[カレリア民話]クマ、オオカミ、キツネの刈入れ(KONTIE, HUKKA TA REPO HUUHAN LEIKKUUŠŠA)
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[カレリア民話]クマ、オオカミ、キツネの刈入れ(KONTIE, HUKKA TA REPO HUUHAN LEIKKUUŠŠA)

Kieli

クマ、オオカミ、キツネの刈入れ

むかし、クマとオオカミとキツネには、一緒にライ麦の種をまいて育てている森の中の耕地がありました。彼らはライ麦を収穫すると、納屋に置きました。納屋の中でライ麦を乾燥させると、それを脱穀しはじめようとします。

オオカミとクマが脱穀しようとすると、キツネは(組木を)支えておくためにと、稲木にのぼりました。クマとオオカミが脱穀しはじめるとすぐに、キツネは稲木の組木を同時に2匹の頭の上に落としました。彼らは床の方から言いました。
―もっとしっかり支えておいておくれよ、同志キツネくん、頭に(麦束が)落ちてこないようにさ。
キツネは「支えようとしているんだけどさ、どうしても支えきれないんだよ」と答えると、わざと稲木の組木を彼らの頭に落としました。

彼らはライ麦を脱穀し終えると、ライ麦、もみ殻、ワラと、それぞれ別々の3つの山にしました。そうして、それぞれに収穫物を分配し始めました。
キツネは言いました。
―こうしようじゃないか、1番小さい者には1番小さい、1番大きい者には1番大きい、中ぐらいの者には中ぐらいの山を分けよう。

そのように分けられ、キツネは麦を、オオカミはもみ殻を、クマはワラを手に入れました。それから、それぞれ手に入れたものを挽くために製粉場所へと向かいました。

キツネが挽いていると、ひき臼はゴロゴロと鳴りましたが、ほかの者のときには擦れるようなカサカサという静かな音が聞こえるだけです。オオカミとクマは尋ねました。
―いったいどうして、同志キツネくん、君が挽くときはゴロゴロ鳴るのに、僕らのときにはカサカサとしか鳴らないんだい?
キツネは答えました。
―挽きはじめるときに、砂利を混ぜておいたんだよ、だから僕の時にはゴロゴロと鳴ったんだよ。
オオカミとクマが砂利をとって混ぜると、たしかに臼はゴロゴロと鳴りはじめました。

それぞれのものを挽き終わると、調理を(お粥を作り)はじめました。煮込んで、煮込んでいるところで、オオカミとクマが同志のキツネのところへやって来て、尋ねました。
―君のはそんなにも白くて、煮込むと膨らんできているのに、いったいどうして僕らのはこんなに黒くて、煮込んでも膨らまないんだい?
オオカミとクマは言いました。
―僕らに君のお粥を味見させておくれよ。
キツネは言いました。
―まず先に、僕に君たちのを味見させておくれよ。

キツネは(それぞれの鍋のところへ)行って、どちらの鍋からも(ひと匙お粥を)取ると、自分の鍋の端にのせました。キツネはオオカミとクマに、「この端っこ(彼らの(鍋から)取って自分の鍋に入れた場所)から取るんだ」と言いました。

まず、クマが味見して言いました。
―お粥のようにつくる、マンミ(※)と同じ味のものだね。
(実際には)彼には自分の(鍋から取った)お粥が与えられていました。
同じようにオオカミも味見をして言いました。
―お粥のようにつくる、マンミと同じ味のものだね。
オオカミも、キツネがえり分けた上でそこから取るように命じた、自分のお粥が与えられていました。

さらにオオカミとクマは同志のキツネに、「どうして君のはそんなにも白いんだい?」と尋ねました。キツネは答えました。
―僕はこれら(ライ麦粉)を川の中に、流れの速い場所に置いておいたからね、だから(洗われて)白くなったんだよ。

オオカミとクマはもみ殻とワラを手に取りました。彼らは川に行くと、それらを水に浸そうと、流れの速い場所に置きました。すると水の流れがすべてを運び去ってしまいました。

こんなふうに、“同志”のキツネはいつも彼らをだますのです。

※イースターの伝統料理。ライ麦の麦芽粉を練り炊いた後にオーブンで焼いて作り、真っ黒でねっとりしている。

KONTIE, HUKKA TA REPO HUUHAN LEIKKUUŠŠA

Oli ennein yheššä kontiella, hukalla ta revolla huuhtah kylvetty ruista kašvamah. Otettih hyö leikattih ruis ta pantih riiheh. Kuivattih hyö riiheššä ruis ta ruvettih puimah.
Repo noušou riihen partisie pitelömäh ylähäkši, kuin hukka ta kontio ruvetah puimah. Kontie ta hukka puijah, a repo aina partisen kerralla šorta konša kumpasellaki piäh. Hyö lattielta šanotah:
– Pitele, repo-kuomasen, paremmin, jotta ei partiset piähä šorruttais.
Repo vaštuau, jotta «pitelisin mie, vain kuin ei tahota pisyö», vain iče narošno šortelou partisie heilä piällä.

Šuatih hyö riihi puijukši. Pantih eri tukkuh jyvät, toiseh tukkuh ruumenet ta kolmanteh tukkuh olet. Ruvettih hyö jakamah nyt keškenäh tuloja.
Repo šanou heilä:
– Tavai juamma niin, jotta pieninmällä pienin, šuurimmalla šuurin ta keškimmäiselIä keškimmäini tukku.
Niin hyö juattih: repo šai jyvät, hukka šai ruumenet ta kontie šai olet. Lähettih hyö šiitä myllyh jauhottamah šualehieh.

