量子コンピュータが分からないワケは整数論がデキナイから。
イントロ 量子コンピュータが分からないのは
「整数」が苦手なだけだったのです。
意外な盲点で、わたしはずっと気付きませんでした。
うわっ・・・わたし「整数」、ニガテカモ・・・という方、
量子コンピュータをいったんお休みして、1~2週間、整数を重点的に進めましょう。
この際、一生分の1回と割り切って、やっておくのもいいのではないでしょうか。
「整数」のロジックって割と使うシーンがあるんです。
量子力学でも、たとえば、角運動量で整数(不定方程式)を取り扱います。
そう、もともと量子状態をあらわす関数である特殊関数は、離散的なパラメータを取り扱うため、整数的な側面があらわになります。
ref. PDF 量子力学にでてくる3つの特殊関数
量子力学をやるとわかりますが、ミクロな世界って、かなりデジタル(離散)です。
※ 量子束縛系は数理的に原則、離散値になります。
「猪木・川合-量子力学1,講談社サイエンティフィク」ref. §2.6およびp.95問題[2]
そのため、量子の世界では「整数」のロジックがより濃く 出てきます。
アナログ(連続)性はある程度の広がりがあるから起こります。
ミクロとマクロの境界で、デジタルとアナログの性質が入り乱れ、
バンド構造 が構成され、半導体のような物質の多様性が生まれます。
※「猪木・川合-量子力学1,講談社サイエンティフィク」ref. §3.6を読めばわかります。
ヒトからすれば便利だけれど、学ぶ者からすれば面倒のような。
ところで、この手の一生分の1回として、もう1つ有用な科目あります。
「場合の数・確率」 です。
こちらは別の機会に書きたいと思います。
※ こちらに書きました。
note記事「論理的思考やクリティカルシンキングは大事といわれているけど結局これでいいのではって話(2022)」
再入門!
まずは、学習参考書です。
マスター・オブ・整数 大学への数学,栗田哲也,福田邦彦,1998
意外に取り組みやすい。後半は高レベルすぎる?
これもやりやすいです。わたしはコレを選びました。
数と式[整数問題]が本当にによくわかる本 (細野真宏の数学が よくわかる本),小学館,2005
いまどきな口語(講義)系参考書の創世記では有名でした。いまでももちろん使えます。
硬派な人向け? モノグラフ シリーズはいまでも使えますし、大学での専門書に慣れた人にとってはあっさりしていて取り組みやすいです。
動画でイッキ見でもありでしょう。
整数の問題を解くには、じっくり考える必要があります。
「整数」とは、その内実、思考が9割、計算が1割 という、数学らしからぬ、いや数学らしい、単に手を動かすだけでは見えてこない特殊な数学なのです。だからこそ、苦手な人が多いはず(わたしもです)。
動画を見るだけでなく、書籍を買って、じっくり取り組んだほういいでしょう。
もっとやさしいところから始めたい方は
結城浩
かなりやさしい。「数を取り扱うとはどういうこと?」な読み物
大学レベルの数論の入門
もう1ステップほしいです
そして、上記の「整数」を終えてから、量子コンピュータをやる際には暗号の数理を通過しないといけません。
もう1ステップほしいです。
ところが、大学での数論や整数論となると、
大学受験の「整数」とは別モノの数学になっていきます。
ガチな「数論」や「整数論」をやりだすと、
(抽象的な)線形代数を万全にして、代数学を準備して、と
最短でも1年間は掛かってしまいます。
量子コンピュータを進める上では、この正攻法を避けたほうがいいでしょう。
どうしても知りたいという方は上記でも挙げた「数学ガールシリーズ 2 フェルマーの最終定理」だけを参照ください。
数学者による本ではなく、物理・工学向けの書籍がいいでしょう。
数学の先生方、ゴメンナサイ 🙇♂️。
ユーズドでしか入手できないかもしれません。
基礎から学ぶ整数論: RSA暗号入門,長嶋祐二 & 福田一帆, コロナ社,2020
高校初等レベルから始まっており、全体を数日から一週間で済ませられます。コロナ社HP
ゼロからわかる数学-数論とその応用(シリーズ 数学の世界1),戸川美郎,朝倉書店,2001
2よりも若干数学「数論」寄りですが、かっちり「数学」科向けではなく、進めやすいです。朝倉書店HP
著者である村上雅人先生は工学の先生(超伝導専門?)です。この「なるほどシリーズ」を書き続け、いまは何冊になるのでしょうか。このシリーズでは、専門書の隙間を埋める書籍がいくつかあり、困った時の虎の巻としても使えます。回帰分析を初めて学ぶ際に「なるほど回帰分析」(2004)を使いました。
1、2、3はいずれも薄い本なので、メインの量子コンピュータの学習に妨げになりません。
結局、やるのは学参と専門書、あわせて2冊でいいです。
女王?
わたし自身、「整数」は苦手ですし、数論に面白さを感じられません。
「工科系のための初等整数論入門」のあとがきで著者 楫 元さんも「はっきりいって、初等整数論はおもしろくない」と書いています。
多くの数学分野に手を付けましたけど、数論・整数論は未着手の分野ままですし、この先もこれ以上はやらないのでは思います。
「整数論は数学の女王」と言われます。
整数論、数論を面白いと感じられる人は、数学センスがある?
変わっている?
重ねて、数学屋さん、ゴメンナサイ
※元記事が少し長すぎたので、数論・整数論を焦点に、余分な箇所をカットしました。量子コンピュータや量子論については、改めて記事を書く予定です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?