使っている方も多いのではないでしょうか。
ファーウェイの収益の半分はスマホやPC端末のハードウェア事業。半分は通信事業によるもので端末事業・通信事業ともに世界有数の実力を誇ります。
スマホの販売数はAppleに並んでいるものの、2020年にアメリカ政府による規制対象となったことによる影響は大きいと思われます。
その規制を受け、独自OSの「ハーモニーOS」が登場しました。
これにより、GoogleとAppleとの覇権争いが起こるのではないかと予想されます。
成長を続けるファーウェイですが、売上の10%以上を継続して研究開発に投資するといった先端技術への取り組みが成功の秘密です。
経営体制も独特で、CEO3人による「輪番制」を採用。半年間でCEOを入れ替えていくといったユニークな経営体制も話題になっています。
GAFA VS BATHの考察
現状、時価総額や利用ユーザーの比較をするとGAFAに軍配が上がります。
しかし、将来はどうなっているのかは分からないですよね。
将来、予想されているのはGAFAとBATHの情報格差ですね。
アメリカでは個人情報保護が進む一方、
中国ではそうような動きは今のところ無いです。
データ収集における規制が世界各国で次第に強まるのに対し、中国が現在のように、データの規制がない状況が続いた場合、将来的に両者の間で情報格差が生まれことが予想されます。
ユーザーの情報量がこれからの事業を左右することにつながるでしょう。
そうなると、BATHがGAFAを上回る日が来るかもしれません
データの規制がある中、GAFAがどのように事業を進めていくのか、
楽しみですね。
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