Repo kuin jauhottau, niin kivi kolkkau, ta toisilla vain hil'l'akkaiseh kuuluu kuin hičajau. Hukka ta kontie kyšytäh:
– Mintäh siula, repo-kuoma, kivi kolkkau kuin jauhotat, a meilä vain hičajau?
Repo vaštuau:
– Mie kun rupesin jauhottamah, niin panin čuuruo šekah, šillä še miula kivi kolkkau.
Otettih hukka ta kontie pantih čuuruo šekan, niin heiläki alko kivi kolkkua.

Šuatih hyö jauhotetukši ta ruvettih keittämäh. Keitetäh hyö keitetäh, ta tullah hukka ta kontie repo-kuoman luoh. Kyšytäh:
– Mintäh šiula on niin valkie ta keittyässä hupšuu, a meilä on niin mušta ta ei hupšu keittyässä?
Hukka ta kontie šanotah:
– Anna kun myö maissamma šiun huttuo.
Repo šanou:
– Anna mie ensin teiltä maissan.

Mänöy repo ottau kumpasenki puašta ta panou omah patahaš yhteh laitah. Šanou hukalla ta kontiella, jotta «ottuat täštä laijašta» (mihi hiän toi heijän omua keittuoh).
Ensin maistelou kontie. Šanou:
– Šama maku mämmissä, šama tapa talkkunašša, – hänellä šattu omua huttuoh.
Šamoin maistelou hukka ta šanou:
– Šama maku mämmissä, šama tapa talkkunašša.
Hukalla niisi šattu omua huttuo, kuin repo pani eri kohtah ta käški šiitä maistua.

Vielä kyšytäh repo-kuomalta hukka ta kontie, jotta «mintähpä šiula on valkiempi?». Repo heilä vaštuau:
– Mie pijin jovešša heitä, virtapaikašša, niin šentäh on valkiempi.

Otetah hukka ta kontie ruumenet ta ollet. Männäh hyö ta pannah jokeh likuomah virtapaikkah. Ottau virta ta viepi heiltä kaikki.
Niin heitä repo-kuoma petti koko ajan.

単語

leikkuu [名] 刈入れ, 収穫期, 刈入れた穀物・収穫
huuhta [名] (森林中の)耕作用に伐採された地
kylvyä [動] ~の種をまく
ruis [名] ライ麦
riihi [名] (脱穀場がある大きな)穀束乾燥小屋
puija [動] 脱穀する
partini [名] (穀束などの乾燥用の)木組, 稲木
pijellä [動] (手で)握っている, (口で)くわえている, 支えている
šortua [動] 落とす, 落としてなくす, 押し倒す
kerralla (h) [副] 一度に
konsa [接] ~するやいなや
kuomani [名] 洗礼父, 名付け親, 友人への呼びかけ
narošno [副] 故意に, わざと(нарочно)
ruumen [名] (穀物・豆類の)殻, もみ殻
tulo [名] やって来ること, 訪れ, 収入, 収穫
keskenäh [副] 互いに, ある集団・群の間で
mylly [名] 製粉所, 粉砕機, ミル
kolkata [動] 打つ(たたく)音を出す, カタカタ鳴る
hičata [動] こする, 磨く, 研ぐ
čuuru [名] 砂利
liota [動] 水に浸す, つける
petteä [動] 騙す, 欺く, 嘘をつく

出展

所蔵:ロシア科学アカデミー カレリア学術研究所(KarRC RAS)
採取地:カレワラ地区のヴァイニッツァ村
採取年:1947年
AT 9

日本語出版物

フィン・カレリアの民話として、日本語で出版されている物はないと思われます。ロシアではこの話型は見当たらないようですね。

つぶやき

前回紹介した「おじいさんの娘とシュオヤタルの娘」のつぶやきでは、次回は同じ AT480 の別バージョン訳予定としていましたが、先に短くて軽い動物寓話を。ATカタログでは「ずるい相棒」と名付けられている話型です。

ずる賢いキツネにクマやオオカミが騙されるのはいつものパターンですが、騙され役が2匹というのは少し珍しく、たいていは1匹です。フィン・カレリアではこのような3匹(以上)による”共同作業”をともなう動物たちのお話は割と一般的です。動物ではありませんが、「リスとミトンと針のお話」も一応、”共同作業”話です。ほとんど針だけが働いていますけれど。

騙されたことに対して騙した側(キツネ)が糾弾される…というバリエーションも多くの地域で伝えられていますが、フィン・カレリアではあまり諍いに発展することはありません。平和といって良いのかどうか。

マリン首相の来日、ニーニスト大統領とジョンソン首相の会談、首相・大統領のNATO加盟に対する共同意思表明、そしていよいよ申請へ…と動きの出てきたフィンランド。対してロシア側のカレリア共和国では、本人たちの意思はさておき、ロシア政府への”従順な”態度が見られます。

フィンランドとロシアの国境、というとどうしてもカレリアが舞台になってしまう。美しい自然あふれる、口承伝統文化豊かなこの地域が戦禍を被ることのないよう、祈るしかありません。

>> KARJALAN RAHVAHAN SUARNAT(カレリア民話)- もくじ

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Passipo! Kiitoš! ありがとうございます!
Kieli
自分の基盤であるフィンランド,憧れやまないカレリア。多くの伝統を共有しながらも,その伝統が異なる方向へと新たに「創造」されていく双方文化から目が離せません。しばらくは主にカレリア語独学記録,カレリア民話の和訳、ときどき伝統楽器カンテレやカレリアの音楽について綴っていきます。